女子会

遠藤

第1話

ヤングみたいにカッコつけるため、一人カフェで物語でも書いてやろうかと席に着いてはみたものの、隣の席との距離は近いし、人の動く気配が集中力を削ぎまくり、まったく落ち着いて物語など書けるわけがないことに今さらながら気がついた。せめてヤング達のようにウォークマンでも持ってきてたらだいぶ違っただろうかと今さらながら思ったりした。

さらに席の後ろからは女性グループの声がバンバン聞こえてくる。

聞く耳を立てているわけではないが、声が大きいので聞こえてきてしまうのだ。

今流行の女子会ってやつだろうか?

しかしとんでもなく声がでかい。

女って生物はどうも群れるとオバタリアンになるらしい。



「で、スズはどうなのよダーリンは?」


「変わらずよ。相変わらず家でダラダラ、ゴロゴロしてばっか」


「でも好きなんでしょ?」


「まあね~ああ見えていい男なのよね~」


「ギャハハハハハ」


(ヒモか?彼氏か旦那か知らないが働きもしないで家でゴロゴロしててもいいカッコイイ男なのか。そんな人生もいいかもな。でもジジーになって捨てられたらたまったもんじゃなよな)


「オンちゃん、そっちはどうなのよ?」


「うちも相変わらずだわ。毎日おんぶしてー、おんぶしてーって。今日は久々に降ろしてきたから、は~楽だわ」


「女はいつも浪花節ね~」


「やめてよ、タカシじゃないんだから」


「ギャハハハハハ」


(おんぶ?女がおんぶって子供?それとも赤ちゃんプレイ?変態だな。間違いなく変態だ)


「そういえばカブ子は最近ダーリンできたんだって?」


「ああ、うん。まあ・・・」


「どうしたのよ?浮かない顔して」


「う~ん。なんだかよくわからないんだよね。ほら、結婚ってこう相手が一生を懸けてプロポーズしてきて、トキメキの中で恋から愛に変わっていくものじゃない?その一生で一番輝ける瞬間が全く無かったから、なんだか実感が無いというか、こんなものかって感じ」


「でも少しは愛の告白とかあったんでしょ?」


「全然。食事に夢中になっていたら、突然その場で後ろから蹂躙だもん。ムードもクソもなかったわね」


「まあ!やっぱりガテン系ねえ~」


「ガテン系じゃなくて単なるガサツなのよ。動きもぎこちないし」


「ギャハハハハハ」


(じゅ、じゅうりん?!食事中に?!まじかよ、いやいやいや、なんか和やかに話しているけどこれ犯罪じゃね?完全に犯罪に巻き込まれてるよね。さっきから笑って話しているけどけっこうやばい話も混じってるじゃん。どうなってるんだよこの女子ども)


「うちだって似たようなもんよ」


「ジョロちゃんどういうこと?」


「うちの旦那いつもビクビクしちゃってさ、普段全然近寄ってこないのよ。それなのに私が着替え始めるとここぞとばかりに乗っかってくるのよね~。あれよあれよ何だかよくわからないうちに、はい終了」


「まるでタッチアンドゴーね」


「そんな競技があったら絶対金メダルだわ。あっ!ごめんなさい間違えてあなたの食べちゃった。気づいたら私、目の前の物食べちゃうのよね~」


「ギャハハハハハ」


(アワワワまともなの居なくね?今はこんな時代なの?やばい内容ばかりだよ。今時の女子はどうなってんだよ!もうロボコップに連絡しなきゃ)



「さて、そろそろお開きにしましょうか」


「はーい」


出口に向かう女子たちの姿を見た私は思わず悲鳴をあげていた。


「ヒーーーーーーーー!!」




出演者


スズ  (スズメバチ)


オン  (オンブバッタ)


カブ子 (カブトムシ)


ジョロ (ジョロウグモ)


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女子会 遠藤 @endoTomorrow

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