愚作スパークル

東京、アイドル志望、無職。
オーディションに落ち続ける毎日の彼女に突如告げられたのは、同棲していた彼からの別れだった。
「俺が帰るまでに出て行ってくれ」
鞄一つで夜の街にふらふらと出た彼女は、ふとライブハウスに足を踏み入れる。その小さなハコには、数人の歓声と聴くにたえないパフォーマンスが響いていた。
すぐに立ち去ろうとする彼女だったが、その瞬間、ステージから名前を呼ばれた気がした。

―—今思えば私の人生の過ちは、あまりにも世界を舐めていたことでも、タダで夢を見ようとしたことでもなかった。この腐りきった結末は、あの一瞬から始まったのだ。
「置いて行かないで。」そう言うのは、彼だけで十分なのに……。