電車で傘をぶつけてくる人なんなん?

渡辺よしみ

コロナも明け、街に人が戻り、日本に外国の人の観光客が増えた、数年の時が経ち、いつもの東京に戻り、いつもの新宿になった、駅は改修を続け日々変化している


電車は各駅が増えたり、特急が増えたり、特殊な車両なども見受けられる、エスカレーターは左側に立ち、電車の扉の両脇で降りる人たちを通し、待ち人は乗り込む、女性専用車両は女性を対決にする日本文化かもしれないが、多様性、男女差別などの時代に沿っているかは愚問だ


カリフォルニアでは多様性、男女差別を無くすため、トイレは共用だ、これを聞くとムリと答える女性が多いだろう、けど、男子とも女子とも回答しない人たち、マイノリティな人たちのことを考えてほしい、彼らには入る場所の悩みを待たせるのだ


変化の速度はさほど早くはないが確実に変化し、時代にあった形に変えていると思う


自動に走るクルマや会話ができるスピーカーなど、20年前は想像できなかったと思う、新しい商品が生まれ、古い商品は消えていき、身の回りにも変化がある


その中でも進化しないものがある、傘だ、傘はいつからあるか分からないが江戸時代にはあっただろう、現在までビニールやアルミ、プラスチックを使ったり、水弾きの良い材質が使われるようになったぐらいだ、大きな変化は折り畳みや自動的に開くようになったぐらいだろう、馬車が車になったような大きな変化はない


この変化のない傘であるが、長年に渡りなんとかならないかと思うことがある、電車に乗り座席に座り、折り畳み傘を片付け、おしりを背もたれまで押し込み座席する、しかし人間の構造上、膝は出てしまう、あとから乗り込んできた客は、ビニール傘、可愛い傘、長いかさと個性あふれている、その傘を座っている乗客に当ててくる、たまたま下が見えず当たるのは仕方ない、しかしながら、立ったまま寝て、何度も何度も当ててくる、膝は傘の雫で濡れている


ここで疑問がある、自分の傘が誰かにあたるのではと考えないのだろうか?傘が当たり不快にさせてしまうと思わないのだろうか?そこで、どうすれば濡れた傘を膝に当たらないようにするか実験したことがある


ケース1 手持ちの傘でガードする

電車に乗り居眠り中、膝に冷たさと液体を感じた、ひどく濡れたビニール傘をプラプラさせて乗り込んできた50後半の女性だ、見た目や身なりも下の方だろう、使い古したカバンに傘を引っ掛けている

何度も足に当たるので、手持ちの折り畳み傘を膝の上に置き、少しずつビニール傘に近付ける、折り畳み傘で10センチぐらいは押したのだろう、濡れた傘の攻撃を避けることができたのだ

しかしながら平穏な時間は長く続かない、電車は駅に着くたびに減速と加速を繰り返す、この加減速はビニール傘を振り子のように左右に動かせ、折り畳み傘のガードを乗り換え、反対の足を攻撃してくる、しかも膝の先ではなく、膝の横も攻めてくる

すかさず折り畳み傘の方向を変え、ガードに徹する、居眠りしたいわたしはベストなガード角度にした折り畳み傘をフォールドし目をつむる、しかし加減速により四方八方から攻撃を喰らい、避けることができない、八方塞がりになったわたしは勇気を出し女性に声をかけ、傘を移動してもらった


ケース2 カバンでガードする

様々な角度の攻撃に備え、手持ちカバンを使ったことがある、カバンは30センチほどあり、両膝をしっかりガードできる盾である、夕刻、仕事帰りで混雑した電車にて目の前にさえないサラリーマンがきた、ワイシャツはよれよれ、メガネは曇り、いかにも傘で攻撃してきそうだ、傘はやはりビニール傘である、傘を縛ることなく、雨水を振り落とすことなく、たっぷり水を含んだ傘をチラつかせる、しかしながら、その傘はガッチリ左手でホールドしており、膝にあたる心配はない、うとうとしていると右足に冷たさを感じ、目を開けると、目の前に傘が進出してきていた、このままでは膝が濡れると判断して、膝に置いていたカバンを前にスライドする、徐々に傘を押し出すが、ヤツの手で握られた傘を動かすことはリスクである、気付かれないよう慎重に傘を押し出し、膝と傘に1センチほどの隙間を作ることができた、この隙間を維持することで傘攻撃を避け生還することができた


ケース3 人差し指でガードする

傘を持つことは稀である、雨の日はパーカーを着てしのぐし、駅から家まで屋根があるから傘はあまり使わない、そのため、手ぶらで電車に乗り、雨に降られるとガードする武器がない、最終手段は指しかないのだ、傘攻撃をガードするには指を不自然に出し、傘をガードしなければならない、何度かそのときがあったが、悩むのはどの指を使うかだ、親指はリーチが短く不向きである、中指は違う意味で悪いサインとなってしまう、薬指は動きが悪く、小指はか弱い、そうなると人差し指が無難である、人差しの先は濡れてしまうが、それだけの損害であれば良い方だ、膝に攻撃してくる傘に対し、何気なく太ももの上においた腕を伸ばし、坂の手前で指を出す、ほんのわずか傘と膝の隙間をつくり、その状態をキープする、一見、不自然だが指が伸びている意外は電車に乗っている客に馴染んでいる、またこの時発見したが人差し指に加え、中指に加勢してもらい、二本指で対策することも有効である


このように、身近なものや、自身の体を使い、傘攻撃を対策できる、ここまで対策を考えていたが、実際、傘をぶつけてくる人は気の利かない人が多いため、傘をぶつけるな膝が濡れると、直接言って、何度か電車から下ろしたことがある、これが一番だ

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