色弱について語ってみた

白斎

色弱について語ってみた


 私は生まれつき色弱なんですが、色弱というのは他の人に理解してもらうのが難しく、しかも自分でも理解するのが結構難しいんですよね。


 これまで自他ともに理解が不十分なことが原因で嫌な思いをすることが多くありました。


 なので、私と同じ色弱の方や、身近に色弱の人がいる方に、色弱に関する理解を深めていただいて、少しでも楽になればと思い、この文章を書くことにしました。



 まず色弱だと人に言うと、「これ何色に見える?」とよく聞かれるのですが、答えは「分からない」になります。基本色弱だと全ての色の判別が難しくなります。ちゃんと見えている色の判別も難しいです。


 どういうことかというと、私は「赤緑弱視」らしいのですが、じゃあ青は分かるのだろうと思うでしょうが、分かりません。青に赤が混ざっているか分からないからです。


 私には青と紫は同じような色に見えます。特に濃い紫や薄い紫は全然分かりません。中間くらいの明るさの青みが少ない紫は、青と違うなと感じるくらいです。


 そんな感じで周囲は色々な色に見えてはいますが、何色なのかは分かりません。正常な人の視界と見比べることもできないので、正常に見えているものでも自分では正常に見えているか分かりません。


 問題なのは本人も何色が見えてないのか分からないことが多いということです。普通に生きていれば自分が色弱らしいということは、かなり早い段階で気づくことができますが、何色が見えないのかは自分では分かりません。


 考えてみてください。青と紫が同じ色に見えるという症状から自分が「赤緑弱視」だと気づくことができるでしょうか? 普通はできません。

 なので、自分が何色が見えないか分からないまま暮らしている色弱の方も多いと思います。


 私はこれまで自分の色弱の症状の説明を受けたことは一度もありません。

 先ほど「赤緑弱視」らしいと書いたのは、高校生くらいの時に何かの健康診断の結果に「赤緑弱視」というスタンプが押してあったからです。その時初めて自分の見えない色を知りました。そしてスタンプが押してあるだけで何も言われませんでした。

 小学生などの時も色覚テストは受けましたが、「色弱」というスタンプが押されているだけで何の説明もうけませんでした。


 まあネットで自力で調べて気づく人もいるでしょうが、ネットの情報だけでは自信が持てない人は多いと思います。



 なので、日常生活で色関連のことを聞かれても答えられずに変に濁してしまい相手の気分を害してしまったり、色弱だと言っても色弱について聞かれて何も答えられなかったりして、空気が悪くなってしまうことがよくありました。


 なので、色弱の方は、事前に自分の症状を調べて、聞かれたらどう答えるか決めておくといいと思います。

 具体的には、親しい相手には、「私は色弱なので全ての色が分からない。」とはっきり言うことをお勧めします。

「どういうこと?全部の色が分からないの?」 みたいに聞かれたら

「私は〇色が見えないから、すべての色に〇色が混ざっているかが分からないんだ。だから全部分からん。」と言えば、たいがい相手は「なるほど。」と納得してくれます。


 親しくない相手には「私は色弱なので聞かないでください。」と答えるのが無難です。普通はそれで聞いてこなくなります。それでも聞いてきたら同じように答えればいいと思います。


 まあ多少空気が悪くなることはあると思いますが、濁すよりはマシなことが多いです。


 あまり良い解決策ではないかもしれませんが、ちょっと私にはそれ以上思いつきませんでした。もっと良い対応方法があれば教えてほしいです。



 ご自身ではなく、お子さんなどが色弱だと判明した場合は、詳細に調べて本人に教えてあげた方が良いと思います。

 そうしないと、友達に説明できなくて辛い思いをする可能性が高いです。自分の症状を知って傷つくこともあると思いますが、知らないよりは良いと思います。自分のことが分からないのは辛いですから。性格にもよりますが、多感な時期だと辛いものです。




 まあアドバイスは以上ですが、理解を深めるための補足情報を多少書いておきます。


 色弱であることのデメリット関連を書こうと思います。


 私が自分が見えているものが他人と違うと気づいたのは、幼稚園のころ、クレヨンで太陽を黄色く塗っていたら、「なんで太陽が黄色いの?太陽は赤でしょ?」と言われたことがきっかけでした。

 私にとっては太陽に一番近い色は黄色です。赤くは見えません。

 なので私には他人と見えている世界が違うというのは小さい頃から当たり前のことで、色弱でない人でも一人一人見えているものは微妙に違うのだろうと考えていました。

 しかし普通の人はそういう考えはあまり無いらしく、同じものを見ているという意識が強いようで、なじめないことが多くありました。そしてそれをうまく説明できませんでした。

 なので多少人付き合いがしにくいというデメリットがあります。人と一緒に服を選んだりもできればしたくないですね。まあ普通に友達が多い人や結婚している人も多いので乗り越えられる程度なのだとは思います。


 私は車の免許は普通にとれたので、仕事面ではそれほど不利を感じませんでしたが、就けない職業もあると思います。そういう意味でも色弱の詳細は子供のうちに知っておく方が良いと思います。進路を選ぶ際に重要ですからね。


 趣味などでは多少デメリットがありました。

 まず私は絵が好きだったのですが、鉛筆での下書きは褒められましたが、絵に色を塗ると変な顔をされるので、描かなくなりました。

 ゲームも一部できないものがあります。色を判別する必要のあるパズルゲームなどは無理ですね。それとオンライン協力ゲームも思わぬところで色を判別する必要があったりするので、やらなくなりました。

 とはいえ絵が苦手な人やゲームが苦手な人もやらないのは同じなので、大したことではないと思います。


 あとはそうですね。赤や緑が美しく見えないというのもデメリットでしょうか。紅葉とか新緑とかは別に綺麗には見えませんね。赤、緑、茶色あたりは私には似たような濁った色です。木の葉を茶色に塗って驚かれたことがあります。私は普通に近い色を塗ったつもりでした。

 木も光の加減によっては綺麗ですが、それは光が綺麗なのであって木が綺麗なのではない感じですね。

 しかし世界が綺麗に見えないというわけではありません。夕焼けや朝焼けは凄く綺麗に見えますね。おそらく赤以外の要素が大きいからでしょう。桜も綺麗です。

 赤や緑と関係ない群青色の空や雪山などはめちゃくちゃ綺麗に見えます。


 まあ色々書きましたが、どれも不得意な人と同じような物なので、そこまで大きなデメリットではないと思います。世間でも障がい者とはみなされていないですしね。


 メリットの方は残念ながら今まで感じたことは無いですね。自分から話のネタにするのは厳しいですし、自虐ネタで笑いをとるにはハードルが高いと思いますから。

 しいて言うなら個性が強くなることでしょうか。


 長所×短所=個性 だと思いますからね。



 とまあ色々書きましたが、少しでも色弱の方や関係者の方の参考になればと思います。




 読んでいただき、ありがとうございました。


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