第3話執務室にて~エドワード・セシル~

「ヴィルフリート殿下。」

執務室にやってきたミアが嬉しそうにヴィルフリート殿下の名を呼んだ。

彼女はシェーンベルクから”遊学”と称して我が国、シュネーシュトルム国にやってきているシェーンベルクの姫である。

シェーンベルクではその見た目から冷遇されてきた様だが、こちらに来てからはヴィルフリート殿下の庇護の事伸び伸びと過ごされていて少し前よりも明るくなったようだ。

エドワードは思う。

あの日、シュネーシュトルム国の王妃が彼女の首を絞めて殺そうとした日、我が殿下はその危機をいち早く察知し彼女を助けに行った。

助けられて良かったとエドワードは心から思う。

主人のこんな和やかな笑顔を見れるのなら。

「どうした、ミア。」

「はい、殿下。美しい花があったので殿下のために摘んでまいりました。」

とても嬉しそうにミア殿下が話す。

普通逆だろうと思うだろうが彼女は知的好奇心旺盛なのだ。

この国にしか咲いていない花に興味津々なのだ。

「ああその花は~。」

ヴィルフリート殿下も楽しそうに彼女と話し出した。

続けば良いと思う。

この時間がいつまでも。

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シュネーシュトルム国物語 @Hibiscus_

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