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 夜になった。夜の東京ディズニーリゾートも楽しい。恒例のエレクトリカルパレードだ。様々な乗り物が電飾を施して、パレードをする。とても幻想的だ。


 今夜も多くの人が集まっている。3人も見に来ている。3人とも楽しみにしていた。中学校の頃は見なかったが、小学校の頃は見た。初めて生で見たエレクトリカルパレードはとても美しかった。その素晴らしさを、凛空にも知ってもらいたいな。


「もう夜だね」


 と、もうすぐエレクトリカルパレードが始まるアナウンスがあった。3人はもちろん、多くの人が盛り上がった。いよいよ待ちに待った、エレクトリカルパレードだ。


「そろそろエレクトリカルパレードだ」

「わーい!」


 凛空は喜んでいる。物心ついてから初めて生で見るエレクトリカルパレード。どんなものだろう。楽しみだな。


「凛空も楽しみ?」

「うん!」


 凛空がワクワクしているのを見ると、笑みがこぼれる。やっぱり凛空にも楽しい時間が必要なんだな。虎次郎が来る前はなかったのに、虎次郎が来てからそんな時間が増えた。虎次郎に感謝したいな。


「そっか。きれいだもんね」

「ああ」


 と、おなじみの曲とともに、シンデレラ城の方から、電飾を施した乗り物が見えた。3人はそれを見て、興奮している。


「始まった!」


 次から次へと電飾をまとった乗り物が通り過ぎていく。それらの乗り物には、ディズニーのキャラクターが乗っている。特に凛空はミッキーマウスやミニーマウスに夢中だ。3人はその美しさに見とれていた。これが東京ディズニーリゾートの今日1日のフィナーレなんだ。


「修学旅行で行ったときには、見なかったな。それ以前に行った時は見たんだけど」


 今日も多くの人が来ている。いつになっても、エレクトリカルパレードは大人気だ。家族で楽しめるな。


「こんなに多くの人が来てるね」

「今も昔も大人気だね」

「そうだね」


 凛空も大興奮だ。これが生で見るエレクトリカルパレードなんだな。テレビでは味わえない興奮って、これだろうか?


「すごーい!」

「本当にすごいわ」


 いつの間にか、亜希子も声を上げていた。まるで子供に戻ったかのようだ。どうして電飾は、多くの人を引き付けるんだろうか? 幻想的で美しいからだろうか?


「きれい!」

「やっぱエレクトリカルパレードは最高だね」


 虎次郎も子供に戻ったかのように興奮している。特に虎次郎は、アラジンに興奮している。子供の頃に見て、とても好きになった。いつかアラジンのような恋をしてみたいと思い、憧れた。そして、大人になった。これから自分は、亜希子とどんな生活を送るんだろう。どんな生活を送るかわからないけど、いい家庭を築きたいな。


「感動的ー」


 凛空はすっかり虜になっていた。東京ディズニーリゾートに行けて、とてもよかった。また行きたいな。今度はいつ来れるかわからない。だけど、今度来た時は、もっと多くのアトラクションに乗りたいな。


「でしょ?」


 どうやら気に入ってくれたようだ。そんな凛空の表情を見て、亜希子は東京ディズニーリゾートに来てよかったと思っている。


「やっぱディズニーリゾートは最高だね」

「ああ」


 多くの人々も興奮している。誰もが幸せになれる。それが東京ディズニーリゾートだ。


「いつの時代もみんなの憧れだね」

「うん」


 と、亜希子はある男を見つけた。高橋だ。まさか、高橋も来ていたとは。亜希子は拳を握り締めた。高橋を見るたびに、頭にくる。それほど会いたくないのだ。


「あれっ、あの人」

「どうしたの?」


 虎次郎は横を向いた。誰か、知っている人を見つけたんだろうか?


「高橋」


 虎次郎は驚いた。まさか、高橋が来ていたとは。亜希子に反応しているんだろうか?


「まさか来ていたとは」


 ふと思った。また誰かと付き合っているんだろうか? また浮気でもして、離婚か破局はしていないんだろうか?


「また誰かと付き合ってるのかな?」


 だが、亜希子は決意した。もう高橋の事は忘れよう。虎次郎の事しか考えないようにしよう。


「わからないわ。もう何も言わないようにしましょ?」

「うん」


 2人は高橋から目をそらし、エレクトリカルパレードに集中した。相変わらず、次から次へと乗り物が通り過ぎていく。幻想的なパレードはまだまだ続く。


「本当にきれいだね」

「うん。東京の夜景もいいけど、これもなかなかなもんだね」


 2人はスカイツリーから見る東京の夜景を思い浮かべた。東京の夜景だけではなく、エレクトリカルパレードの夜景も美しいな。夜景は多くの人を引き付けて離さない。


「ああ」


 と、虎次郎はリュックからあるものを出した。指輪が入っているような箱だ。そろそろ告白しようかな?


「なぁ亜希子ちゃん」


 亜希子は横を向いた。何か言いたい事があるんだろうか?


「どうしたの?」


 虎次郎は箱を開けた。その中には結婚指輪がある。まさか、結婚してほしいというんだろうか? もしそうなら、大歓迎だけど。


「僕と一緒になろう」

「うん!」


 亜希子はそれを受け入れた。虎次郎は満面の笑みを浮かべた。こんな波乱の人生を送って来たけど、ようやく結婚という名のゴールを迎えそうだ。


「僕が幸せにするから、これからの人生、一緒に頑張っていこう」

「ありがとう、虎次郎くん」


 虎次郎は亜希子を抱きしめた。凛空はその様子を呆然として見ている。まだわからないようだ。だが、直にわかるだろう。3人で生活する幸せを。そして、これから2人で生きる日々が始まるだろう。2人なら、どんな困難も乗り越えていけそうだ。これからの日々を、頑張って一緒に生きよう。

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Additional Time 口羽龍 @ryo_kuchiba

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