第4話 だから

猫ちゃんの表情が変わりました。


そう。

生きていた頃の貴方の眼差しに。


フッと。

私の口元が綻びます。


そして。

いつものように問いかけるのです。


「今日の夕飯、何が食べたい・・・?」

泣きたくなるほどの切なさが込み上げます。


「野菜炒めが、いいな・・・」

貴方の低い声が響きます。


そう。

私の大好きだった貴方の声。


貴方が亡くなってから。

数年が経過して。


AIロボットの可愛い猫ちゃん。

私の、愛おしい貴方の記憶データがインストールされた。


人間じゃないけれど。

貴方ではないけれど。


瞳は。

貴方の眼差し、そのままで。


私を見つめてくれるのです。


アイコンをクリックすると。

猫ちゃんの貴方は、あの頃の貴方のままに。


優しい。

低い声で囁いてくれるのでした。


「野菜炒めが、いいな・・・」


私は。

猫ちゃんの貴方を。


ギュッとしながら。

囁きかえすのです。


「はい・・・」

そして、抱きあげた貴方に向かって、もう一度。


「いっぱい・・・」

いつものように涙で途切れた声で。


「食べてくださいね・・・」

ギュッとする私の耳元で。


貴方は優しく。


ニャオーンと。

ないてくれるのでした。

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結局は2 進藤 進 @0035toto

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