女騎士「愛してるぜ!」オーク「やめてください!!」

@mappousisou4444

プロローグ

 碧玉の太陽が南中し、真紅の月が沈む。辺境に向かう道に人影2つ影4つ。

 「聞いてもいいですか?」

 巨躯の馬に乗る巨躯のオークが口を開く。

 「なんだ?」

 美しい馬に乗る美しい女騎士が答える。

 「今回の依頼はどういったものなんですか?」

 女騎士は依頼書をオークに投げ渡す。

 「ふむふむ、洞窟に住み着いた猛獣の退治ですか」

 「おう、猛獣とあるがおおかたコカトリスやキメラの類だろうぜ。どちらにしても私の敵じゃないな。」

 「めずらしいですね。こんな普通の依頼を受けるなんて。依頼額も普通ですし、、、。」

 「鋭いな。成長したか?」

 「??。どういうことです?」

 「ありえないんだよ。こんな辺境の貧乏そうな村で普通の、、、適正価格で魔獣討伐を依頼できるなんてよぉ。こりゃなにかあるぜ?私様が大暴れできそうななにかがなぁ!」

 オークは呆れた顔をする。その刹那!二人を物々しい装備の集団が囲む!

 「よぉ!元気そうだなぁ!!命か荷物かどっちか置いてけや!俺たちゃどっちもでもかまわないぜ?」

 盗賊である。ここら一帯を荒らしまわっている手練れで、領主も手を焼いているようだ。盗賊の一人が女騎士に下卑た視線を向けたのち口を開く。

「そこの女は上物じゃねえか。それにオークをつれてるなんざぁそういうことだろ? 今晩は俺とどうだ?愛はサイズじゃなくてテクニックだぜ?」

盗賊たちの下卑た笑い声に女騎士は吐き捨てるように答える。

「私たちはプラトニックなんだ。そういうのはお呼びじゃないね。」

ちょっと、と緑色の頬を紅潮させ抗議するオークをよそに盗賊が答える。

「そのうすらでかい化け物とか?趣味がわるいな。俺の方がハンサムだぜ?」

そういいながら盗賊は二人に近づく。

「おっと、そこは射程圏内だ。」

次の瞬間、盗賊の頭がずり落ちる!突然の異常事態にざわつく盗賊たち!だが、次の瞬間!全員同じように真っ二つだ!死屍累々の中で女騎士は事も無げにショートソードを鞘に納める。

「何も全員殺すことないじゃないですか!」

緑色の顔を青くしてオークが言う。

「この手の連中はこうするのが一番早いのさ。それとも、縛って殴って、お前の好きな善人とやらに矯正するか?」

オークが言葉に詰まったのを見た女騎士は馬から降り、死体をあさる。

「お!見ろよ!この盗賊金持ちだぜ!今夜の宿は豪華になるぞ!」

「あなたはいつもそうやって、、、。こんな世界だからみんなで助け合ってですね、、、。殺して奪うなんてもってのほかです!」

「そんなこといっちゃってさぁ。世の中みんなこんなもんだぜ?」

抗議の声を上げるオークを背に死体をあさる女騎士はぼそりと「お前の悪口言ったしな。」とつぶやく。

「なにかいいました?」

「いや、なにも。」

そういうと女騎士はオークを見つめニヤリと笑う。

「愛してるぜ!」

「やめてください!!」

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