個別評その4。気になった人たちその1
■非常に強く印象に残ったのはやはり、四谷軒さん
https://kakuyomu.jp/users/gyro
です。
数十作の応募があったので、一人分読むのに一日かかりました。
そして、一つ一つがとても上手いのです。
中では、
「黒き鏡の玉兎。」
https://kakuyomu.jp/works/16817139558441464849
などが好きでした。
非常に幅広いジャンルの様々なエピソードを自在に操る様は圧巻なのですが、
ただ、素材やオチの提示が、カクヨム特化型になっているか?
というところが気にかかるところでした。
数本に絞って、賞へのチューンを施してもよいのではないかと思いました。
■「夏の標本、そのかおり」志村麦穂
https://kakuyomu.jp/works/16817330667790147831
全体に構成がわからない感じではあるのですが、文章の調子が面白く、謎の力を感じました。なにかクッキリとしたモチーフなり、引きがあれば強いのではないかと思います。
■「転生殺人トラック」笹慎
https://kakuyomu.jp/works/16817330656967620958
楽しいんです。
楽しいので、最後まで突っ走ってもよかったかな、という気がしまして、結びがトーンダウンに見えるところが惜しいという印象でした。
■「魔女の重力、第二感情速度」葉月氷菓
https://kakuyomu.jp/works/16818023212548530971
面白かったです。
注釈部分が本文に溶け込んでいるとなお良かった、という気がするのですが、そのあたりは個人の趣味の話でもあります。
■「わたしとわたしが旅するところ」木口まこと
https://kakuyomu.jp/works/16818023212756921508
魔方陣もので、最初のあたりにある、
「じゃあ、あそこには生命がいるのね」
にどこまで乗れるか次第、というところではないかと思います。
そこさえ乗ってしまえば、以降のたくさん並ぶ数字なども楽しめるのですが、
それでもなお、「ここに誤字があった場合どうなるのか……」といった不安なども惹起します。
その読み手の不安を拾い上げる何かの種類の親切があってもよかったかと思いました。
■「母の思い出」青木雅
https://kakuyomu.jp/works/16817330664444213738
文章がよいです。
途中の、ええ……どこにいくの……という感覚なども。
終わりもいいです。
ただ、賞ということになると、3300字強、というのがどうしても抜け切れないところになってしまいました。
■「THE HOTEL first flush」旅籠談
https://kakuyomu.jp/works/16817330666477681482
自分が短編集の形をかりたフラッシュフィクションのようなものでデビューしたこともあり、短いものがひたすらに連打されるものが好きです。
その中でも非常に高い密度で、読み進めさせる力があると思います。
よいです。
■「いつかだれかの布団宇宙史」茂木英世
https://kakuyomu.jp/works/16817330668144275493
なんだか楽しい。
ただ、前半と後半の文の密度が違い、オープンなエンドを迎えるので、
力尽きた? 感があることは否めません。
書き終えたところから振り返って構成を取り直すと、印象がかなり変わるのではないかと思います。
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