第3話 告白
*ある日*
『整形しようと思う』
夕食中にそう父さんは言った。
『え!?何で!?』
母さんは驚きながら聞く。
『昔から女になりたかったんだよね』
父さんは珍しく言いにくそうにいう。
『え?』
みんな困惑している。
『最近さ、世間も寛容になったし。女になろうかなて……』
『……』
『来月に鼻の整形するから』
そう言って父さんは食事を終えた。
『そう……』
母さんはそれだけ言った。
そして本当に父さんは整形をした。実際父さんの稼いだ金だから母さんは何も言えないのかもしれない。
*またある日*
『また、整形するから』
父さんはまた僕たちに報告する。
そしてまた本当に整形をした。
でも、結局、今まで通りの父さんと同じ感じ、正直どこも変わっていない態度もやっていることも。あの日の宣言は嘘のなのかもしれない。毎日何かで怒られる、殴られる。
*またある日*
『何で!掃除すらしないんだよ!俺が!全部家事しろって言ってのかよ!?』
母さんがリビングの掃除をしていなかったことに僕と弟との勉強を一旦終えた父さんが怒り始めた。
『何よ!!私だって!仕事から帰ってきて疲れてるの!』
『はあ!?何だよ!アサ雑巾!なら!早く帰れ!どうせ安月給だろが!!』
『あんたと違って!残業代でんのよ!!』
母さんと父さんの喧嘩は1時間ぐらい続いた。結局父さんが掃除をした。そして寝るまで父さんと母さんは口を聞かなくなった。
最近になって少しずつ母さんが父さんに反抗するようになった回数が増えた気がする。
*またある日*
なぜか今日は母さんと父さんだけで出掛けて行った。帰ってくるのが夜遅くになるらしく今日は弟と近くの吉野家とマックで夕食をテイクアウトして夕食を済ました。
『ただいま〜』
父さんと母さんが帰ってきた。
リビングに父さんと母さんが帰ってくる。
『どこ行ってたの?』
『宝塚観てきたの!すっごく綺麗ですごかったよ!』
母さんが楽しそうに話し始めた。
『ほら!聖乃あすかさん!すごく綺麗でしょ!』
母さんは新しい趣味を見つけた。その日から少しずつ宝塚のグッツが増えて行った。
*またある日*
『あさこさん、あんたの着もしないワンピースきるね』
家族みんなで出かける時に父さんは言った。
その後の会話は聞いてないけど、父さんの怒声と母さんの怒声が止んで父さんはそのワンピースを着た。
『ママ、パパと離れてるよ』
『いいの』
その日の買い物は終始父さんと母さんは遠くに離れていた。
遠くから見る後ろ姿の父さんはショートヘアの女性に見えた。
その日も夜は父さんといつも通り怒られながら勉強した。でも最近は母さんが父さんと喧嘩する時間が増えたので減ってきている。
*またある日*
『今日はそごうに行こう』
父さんがそう言ってみんなで出かける。
当たり前のように母さんの服を着て父さんは外に出て、当たり前のように母さんは外に出ると父さんと会話しなくなる。
『何で、ママ遠くにいるの?』
今日は父さんと一緒に歩いているので聞いてみた。横目からでもわかる、もう髪の毛はまるで女性みたいに伸ばしている。
『あさこさんはりつとは歩きたくないって』
『りつて?』
『りつはねスーパーパパリンコ様の新しい名前。今後はりつこ妃殿下とお呼び』
父さんはニコニコしながら歩く。
*またある日*
『今度、豊胸手術するから、あと、ホルモン注射』
父さんはいつも通りに言った。
『はあ!?パパ!いくら使うのよ!!!いい加減にして!大体なんで女なのよ!!恥ずかしくてもう外歩けないじゃない!会社の人に見つかったらどおするのよ!?』
初めて母さんがキレた。
『は!何だよ!りつが稼いだ金の範囲だろ!好きにしていいだろ!』
『あ!そう!じゃあ私も宝塚にもっと金使うから!!!』
『何だよそれ!お前のは安月給だろうが!』
『だいたい!パパが宝塚なんて誘ったのが悪いんでしょ!!……それに!あんたが気持ち悪いのよ!!何が女よ!私を騙していたの?!!!宝塚やめて欲しいなら元に戻ってよ!その長い髪も気持ち悪い!!!それに何よ!あの宅配便!律子て!?あんたの名前はりゅうじでしょ!?おかしいのよ!』
パパはスーパーママリンコ様! ライカ @rururu1123
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