VRみかん

トリスバリーヌオ

VRとみかん


 左手を突き出してみかんを手に取りました。

 と言っても、それは絶対にそうであるとは言いがたいものなのです。

 と言うのもです。


 取っているように見えると言いますか、取っているように、見えていると言いますか。


 はい。


 その名の通りですが、それもそのはずですが、0と1のやつを見ているというやつです。


 やつです。


 それは、オレンジなのかレモンなのか、それともミカンなのか、あるいは柑橘類系に属する何か、なのかもしれませんが、些細な事と捨て置いても何ら問題なさげな、いわゆる、観測者の主観に準ずる流動的な物であるため、というものですが。


 つまりは、みかんの、その、まんまるなオレンジが、他のオレンジと見分けがつかないというものです。


 補足的な物を付け足すとすれば、みかん神経衰弱をやっている、ということですが。


 はい。


 ここで、一つ疑問が発生すると思います。

 それは絶対のもので。

 そう思わないのは、少しコテコテした感じで。

 こそこそもしています。


 はい。


 御託はおいておいて、疑問とはどうして「みかん神経衰弱」なんてものをやっているのかという物です。


 実に不思議であると思います。

 徹底的に疑問をていします。

 質問を貫徹し、導き、思考します。


 そしてその経緯というものを話します。


 話します。


 それはあくる日の、熱い春話でした。


 御託はいいですか、そうですか。

 なぞときの日替わりコーデを、いわゆる脱出ゲームに腕をカクカクさていると。

 ここはカクカクではなく首をコクコクですね。


 そうしていると……コクコクでも無くて、シルシルしていると。

 シルシルでもなく、ボルボルしていると、でもなく、兎に角、首を左右に振り回していると、画面の下部に緑の線が出てきたのです。


 おてて一個分くらいの大きさで、うどん麺くらいの太さでした。


 何かなと、それに触れて、今に至るというわけです。


 シルシル。


 うまく伝わっているか不安ですが、VRのゴーグル越しに見えたものですので、なんとも言えないのかもです。


 それでです、かれこれ、みかん神経衰弱を半時ほどやっています。


 といっても、みかんは、未完ですが。


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VRみかん トリスバリーヌオ @oobayasiutimata

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