第一廻天 青白の花
昔話・少女と犬
今は昔、荒れ果てた崖の塔のあるところに一人の女の子がおりました。
女の子は、不治の病を持っており、そう長くは生きられない身の上でした。
…それでもほんの少しの小さな幸せはあったそうです。
しかし、小さな少女の病が当たるかもしれないと思った周辺の村人に弾圧され、彼女の家族は、彼女を塔に閉じ込め、誰とも触れ合わせませんでした。
それはまだ幼い少女に深い傷を合わせないために行ったのです。
しかし、彼女はまだ齢6歳。家族が何故こんなことをしたのか、それすらもわからない。
更には少女の家族が会いに来るのは満月の日一回だけ、少女がもしかして嫌われているのだろうかと思うのも仕方のないことでした。
そこから彼らの不幸へのすれ違いが加速して行きました。
少女は会いに来る家族に頼みました。彼らが会いに来るとはまだ少女を思う気持ちがあるからだと思って…。
—お父さん、お母さん、今日は頼み事があって…、あの、その、私、動物が好きなんです。会いに来るのがこれで最後でも良いんです。私に犬を飼わせてくれませんか…?
少女の家族は言いました。
—— ……、良いだろう。
と、認めてはくれたものの、その声色は冷たく、とても少女に、自分の娘に向けるものとは思えないものでした。
少女は悟りました。
私は家族に愛されていないのだと…。嫌われているのだと…。
♢ ♢ ♢
少女は家族に与えられた犬に『トモ』と言う名前をつけ、大変可愛がりました。
朝昼晩とどんな時でも一緒に過ごし、家族からもらえなかった『アイ』と言うものを見つけるように少女は犬を大切に大切に育てました。
しかし、そんなある時、下水道から這い出てきた毒蛇から少女を庇って、犬は毒蛇に噛まれ、死んでしまいました。
少女にとって大切な犬が死んでしまい、もう誰も少女を見てくれる人はいなくなってしまいました。
後に残るのは、頬を伝う「ナニカ」、それすら感じれないほどに…絶望した。
少女な生きられる時間は残り少ないが、その時間の全てを使って、唯一無二の友を思い、生涯を終えた。
…細々と寂しい、塔の中で、
Bの3姉弟 ロトロノハ @shetesei7
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