第25話 スラム動乱

Side:フロー


 アルミナから手紙がきた。

 俺の糞親父のタンタルが兵を動かしたらしい。

 スラムを襲っていると。

 現場に入ると大量虐殺が始まってた。


「マイラ、アルミナ、襲撃者をやれるか」

「やれるわよ。死角からぶすりとやるだけだから」

わたくしも戦闘には慣れています」

「じゃあ、蹂躙しよう」


 マイラが前衛で飛び込む。

 血の霧が上がった。

 身長が足らないので足を斬っている。

 タンタルの兵は誰にやられたかも分からないままに足をやられて行動不能になっていく。

 マイラえぐいな。


「【&%$#%&】」


 あまりに早すぎてアルミナの詠唱が分からない。

 アルミナの手から粉が飛んで兵を包む。

 兵は倒れた。


「殺しませんよ。罪は償って貰います」

「俺の出番だな」


 生きている兵に声を掛けて魔法を掛ける。


「死にたくないのなら魔法に掛かれ」


#include <magic.h>

extern char *enemy_real_name(void);

extern char *user_real_name(void);

extern void enslavement(char *master_real_name,char *pow_real_name)

void main(void)

{

 char *ename,*uname;

 MAGIC *mp;

 ename=enemy_real_name(); /*敵の真名を取得*/

 mastername=user_real_name(); /*使用者の真名を取得*/

 enslavement(mastername,ename); /*奴隷にする*/

}


 こんな魔法を掛けた。

 奴隷になった奴は治療して、味方として戦力にした。

 奴隷にならない奴はアルミナが毒で朦朧とさせた。


 意識がはっきりしないと、魔法が掛かり易くなるらしい。


 マイラの攻撃はすさまじい。

 敵の八割はマイラの攻撃で戦闘不能になった。

 もうマイラだけで良かったんじゃないかと思う。


 死角からの攻撃がこんなに恐ろしいとはな。

 確かに見えなければ反撃も出来ない。

 マイラは地を這うように凄いスピードで走る。


 敵がまばたきすると、もうやられている。

 アルミナの毒魔法もえげつないけど。

 こっちは、見えるだけましだ。

 だが、細かい毒の粉は見えずらい。

 アルミナはよく風魔法を制御できるな。


 こっちに向かってくる敵だけ倒しているみたいだが。


「風の制御はどうやっているんだ」

「頭の中に地図ができていてそれで操作しています」

「ええと、一瞬でも部屋の間取とかみたら目をつぶっても行動できる?」

「はい余裕ですわ」


 会話しながら余裕でこなしている。

 これだから、特殊能力者は。

 俺のプログラム魔法なんて大したことはないように思える。

 いいや、分かっている。

 彼女らには伸びしろがない。

 今の強さから大幅に伸びることはないだろう。


 俺の方は魔法を開発すればするほど強くなる。

 たぶん、彼女らの対策魔法を作れば今でもいい勝負ができるはずだ。


 死んだ敵も生き返らせて奴隷にした。

 スラムの死んだ人間も全員生き返らす。

 怪我人も治してこれで万事解決。


「しかし、タンタルは何でこんなことをしたんだ」


 奴隷になった奴で、一番偉そうな奴に尋ねる。


「呪符の売り上げが落ちて、黒幕をあぶり出そうとしたのではないでしょうか」


 それじゃそのもくろみは成功しているな。

 ただこっちの戦力の計算を読み違えただけか。


「バリアブル領で不況になって恨まれるのは嫌だな」

「よろしければ、オルタネイトで手を打ちましょうか」


「手ってなに?」

「引き抜きですわ」

「呪符職人を引き抜くのか。そうなると地元の商人とかもろもろがもっと不景気になって困るな」

「あなたが、後継ぎになればよろしいのでは」


 くっ、やったことの責任を取るのなら致し方ないのか。

 タンタルを隠居させて乗っ取るか。

 それしかないのなら仕方ないな。

 領民のためを思えばか。


 しばらくは、放っておくしかないか。

 領民のみなさん、申し訳ない。

 あとで贅沢をさせてあげるから、しばらく我慢してくれ。


「奴隷にしたバリアブルの影の者はうちで引き取りたいですわね。いかがでしょうか?」

「うん、そうだね。こき使ってやって。タンタルが隠居するまで預けとく」

「ではそのように」


「私には何もないの」

「マイラ、よくやった。お礼に石英の薔薇の花束をやるよ」


 これは浮浪児に作らせようと魔法を作った。


「ふん、こんな花ぐらいじゃ騙されないんだから、次にこういうことがあったら、もっと立派なのを用意しなさい。貸しよ貸し」

「その時は何か用意しておくよ」


 とりあえずの危機は去った。

 タンタルはこれからもやらかすだろうな。

 だが、負けない。

 今世の無念を晴らしてやりたいからな。


Side:タンタル・バリアブル

 もう我慢ならん。


「影の者全員と、手が空いている子飼いのゴロツキを集めろ。諸悪の根源であるスラムを根絶やしにする。きっと魔王が出て来るから、確実に仕留めろ」

「かしこまりました」


 しばらくして、側近が青い顔で戻ってきた。

 襲撃者全員が寝返ったらしい。

 そんな馬鹿な。


「王から書状が届いています」


 読んでみると、スラムを刺激しやがって、とうぶん謹慎だな、引退も考えろとある。

 くそう、わしの何が不味かった。

 魔王を甘く見ていたことか。

 分からん。

 しばらく領地でほとぼりを覚ますか。

 なに、しばらくすれば、また王都に復帰できる。

――――――――――――――――――――――――

 コンテストは中編なのでこれで完結です。

 続きを書くとしたら改訂して大幅リニューアルしたいですね。

 ガチプログラムシリーズは、まだ手探り模索中。

 プログラム部分をもっとファンタジーに近づけたらなと思いながら毎回書いてます。

 改訂するならプログラム部分のギミックを何か考えたいです。

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異世界で俺だけがプログラマー; else //エルス~魔力増加能力を吸い取られ捨てられた。浮浪児のエクストラハードスタートも、なんのその。幸せに生きているうちにいつの間にかざまぁしてた~ 喰寝丸太 @455834

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