まじないリスト

釣ール

一筆

 今日はどなたを書いてしまおうか。

 このリストは誰にも見せることはない。


「もしも自分が死ぬ前に余裕があったら呪いに行くリスト」を密かに書いているだけ。


 呪う相手は様々だ。

 もちろん恩がある場合もある。

 それなら自分の墓穴を掘らなくていい。


 許せなさは度合いによる。

 クソ野郎やクズ、搾取する者に妨害するもの。


 じっくりと名前と事情を観察し、しかるべき時に一撃をおみまいする。


 理不尽な理由であってはならない。

 だからこそ歯をきしませるほどに怒りがあっても、大多数が納得する内容で恨みを持つ必要がある。


 さあおいで。

 おいで。

 おいで!!


 その沼にお前を招き入れよう。

 大丈夫。

 日頃の行いが良ければただの風呂代わりになるだけ。

 リストには書かないよ。


 沈んだのならご愁傷さまだ。

 リストに書かれてしまったねえ。


 今日も許せない人間をリストに書く。

 この沼が底なしになるか銭湯になるか。

 全てはそちら次第なのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まじないリスト 釣ール @pixixy1O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ