4話 知りたいこと
あれから何日も何週間も経ったのに私は死ななかった。これには私も疑問を持ったので何週間もたった時に声へ聞いてみた。
「…声、なんで私は死なない?」
『解、私が生き延びさせています』
「…なぜ?どうやって?」
『解、私は貴方様を15歳まで生き延びさせなければいけませんので、魔力を用いて必要な栄養を与えています』
これではいつまで経っても死ねないことにより一層絶望した。1回自分の中にある何か、声は魔力と言っていたのを1日中放出しても体からは魔力全てがなくなることはなかった。なくなることはないのを知った私は、死んだように動かず何もしなかった。もちろん、全く人が来ないということはなかった。あの男達の追手や魔物自体も来た。
だが、彼らは帰れなかった。理由は明白、私が全員殺したから。たまに話しかけにくる人もいたがそいつらも殺した。助けてあげるや保護するなどと言った言葉を使い騙そうとしてくる、だから殺した。そしたらなぜかこちらを殺しにくる人間が増えた。増えた奴等も殺した。
そんな日々が15歳になるまで続いてしまった。
『告、対象者である黒蜜が15歳になりました』
「…………」
『これより上書きを行います』
「………………」
『0%………10%………30%………50%………70%………90%』
「……………………」
『………100%』
世界が暗転した。
◆◇◆
15歳
「——————ん?」
『映像が終了しました』
いつのまにか映像は終わっていた。一瞬のようにも感じたしとても長くも感じた。そんな不思議な感覚に陥ったがとりあえず1つ。
「おっも……」
え?いやなにこれ?重すぎでしょ。ほんとに俺の記憶なんか?ほんとにそうだとしても10歳でしょ?
えー、俺めっちゃ気楽にTSヤッターo(≧▽≦)o
の気持ちだったのに素直に喜べないよ。
————————いや!沈んでなんていられない!前の黒蜜には悪いけれどこの体は私の体だから!それに、前の黒蜜が完全にいなくなったって訳でもなさそう。多分だけどまだ体のどこかに存在していると思う。いやなんとなくだけどね。もしかしたら消えたかもしれないし、混ざったかもしれないからよく分かってはない!とりあえずはこれからのことだ!これからどうするかを考えないと。
——の前に、いろいろ疑問が浮かんだからサポーターちゃんに聞いてみよー!
まず1つ!
「ねぇ、サポーターちゃん。サポーターちゃんの名前ってないの?」
『解、私は貴方様のサポーターとして生み出されたので名前は持ちません』
「そっかー、ならつけてあげないとね!」
どうしよ、なんか喋り方が◯スラのラファ◯◯みたいだなぁ。つい大◯者とか言っちゃうよ!
あとはSiriとかって言っちゃいそう。なんでも答えてくれるからね!
うーん、名前つけるの苦手なんだけどな〜。
———そうだ!
「ファシーちゃん!ファシーちゃんなんてどう?」
『ファシーちゃん、私の名前……』
「そう!気に入った?」
『……ありがとうございます。気に入りました』
「そっか!よかった〜!あ、あと貴方様なんて他人行儀な呼び名じゃなくて黒蜜って読んでほしいな!」
『……了、呼び名をクロミ様に変更します』
「うーん、まぁいっか」
ほんとは様もいらないんだけどな〜。でも名前気に入ってくれてよかったよ!必死に考えた甲斐があるってもんよ!ラファ◯◯とSiriから着想を得てファシーちゃん!我ながら素晴らしいセンスだ!
と、そうだ。二つ目の質問、
「ファシーちゃん、魔法のこと教えて?」
『了、魔法とは体内にある魔力を使うことにより科学的に証明出来ない現象を引き起こすことができます』
「ふむ、そこは転生前に読んだ小説と同じだね」
『魔法を発現されるには感情を強く揺れ動かすことで覚醒します。ですが、魔法は才能に左右されるので使えるものは限られております。』
「うん、ここら辺は黒蜜の記憶にあったから分かるね」
『魔法の強さ、またはその人の強さは主に6段階で分けられます。F〜Sランクとなり、Sランクは災害級の強さを持ちます』
「なるほど、ちなみに私のランクはいくつなの?」
『解、クロミ様はランク外でごさいます』
「へ?ランク外?」
『ランク外とはF〜Sの範疇に納まらないランクのことです』
「いや、意味はなんとなく言葉で分かるけど、なんで私がランク外なの?」
『告、ランクは上がるにつれ殲滅力が高い傾向があります。しかし、クルミ様が使う魔法に殲滅力はありません。ですが、殲滅力の逆、一対一では他の魔法を凌駕する力を待ちます』
「うーん?ねぇ、私の魔法ってなんなの?」
『クロミ様の魔法は影を操る魔法です』
「具体的には?」
『映像で見せたように相手や自分の影を操ることや周りにある影を手足のようにできます』
「……聞いてもわかんないや。まぁ後で一緒に魔法使お」
『了』
とりあえず魔法はもう充分かな。あとはなんかないかな?うーん、あっそうだ。
「映像にあった人達のこと詳しく教えてよ。特に他の覚醒者のこととか私を狙ってる存在とか」
『了、まず覚醒者のことから説明します。
この世界での覚醒者は国に管理され、魔物が現れたらすぐその地点に送るような体制をとっています』
「そういえば国は魔物があらかじめ出現する場所を予測できないんだっけ?」
『はい、目視のみとなっております』
「ふーん、そうなんだ」
『日本では県ごとに覚醒者を分けており、東京など人が多い場所に比例して覚醒者も増えます』
「ほうほう」
ちなみに私が住んでいる場所は千葉県です。
千葉県生まれ千葉県育ちでチーバくんの口にずっと住んでいます。
「ん?あれ、ねぇファシーちゃん。今更だけどここどこ?」
『解、ここは千葉県の西南側、元々のクロミ様がいた浦安方面とは逆の位置関係にきました』
「へ?そんな距離どうやって移動したの?」
『解、影魔法で影を伝って移動しました』
「おお!そんことできるんだ!」
これはこれはもしかしてもしかして!
私がしたいことができるかもしれない!
ふっふっふっ!
ちなみにこの世界は元いた世界と同じ歴史に魔法が急に加わったみたいだよ。
「あっ、ごめん話遮っちゃって。続きどうぞ」
『了、覚醒者の主な仕事は2つあります。1つ目は魔物の駆除です。2つ目は魔物に落とされた街を奪還することです』
「ふむふむ。……ん?魔物に落とされた街?」
『はい』
「私毎日この街にいたけどそんなの来てなくない?」
『いえ、覚醒者はたびたびこの街に来ています』
「へ?記憶の中ではそんなの見たことないけど」
『クロミ様が接触なさる人の中に覚醒者が複数存在しておりました』
「……私の記憶の中では私と会った人は誰一人帰れてないと思うんだけど。もしかして……」
『告、覚醒者を殺害しており、それに比例して覚醒者の人数も上がっている傾向があります。おそらく国が動いていると思われます』
「…………おっ」
終わったー!
◇◆◇
魔物
20045年突如世界の至る所から魔物が出現し始めた。各国は魔物に対抗するため銃器を用いたが当然効くはずもなく国は蹂躙された。ただ、なんの悪戯か魔物は一定時間経つと消滅することが判明した。
消滅時間は魔物の強さによって変わり、最長1年となっている。しかし、その1年の魔物は覚醒者に倒されたので1年がMAXとは限らない。
魔物の強さは覚醒者と同じF〜Sランクでわかられる。だが、Fランク魔物にFランクの覚醒者が勝てるとは限らない。魔物は1番下でも家を破壊できる火力がある。なので魔物と対峙する際は覚醒者複数人で対応することが決められている。
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