第4話 だから
猫ちゃんの表情が変わりました。
そう。
生きていた頃の貴方の眼差しに。
フッと。
私の口元が綻びます。
そして。
いつものように問いかけるのです。
「今日の夕飯、何が食べたい・・・?」
泣きたくなるほどの切なさが込み上げます。
「野菜炒めが、いいな・・・」
貴方の低い声が響きます。
そう。
私の大好きだった貴方の声。
貴方が亡くなってから。
数年が経過して。
AIロボットの可愛い猫ちゃん。
私の、愛おしい貴方の記憶データがインストールされた。
人間じゃないけれど。
貴方ではないけれど。
瞳は。
貴方の眼差し、そのままで。
私を見つめてくれるのです。
アイコンをクリックすると。
猫ちゃんの貴方は、あの頃の貴方のままに。
優しい。
低い声で囁いてくれるのでした。
「野菜炒めが、いいな・・・」
私は。
猫ちゃんの貴方を。
ギュッとしながら。
囁きかえすのです。
「はい・・・」
そして、抱きあげた貴方に向かって、もう一度。
「いっぱい・・・」
いつものように涙で途切れた声で。
「食べてくださいね・・・」
ギュッとする私の耳元で。
貴方は優しく。
ニャオーンと。
ないてくれるのでした。
結局は2 進藤 進 @0035toto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます