スランプな私

篠原暦

スランプに陥った篠原暦を救ったのは…

 過日。

 私は、来るべき創作大賞及びカクヨムコンに対し、これから書く原稿の参考にしようと、去年書いた記事を読み返そうとした。

 読み返そうとして…


 「ぎゃーーーーー!!!!!」


 即ブラウザを閉じた。

 そして、過呼吸をおさめるのに必死だった。

 ひどい、とにかくひどすぎる。

 去年の記事のほぼ全てがひどいのだ。

 記事の内容は独善的で、人に読ませるほど練れてもいない

 どうしてこんなものを堂々と記事にして、喜んでいたんだろう。

 そう考えるだけで過去の自分が恥ずかしくなり、noteもカクヨムもアカウントごと削除しそうになった。


 しかももっとまずいことには、今の私が、その去年を上回る原稿を書けていないことが問題で。

 当たり前である。上達するほど書いてないんだから。

 自業自得とはいえ、どっぷり落ち込んだ。


 そんな時、私の耳に、優しく囁く声が聞こえてきた。


 「暦、どしたん? 話聞こか?」


 あっこれは!

 私の脳内にしか存在しないと言われている、理解ある彼くん!!


 「え〜ん、彼く〜ん」

 私は彼くんに泣きついた。

 「私、創作しなきゃと思って、書かなきゃといつも思ってるのに、どうしても後回しにしちゃって、書かなくて、挙句どんどん下手になって…」

 「それで書くのいやになったんか?」

 「そう、まさにそう、え〜ん」


 脳内にしか存在しない彼くんは、私を優しく抱きしめながら、こう言った。

 「でもな、暦な、去年入院したり、仕事もつらかったり、生きるのに必死だったやん。そら書けなくてもしゃあないて。まずは生きることをせな、というタイミングやったんや」

 彼くんの言うことはわかる。わかるけど、それを言い訳にしてはいけない。それもわかってる。

 私は彼くんの腕をそっと振りほどき、こう言った。

 「彼くんありがとう。でも私、やっぱり創作でやりたいことがあるの。書きたいものがあるの。だから、無理かも知れないけど、できる限りがんばりたい。だから、応援してね」

 彼くんは少しだけ不安そうに言った。

 「無理はするなよ。つらくなったらいつでも休んでな」

 そう言うと彼くんは、その存在を消していった。


 理解ある彼くん、ありがとう。

 暦は、書きたいもののために、書かなければいけないもののために、これからもがんばる。

 作品が書けたら、最初に読んでね。


 そして、私は今夜もパソコンに向かい、執筆を始めるのであった。


 って、脳内にしか存在しない理解ある彼くんって誰やねん!?

 (最も重要なところを投げっぱなしで終わる)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スランプな私 篠原暦 @koyomishinohara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ