第2話 変化
『ママ!パパどこ!?』
僕は母さんに父さんの居場所を聞く。
『え〜と、あ!もうパパ、津田沼よ!30分ぐらいで帰ってくるよ!早く片付けないと怒られるよ!!!』
母さんは料理する手を止めて僕に父さんの居場所を伝える。
『うーい。わかった』
僕は30分あるしで、脱ぎっぱなしになっている学校の制服と散らかった弟のオモチャと洗濯物で埋まっているテーブルを放置した。
『もう!ゆう!早く片付けな!』
警告されてから十数分経っても動かない僕を母さんは料理しながら注意する。
『うーん、わかった。これ終わったら〜』
ゲームの試合中だったので無視した。
(ガチャ!)
『たーだいら〜』
悪魔の声が聞こえた!
『あ!!』
僕は急いで目の前のテーブルを片付け始める。
脱ぎ捨てた制服はソファーの下に隠す。
『あ゛!?何で!テーブルに物乗せてんだよ!』
急いで片付け始めても間に合うはずもなく父さんがリビングに入ってしまう。
『う、う〜』
『ゆうに片付けろて、言ったんだけど』
『は!?アサ雑巾!言うだけじゃねえだろ!やらせろよ!お前はいつも寝てるゆうを可愛がるだけじゃねえか!?』
父さんは料理中の母さんを怒る。
『おい!クソガキ!なんだ!このテーブルは!?』
『え、あ、……で、でも全部、しずのだし』
大体テーブルに散らかっているのは弟のだ。
『は!?お前がやるんだよ!』
父さんは許してはくれない。
『ん!?大体、この床掃除したのかよ!?おい!アサ雑巾!』
父さんは床を見て母さんに怒鳴る。
『え、あ、今日は時間がなかったの』
『ああ、そうかい。なら俺がやるよ!役立たず!』
父さんは掃除機のを取って部屋を掃除し始める。
僕も弟のオモチャと洗濯物をまとめる。
(ズズズ)
『ん?何だ?…………おい!糞虫!何で!?制服がソファーの下にあるんだ!?おい!』
『はーい』
僕は制服をとる。
『大体いつもズボンはハンガーにかけろて言ってるだろ!シワになるだろが!これだからキモいんだよ!この糞虫!』
『う〜は、い、そうですね』
少しムッとした。
『おい!何だ!?その反抗的な態度は!?……歯あ食いしばれ!』
『ん〜』
(バチン!!)
僕が口を閉じたの見て父さんは僕のほっぺたを一発叩く。
『ちょっと!パパやめてよ』
近くで見ていた母さんが父さんに言う。
『おい!アサ雑巾!こいつは牛か馬なんだよ!叩かないとわからないだよ!……大体文句があるなら、お前が躾しろよ!』
『……』
母さんは黙ってしまった。
『ほら、早くズボンかけて、ワイシャツは洗濯カゴに入れてこい』
『は、はい』
まだ、叩かれたところが痛むけどリビングから出る。
『ふー』
ワイシャツを洗濯カゴに入れてズボンをかけにいく。
自分の部屋のハンガーにズボンをかけてしばらく部屋で部屋にある人形で遊ぶ。
父さんがいないので気楽だ。
『おい!糞虫!まだ!テーブルが片付いてないぞ!』
数分後、リビングの方から父さんの怒声が聞こえた。
『は!はーいい!!』
急いでリビングに戻る。
『おせえ!アホ!』
父さんの横を通る時に頭を殴られる。
痛いけど、オモチャを片付け始める。
『ご飯できたよ!』
母さんの料理が終わり、食事用のテーブルに料理が並んでいた。
『おい!クソガキども!飯だ!こい!』
父さんの命令で僕と遊んでいた弟はテーブルにつく。
(ムシャ、ムシャ)
『あ!明日からテレワークだから』
父さんが食事中に宣言した。
『え?』
弟も僕も母さんも突然のことで驚いている。
『自宅で仕事すんの、会社の方針』
『へ、へー』
『で、だから、あさこさんはもう料理しなくていい。お前の不味い飯はいらない』
『え、はい、わかった。じゃあ、もっと長く仕事していい?』
『ああ、いいよ』
*翌日の夕方*
(ガシャ!)
学校から帰ってきて速攻でリビングに座る。
『おい!クソガキ!なにくつろいでいる。はよ、制服片付けろ』
後ろから
その日から父さんは毎週木曜日の出社日以外常に家にいるようになった。
毎日、毎日、怒られるのは変わらないのに。
*ある日*
『え!?、な!ぱ、パパ!?』
学校から帰ると化粧をした父さんが居た。
『あ〜ゆうか、父さん、化粧を始めたんだ』
父さんの机に並んだ化粧品に囲まれて父さんは言った。
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