それは優しい夏の色
ディアナ
それは優しい夏の色
夏に至る空が眩しい。強すぎる日差しはもう夏だと言っているが、実際はまだ初夏だ。
「あっついなぁ。夏の始まりなんてウソばっかり!」
「分かる! もう暑すぎて嫌になる!」
暑さにボヤけば、屈託ない笑顔が返ってくる。仲の良い二人は、文句を言いながら歩きだす。
「なんか涼しいのない?」
「肝試しとか?」
「涼しくなるけど嫌だ」
「冗談だよ~。ね、アイス食べに行かない?」
「良いね! ならあそこのカフェだね!」
初夏の日差しの中、二人は良く利用するカフェを目指す。そこは暑さで参った生徒達で賑わっていた。
「私オレンジのミニパフェにしようかな」
「美味しそう! 私もそれにする!」
濃い黄色のミニパフェを二つ注文して、何気なく窓の外に目を向ける。眩しすぎる日差しに目が眩み、すぐに視線を室内に戻して笑う友を見た。
「なぁに? じっと見てさぁ」
「ん~? いつ見ても可愛いなぁって」
「え~? もしかして口説いてる?」
「恋愛小説の読みすぎだよ」
笑う二人の前に、注文したパフェがやってくる。オレンジの爽やかな酸味が、不愉快な暑さを遠ざけた。冷たさに綻ぶ友人の笑顔が、柑橘類の香りと共に瞼に焼き付き剥がれない。この日々をまだ、終わらせたくない。
それは優しい夏の色 ディアナ @diana_1202
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