魂の慟哭

saito sekai

「めがね」のお題のスピンオフ作品です

僕の名前は、成田宙。異母兄妹と恋愛して自殺してしまった。僕は彼女の父親の愛人の息子で、そのことを知らないまま、異母妹である羽田空美に恋をした。彼女もまた僕を愛してしまい、残酷な事実を後で知ってしまって・・・

僕達は全てを自分達の両親に話した。結果、両家離散状態になり、僕らは「800メートル徒走競、アンカーはMEGA猫、君なら出来る!」という図書館にある童話の裏表紙に遺書を書いて、永遠に姿を消したのだった。そう、このメッセージはあの世からのものだ。


つくづく今、魂のみになった自分は思う。あまりにも逝き急いだと。ロミオとジュリエット、あいつらだって一年経てば普通の恋人。喧嘩だってするし、もしくは別れちゃっているのかもしれない。それは空美も同じ気持ちになっていて、時々高校の図書館に現れて、今では学校の怪談の主人公だ。もっと僕らは、時間を味方にするべきだったのだ・・・この先どれほどの時間を、後悔で費やすのだろう・・・今日は同窓会だっていうじゃないか、少し見物するかな・・・


ここはある高校の同窓会の居酒屋だ。みんなワイワイ楽しくやっているが、一部しんみりとした空気が流れていた。そう彼らは成田宙と羽田空美のことに想いをはせているのだ。


「今頃あの世で二人とも幸せにしているだろうか・・・」「もう死んだら血の繋がりとか関係ないしね」「あの二人に乾杯しないか?」

この空気は次第に広がってゆき、クラスが一つに。

「そうだ、彼らに乾杯しよう、あの世できっと幸せになっているよ」

「成田君、羽田さん、結婚おめでとう!」

そして皆は、グラスを高く上げて二人を祝福したのだった。  完

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魂の慟哭 saito sekai @saitosekai

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