5話 未来に向けて


 えーとつまり、私は帰る家もなく人殺しの称号を持っているので国に頼ることもできないということか。


「…よし、一旦忘れよう!」


 そんな話はなかったし、元々国に頼ろうとは思ってなかったからね。


「ファシーちゃん、他に覚醒者について知らせたいことある?」


『…特にお耳に入れるものはございません』


「ありがとう。じゃあ、私の家族を殺した人達についてわかってることある?」


『解、彼らは国家級の犯罪組織【マグナム】。強盗殺人窃盗などあらゆる犯罪を行う組織です』


「国家級?」


『国家級とは一団体が国単位に大きく成長した状態を指します。マグナムは長官という人物がトップとなり、幹部が複数名いる様子です。そして正確な団員人数は不明となっています。』


「ふむ、そんな大きな組織が私を狙う理由ってなんだろうね」


『おそらく、クロミ様の魔法を求めていたのだと思います。クロミ様の魔法は対人間には有効ですから』


「……ん?それって向こうには私の魔法がわかっているということ?」


『そのようです』


「うーん、そういう魔法があるとかかな?」


『…現時点では不明です』


「そっか、まぁ気にしても仕方ないし切り替えていこう!じゃあ次はお待ちかねの魔法を使ってみようかな!ファシーちゃん!魔法はどうやって使うの?」


『解、魔法は魔力を用いて使用することができます。魔力量が多ければ多いほどより強大な魔法を操ることができます』


「ほむほむ、その魔力は増やせるの?」


『魔力は基本的に才能によって固定されます。しかし、増やすことは可能です』


「おお!どんな方法なの?」


『増やす方法は2つあり、1つは魔法を使用することです。このやり方では少量しか魔力が増えません。ですが最も安全で一般的です。2つ目は魔力を限界ギリギリまで減らすことです。この方法では魔力はより大きく増えますが危険があります。』


「どんな危険があるの?」


『解、人には多かれ少なかれ誰しもが魔力を持って生まれてきます。そして、この世界の人間にとって魔力とはエネルギーのようなものなのです。そのエネルギーが足りていない状態では身体がだるくなり力が出なくなります。エネルギーがなくなれば人間は生命活動を停止してしまいます。そして人は例外を除いて自身の魔力量を正確に判断するのが難しいのです』


「その例外って?」


『まず1つ目は魔法の天才です。人はある分野で他の人とは比較にならないほど才能を持った人がたまに現れます。それは魔法にも適用され、魔力量が感覚で認識できる人がいるそうです。例外2つ目は外部の力に頼り魔力量を知る方法です。覚醒者の中に魔力が見えるようになる人がいるそうです。その人に頼り魔力を増やすなどが考えられます』


「ふーむ、じゃあ私はその例外にはてはまってる?」


『解、クロミ様は両方とも当てはまっております』


「おぉ、………多分天才は神様がなんかしたんだろうね。まぁありがたくいただくとしますか。

じゃあファシーちゃん、外部の力って私でいったら何になるの?」


『解、それは私でございます。私はクロミ様の魔力量を確認することができるので魔力量を増やすことができます。しかし、今クロミ様が魔力量を増やす必要性は低いと思います。それよりも今は魔法に慣れておく方がよろしいかと思います』


「うーん、ファシーちゃんがそういうならそうなんだろうね。分かった。とりあえず今できることをやっていこう」


 そういい私はファシーちゃんに教わりながら魔力を操作し始めた。



 ◆◇◆



 ………やば。


 しばらく魔法を試してみたらヤバいことに気がついた。


 ヤバポイント1

 相手の防御などを無効化しながら攻撃することができる。


 影って非実態やん。だから相手のガードや防具を貫通できるんよね。そして攻撃が当たるのは何故が可能。不思議やね〜。


 ヤバポイント2

 影を纏うことで攻撃を無力化する。


 さっきと同じ感じで影を纏うことで相手の攻撃がすり抜けるんよ。そして私は殴れる!

 不思議やね〜。


 ヤバポイント3

 ファシーちゃんがいれば魔法を自動で練ってくれるから即時発動ができる。


 本来なら内側にある魔力を練らないといけないが

 私は全部ファシーちゃんにやってもらえる。

 便利やね〜。


 やばくないポイント4

 無機物に効果が薄い。


 人や動物なら影で攻撃できるが、岩や建物は攻撃できない。でも無機物の影を操って形を歪ませることができる。便利やね〜。


 以上。実験終了!

 ん?それだけって?

 まぁまぁ、今全部だしてもおもろくないやん。

 ならおいおい出していくのかエンタメってもんよ。

 だから魔法はおしまい!


 だが安心して欲しい。

 私はこの能力を使って面白いことができると確信した。

 待っててくれ諸君。もう少し舞台の設置を完了したら世界を巻き込んだパニックを起こしてやるから。全世界が私に注目するのだ!


 ふふっ、ふっはっはっはっはっ。

 ………はっ。

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男はTSして世界から注目を集めたい! うゆ @uyu0526

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