もふもふ伯爵令嬢はイケメン侯爵令息をお婿にもらいたい!
宮前葵
本編
「私のお家にお婿に来ませんか? サージェル様」
彼に手を伸ばして私は言った。周囲がざわつく。
サージャル様はコルコス侯爵家の三男だ。長い銀髪と緑の瞳が麗しい貴公子で、社交界では大人気。三男という事もあり、幾つものお家が「婿に」と望んでいる超優良物件。
それに対して私、フローレンはバムルス伯爵家の長女。バムルス伯爵家は田舎貴族で領地は山ばかり。ある事情で貧乏では無いのだけど、社交界では軽く見られている家だった。
おまけに私は背が著しく低く、青い目が大きくて頬っぺたはふっくら。大人っぽい怜悧な顔立ちが持て囃される貴族としては不利な、圧倒的な童顔だった。
そんな私が、バムルス伯爵家が格上侯爵家の令息を、しかも社交界ですごい人気を誇るサージェル様を、婿にと望むなんて高望みも良いところだ。
だけどね。
私には勝算があった。この数ヶ月、慎重に私は作戦を展開してきた。今日の夜会はその集大成だ。私はふわもさっとした茶色い髪を振って言った。
「ご存じでしょう? 私のお家にはサージェル様がお気に召すものがいっぱいあります。私を含めてね!」
◇◇◇
私がサージェル様と初めてお会いしたのは確か二年前。私がまだ十三歳の時だ。
お父様に連れられて初めて出た夜会でご挨拶したのだった。
最初に見た時はびっくりしたわよね。まるでお話に出てくる王子様だ。実際、逞しいお髭の大男である王太子殿下より、サージェル様の方が王子様に見えたわよね。
その時、緊張してご挨拶をした私にサージェル様は光の粉が舞い散るような笑顔でこう仰ったのだ。
「これは可愛らしいレディだね。よろしく」
キラキラ貴公子のお褒めの言葉に私は舞い上がったわけだけど、これは当然リップサービスだ。それ以上何があったわけではない。
実際、それからはご挨拶をするのがせいぜい、という状態がしばらく続いた。
私はバムルス伯爵家の長女で、唯一の子だった。なので私は自分の婿を探す事が、お家のための自分の使命だと自覚していた。社交界に出るようになると、私はお父様や周囲の紹介で婿候補と交流するようになる。
貴族の家では長男以外、次男三男それ以下は家から何も引き継げないのが慣例である。兄弟全員に家の資産を分割していったら、お家の財産がすぐになくなってしまうからね。
だから貴族の長男以外はどこかの家に婿入りを目指すことになる。でも、それは非常に狭き門だ。当然よね。
考えてみれば分かるけど、婿入り先の条件が厳しいのだ。その家に娘しかおらず、家をその娘が引き継ぐと決まっている(親戚から養子を迎えて継がせる場合もあるから)のでなければ婿入りは成立しない。そういう家がそう都合良く何軒もあるとは限らないのである。
なので、そういう条件にピッタリ当てはまった家であり、娘である私の元には縁談が殺到する事になる。なにしろ、次男三男は婿入り出来なければ実家で部屋住みのまま兄に仕えて独身のまま一生を終えるか、平民落ちして平民から嫁を取るしかないのだ。
貴族として身を立てたければ戦争か何かで大きな功績を残して叙爵されるしかないけど、そう都合良く機会があるとは限らないわよね。
だからなんとしても婿入りしたい。そう思った貴公子達が、それはもう何人も私の手と取るために私の前に列を成したわけだ。
でも、その列の中にサージェル様はいなかったのよね。
サージェル様のお家コルコス侯爵家は王国の大名家だ。何人も宰相や大将軍を輩出しているお家柄で、今のご当主様も大将軍である。
そんなお家の三男であるサージェル様も軍隊にお入りになり、将来を嘱望されているのだという。つまり、戦争でも起これば功績を上げて叙爵される可能性が十分にあるということだ。
三男とはいえ大名家の令息で将来性も十分な彼である。婿にすればコルコス侯爵家と親戚にもなれるわけだし、サージェル様が出世なされれば家格の上昇も期待出来る。
つまりサージェル様を婿にする事には、婿入りさせる側の家にとって大きなメリットがあるのだ。そうなればそこらの次男三男とは話が別である。
サージェル様の元には婿入りを願うお家が列を成す事になるのだ。中には、その家の長男を差し置いて、娘の婿にして家を継がせようとしていたお家もあったらしい。
そんなサージェル様が田舎貴族のチンチクリンの令嬢の婿になりたがるか、といったら、それはなりたがる訳がない。
そんな訳でサージェル様は私の婿候補には、最初は含まれていなかったのだ。
◇◇◇
……なんだけど、私はサージェル様が好きになっちゃったのよね。
だって、カッコいいんだもの!
あの方はお顔立ちが良いだけでなく、性格までがイケメンなのだ。
例えば、ご挨拶をするとこうだ。
「ごきげんよう。サージャル様」
「ああ、バルムス伯爵令嬢。ごきげんよう。おや? 今日はオレンジ色のドレスなんだね」
そのドレスは確かにその日初めて袖を通したドレスだった。彼はそういう事にしっかり気が付くタイプなのだ。
「うん。いつもの紺色のドレスも似合うけど、そのような華やかな色も似合うね」
……クラっときますよね! この方は、こういう女を喜ばせる言動がサラッと言えちゃうタイプなんですよ!
困った事にこれが無自覚で、勿論だけど私だけではなく色んなご令嬢にこれをやっているのだ。記憶力が良いんでしょうかね。そんなに親しくお会いした事のない筈の私のドレスを覚えているのだから。
他にもさりげなく手を取る仕草だとか、女性にサッと椅子を引く所作だとか、ダンスを踊る時のエスコートのスムーズさだとか。いちいちやること成すことが格好いいのだ。
そんなだからサージェル様はご令嬢から大人気で、でも婿入り予定の三男だから嫁入り希望のご令嬢は泣く泣く近付けない状況で、その結果私のようなチンチクリンでもそこそこ彼と交流出来てしまった。
その結果、すっかり彼の魅力にやられてしまったのだ。私が。
日々サージェル様の事を想い、彼の姿を思い浮かべ、寝ていてまで夢で彼の幻影を追い掛けることとなった。
こうなると、これまで婿候補として付き合って来た他のご令息の皆様はもうカボチャだとかイモだとしか見えなくなってくる。サージェル様があまりにも強烈すぎるのがいけないのだ。
私は密かに決意した。私は、絶対にあの輝く美青年たるサージェル様を婿に迎え入れてみせる、と。
ただ、まぁ、それは非常に厳しい戦いになるとは思っていたわよ。何しろ、サージェル様に秋波を送っていたお家は十では効かなかったし、我が家よりも格上のお家が何家も混ざっていた。候補のご令嬢達も皆様お綺麗で、私よりも頭一つぐらい背の高い人ばかり。私が混ざると大人と子供にしか見えなかったくらいだ。
お家の事情でいうと、私は必ず婿を取らなければならず、そのためには多くの婿候補の皆様となるべく広く浅くお会いして、交流しておかなければならなかった。というのは、婿候補の皆様も私がダメなら他を当たらなければならないわけで、自分に目がないと思ったらすぐに私を見切って次の方にアピールしなければならないのだ。もしも私が一人の方に心を定める様子を見せようものなら、他の求婚者の皆様は瞬時に私の周囲から消え失せる事だろう。
なので私はお父様から、なるべく一人の方を贔屓しないようにと言われていた。多くの候補の方の中から良い候補を選び(その際には私の意向も一応は考慮されるみたいだけど)そのお家と有利な条件で婿を取れるように交渉するのだそうだ。これがもしも私が一人の候補に決めてしまうような素振りをすると、相手のお家は足下を見て条件を吹っかけてくる可能性があるらしい。貴族の婚姻って本当に取引よね。
そんなだから私はサージェル様とお会いしたり交流したりするのは良いけど、彼に特別な好意を寄せている所を見せるわけにはいかなかった。そんな事をしたら婿候補が減ってお父様に怒られてしまう。そもそも私が「サージェル様を婿に選びました!」と叫んだって彼が同意してくれなければどうにもならないわけで。
だから私は、気持ちを心の深いところに沈めた。
沈めたんだけど、諦めなかったわよ。私はもうサージェル様こそ私のお婿さんだと勝手に決めて、彼と結婚するのだと心に定めていたのだ。
彼と結婚するのに必要な要素は、まずお父様の同意。娘の結婚の最終決定権は父親にあるからね。次にやはりサージェル様の同意だった。
この内、お父様の同意は問題無いんじゃないかと思う。何しろサージェル様はコルコス侯爵家の三男だ。コルコス侯爵家と縁繋がりになれるならお父様も文句はあるまい。それにサージェル様の能力は誰もが認めている。我が家に来てくれれば願ったり叶ったりだろう。
だから、私と彼の婚姻に立ち塞がっている壁は、偏にサージェル様のお気持ち、という事になる。
つまり、サージェル様を私が「落とせれば」彼は我が家にお婿に来てくれる。私は大好きなサージェル様と夫婦になれる。やってやろうじゃないの! 私は必ず彼の事をお婿にしてみせる!
◇◇◇
私はサージェル様の観察を始めた。つまりストーカーだ。
戦に勝つにはまず敵を知ることよね。サージェル様の事を何も知らなくては、彼の気を惹くことは出来ない。当然だ。だから別にストーカーは私の趣味ではない。いえね、単純に彼の事を知れれば知れるほど嬉しくて楽しくはなったけど、あくまで目的は彼と結婚することだ。
私は彼の周囲でさりげなく聞き取りをして、彼の行動をチェックした。勿論、貴族令嬢たる私が彼の事をつけ回したら目立つので、私は自分の侍女のアンナに命じてこっそり(お父様にでもバレると面倒な事になる)彼を尾行させた。
その結果、彼の事が段々分かってきて、私は歓喜に打ち震えた。好きな人の事を知れるって幸せな事よね?
サージェル様は歳は私の四つ上。身長百九十センチメートル。体重は八十五キログラム。髪は銀色で瞳は薄い緑だ。足のサイズは二十七センチ。
王国軍の事務所にお勤めで、十九歳になった現在は王国軍第七師団の師団長副官の地位に就いておられるとか。階級は大尉で、この階級は王国軍士官学校を優秀な成績で卒業され、優れた実績を残した方でないとなれない。つまり非常に優秀な軍人さんなのだ。
士官学校時代の成績は当然主席で、当時外国の士官学校に留学をしていた事もあって、そのためか数カ国語に通じているらしい。当然だけど運動神経も抜群で、軍の剣術大会で準優勝した事もあるんだって。なにその万能さは。
婿入りしないでも軍の実績で将来的に叙爵される事はほぼ確実と見られているので、周囲は婿ではなく嫁を取っても良いのでは無いかとさえ思っているとか。特にお父様の侯爵閣下はサージェル様を非常に可愛がっていて、下手な家には婿に出さないという噂だった。反面、サージェル様には甘いらしいので彼が強く望めばその家への婿入りを拒否する事は無いだろうとのこと。
軍人さんで忙しいのでそれほど社交界への出席率は高くないが、出れば一気に彼はパーティの主役になる。話術もダンスも超一流で、私も接したように気配りも完璧。笑顔も麗しく、彼の手を握ろうと画策しているのはご令嬢だけでなくご夫人がたにも多いのだ。
お芸術にも堪能でバイオリンが得意で絵も嗜まれる。……とにかく非の打ち所のないスーパー貴公子。それがサージェル・コルコス侯爵令息なのだ。
こ、こんな方をどうやって攻略したものか……。身長は五十センチも小さく、童顔で髪はフワフワ。下手をすると子供にも間違われるこの私。どう多めに見積もっても彼の隣が相応しい外見とは思えない。何度かダンスをして頂いたけれど、あの方のコンパスが長すぎて中々ステップが合わなかったもの。
婿取りを考えている令嬢として、一応は彼の婚約者候補だと周囲には見られていると思うけど、その中でも大穴、ダークホースと見られている事は間違い無いだろうね。でも、私は絶対に諦めないけどね!
私は慎重に彼の観察を続けた。実に二年に渡ってね! 私は十五歳。彼は十九歳になった。そろそろ私は婚約者を決めねばならないし、彼の方もそろそろ自分の意向、婿入りか嫁取りかを決めなければならないだろう。しかし、なかなか突破口が開けない。彼についての知識はかなり増えたんだけどね。好きな色は白。意外にも甘いお菓子が好きで、お酒はあまり嗜まない。タバコはお嫌いで、賭け事は結構お好きとかね。
焦り始めた私だったけど、焦っても仕方がない。アンナの尾行情報と合わせて彼の傾向と対策を練り、何とか彼に好かれようと試行錯誤する毎日だったわ。
そんなある日の事だった。
ある日の夜会で、私は庭園にて他の何人かの令嬢と共にお話をしながら、目の端でサージェル様を追っていた。彼は何人かの貴公子と談笑していたんだけど、不意にスルッとその輪を抜けて庭園の奥へと入っていった。
これはチャンスだ。二人きりになれる。いつも多くの人で囲まれている彼と二人で会えるチャンスは滅多にないのである。私もお友達に断わってから、いそいそと彼を追って庭園の奥へと入っていった。
このお屋敷の庭園は広くて、生け垣で通路を作ってあり、お散歩には良い所だった。私は何度か来ていた事もあり、彼の行く場所は見当が付いていた。奥にベンチがあるのだ。多分だけど、あんまりお酒を飲めない彼が今日は貴公子達に大分呑まされていた。それで休憩したくなったのではないかしら。うまくすればベンチで二人で並んで座れるかもね。
と、私はそーっと件のベンチを覗き込んだのだが。そこにはちょっと衝撃的な光景が広がっていた。
案の定、サージェル様はそのベンチに少しだらしなく身を投げ出していらっしゃった。酔っ払ってしまったのね。首元を緩めて顔を赤らめるそのお姿はそれだけで扇情的で眼福だったんだけど、それ以上に驚く事があったのだ。
サージェル様が猫を抱いていたのである。迷い猫だろうか。茶トラと白が混在した毛色の、けっこう大きな猫だったわね。
サージェル様はその猫を抱き締めて、満面の笑みで笑っていたのだった。サージェル様観察歴二年の私も見たことの無い、それはサージェル様の本気笑顔だった。いつも私に向けている笑顔は社交用であることを思い知らされるくらい、それはもう顔がくしゃくしゃになってしまうくらいの顔の崩れ方だったのよ。
私はビックリしたんだけど、そのまま身を隠してサージェル様の観察を続けた。彼はそれは幸せそうに、猫のお腹に顔を埋めてグリグリして、猫は嫌がっていたわね。撫でてさすって頬ずりして、最終的に猫は逃げちゃったんだけど、逃げられた時のサージェル様の残念そうな顔ったら可愛くて額縁にいれて飾っておきたいほどだったわ!
彼はそのままベンチでぐったりと休憩なさっていたんだけど、私は結局彼の前に現れなかった。さっきの光景を見られたと思われたくなかったからね。私は足早にその場を離れながら、確信していた。
あれだ。これまで二年も彼を調査してきたのに知らなかったけど、多分彼は隠しているんだろうけど、あれだ。
彼は可愛いモノ、モフモフが好きなのだ。
あの様子は間違い無い。私の友人のご令嬢たちにも何人もいるし、貴族のご婦人にも多い。男性の立派な貴族のご当主様が、モフモフを見ると豹変する例も見たことがある。サージェル様のあの無警戒にしてそれは幸せそうな笑顔はあの類いだ。間違い無い。
きっと男性で軍人さんだから、可愛いモフモフが好きだなんてバレたらイメージダウンになるから隠していたんだろうね。これまでは気が付かなかったから。でも、それからそう思って注意深く見ていると、サージェル様はご自身でしているキツネの毛皮のマフラーとか、マントの毛皮飾りとかを、妙に執拗に撫でたり揉んだりしている事があるのだ。
他にも、ご婦人の毛皮の飾りを目を細めてジッと見ていたり、お部屋に飾られている猟の獲物を剥製にした物とかをなんとも言えない表情で見ていたりした。礼服の羽飾りを無意識にだろう、ずっと指で撫でている事もあった。どうもこれは余程お好きらしい。普段は動物に触れる事なんてほとんど無いのだろうから、禁断症状が出てしまうのだろうね。
私はその可愛らしい秘密に大いにときめいた。完璧な貴公子たるサージェル様の持っている秘密。それに恐らく、ご家族以外では私一人が気付いたのだ。可愛いわ! この方、凜々しいだけでなく可愛いなんて反則じゃない?
そして同時に思った。……これは、チャンスだ。千載一遇のチャンスだ。
彼が可愛いモノがお好きなのなら、勝機はある。可愛いなら、私は、私の家の領地は、大きなアドバンテージを持っているのだ。これを大いに利用しない手はない。
私はサージェル様の最終攻略作戦を計画し、実行に移したのだった。
◇◇◇
まず、私は社交にモフモフした小物を持って行く事から始めた。小物入れとか、マフラーとか、あるいは腰に毛皮を巻くとか。季節的におかしくて奇異に見られる事もあったけど、私は気にしなかったわね。目的があるから。
使用する毛皮は厳選したわよ。ふわっふわで繊細で手触りの良い物だけを持って行った。そしてそれを持ったり身に付けた状態で、サージェル様にさりげなく近付いたのである。
案の定彼の目の色は変わったわよね。隠しているようだけど私にはお見通しだ。私は無邪気な笑顔を浮かべながら彼にそそそっと近付いて、さりげなく毛皮の小物を撫でた。
「これはギンイロギツネの毛皮です。希少なものなのでちょっと自慢の品なんですのよ」
なんて言ってサージェル様に差し出す。するとサージェル様は「ああ、良い毛皮だね」なんて言って手を伸ばす。最初は遠慮がちなんだけど、何しろ厳選した手触りの良いものだから、しまいにはサージェル様は夢中で毛皮の手触りを堪能するようになったわね。
うふふふ。思うつぼだ。彼は私が日替わりで持ってくる毛皮が気になるようになり、私と社交で一緒になるとあちらから来て下さるようになった。
そういう交流を一ヶ月ほど続けて、私は次のミッションに移る。
「サージェル様は動物がお好きなんですか?」
無邪気な笑顔を装って私は爆弾を投げつける。さすがにサージェル様は喉が詰まったような表情になってしまった。ただ、流石に毛皮を嬉しそうに撫でている時の事だ。ちょっとごまかせないと考えたのだろう。彼はなるべく平静を装った表情で答えた。
「……ああ。嫌いではないよ」
「そうですか。そうそう。それなら実はですね。我が家には珍しい動物がいるんですのよ」
「珍しい動物?」
私はゆっくりと、彼の反応を見ながら言った。
「ホワイトドラゴンです」
サージェル様の目が大きくなる。咄嗟には声が出ないようだ。そうでしょう。そうでしょうとも。
ホワイトドラゴン。あれは全モフモフ好きの憧れの的だと言いますもんね。可愛いモノが、毛皮の手触りがお好きな彼なら知らないわけがない。
ホワイトドラゴンは竜の一種だけど、それほど大きくはない。成長しても精々体長二メートルくらいだ。性質も温厚で、人にもよく懐く。
そしてその名の通り、非常に美しい白い毛並みを持っている。それはもう鳥の羽とも獣の毛とも違う極上の手触りで、匂いも良く、別名を「神の毛並み」と言われるほどの最高級のモフモフなのだ。一時はこの毛皮を狙って乱獲され、絶滅の危機に瀕してしまった。現在は捕獲を厳しく制限されて毛皮の流通も禁じられている。
そのホワイトドラゴンが家のお屋敷にいるのである。何でかというと。
「実は、家の領地にはホワイトドラゴンが生息しているんですよ」
私はこそっと言った。これは極秘だからだ。何しろ希少な保護動物。生息地がバレたら密猟者が殺到しかねない。現在でもどこかから出た毛皮がとんでもない価格で取引されているくらいなのだ。なので王家から保護を命じられた我が家は、ホワイトドラゴンの生息地を厳重に守っているのだ。
サージェル様は生唾を飲み込んだわよね。
「そ、それは……。しかし、ホワイトドラゴンが家にいるというのは?」
「ホワイトドラゴンはペットとして他の王家などに贈呈される事があるんです。そういう時のために、我が家では常時、ホワイトドラゴンを二頭ほど飼育しているのですわ」
領地で子供のドラゴンを捕獲してきて、それを育てて人に慣れさせるのだ。そのホワイトドラゴンは王家がもの凄い値段で買い上げてくれる。ほとんど特産品が無い家の領地が意外なほどのお金持ちであるのはこれが理由である、勿論極秘であるから家にホワイトドラゴンがいることは私の友人でさえ知らないから、サージェル様は知らなかっただろう。
サージェル様はあからさまにソワソワし始めた。
「そ、そうか。しかし、それをなぜ私に……?」
私は殊更に彼に寄り添って、精一杯身体を伸ばして彼の耳元に囁いたのだった。
「触ってみたくはありませんか? ホワイトドラゴンを……」
サージェル様がたまらず陥落したのも無理はない。王家に贈呈されるような希少な最高のモフモフであるホワイトドラゴンに触れる好機を、モフモフ愛好家であるサージェル様に断れる訳がない。私は彼を家に招待する事に成功したのだった。
当たり前だけど、独身の令嬢が、独身の貴公子を家に招くという事には大きな意味がある。それはそれだけではまだ二人の仲は確定だと言うほどではないけども、二人は非常に親密である。少なくとも特別な関係一歩手前であると宣言するに等しい。
慎重なサージェル様だ。普通であればどんな事があっても独身のご令嬢宅を訪問するなんて事はしなかっただろう。しかし、ホワイトドラゴンの誘惑はあまりにも大きかったのだ。
私はサージェル様に配慮して、彼が私の家に来訪する事を吹聴するような事はしなかった。そんな事をして彼の心証を悪化させる事は避けたかったしね。私の真の目的はまだまだ先なのだ。こんなところで終わらせる気は無い。
ただし、お父様の許可は必要だったので、私はサージェル様を招く事をお父様には報告した。お父様は驚きのあまり椅子から転げ落ちたわよね。ただ、思った通り、相手が今をときめくコルコス侯爵家のご三男であるサージェル様なら否や無いという事でご許可を下さった。一応は他の婚約者候補には内緒にするようには言われたけどね。
そうして条件を整えて、私はお忍び用の黒い馬車でご来訪なさったサージェル様をお家にお迎えしたのだ。
まずは応接間でお父様を交えて歓談をする。この際に私もお父様も、彼を「婚約者候補」として扱わないようには気を付けたわよ。ただ単に家に遊びに来た私のお友達(そんな訳無いんだけど)という態で扱ったのだ。そうやってサージェル様の警戒心を解かないと、これからの交流が難しくなるし、二度と家に来難くもなってしまうだろう。
しばらく歓談して、それから私はサージェル様にお屋敷をご案内した。彼には家の事を気に入ってもらわなければならないからね。屋敷の主だった所と庭園をご案内して、屋敷の使用人にも紹介する。これには、彼にこのお屋敷に慣れてもらい、再びの来訪への心理的ハードルを下げる狙いもあった。
そして、いよいよ私はサージェル様を離れにご案内した。お屋敷の敷地の中に柵で区切られた区域があり、兵士が常時これを守っている。私は兵士に断わって柵の中に入ると、お父様と私しか持っていない鍵を使って離れの中に入った。
窓が多く取ってあり、中が非常に明るい建物だ。礼拝堂のように天井が高くしてある。ホールの中には絨毯が敷き詰められ、大きなボールだとか上って遊べるタワーだとかが設置してある。私とサージェル様、侍女のアンナが入って行くと、ホールの奥で身を起こす姿があった。真っ白で、長い首をしたキラキラフワフワしたモノだ。
『キュルルル!』
っと可愛い声を上げてそれ、ホワイトドラゴンは飛び上がった。翼をバサッと羽ばたかせるけどまだ上手く飛べないのでそれだけだ。着地すると、テッテッテッテと走って私の方に向かってくる。私は手を広げて迎え入れた。
「ミーン! 元気だった?」
ホワイトドラゴンの子供、ミーンは私に飛び付いてきた。まだ子供で体長は一メートルくらい。犬と同じようながっちりとした手足をしているけど、実は非常に軽くて私でも抱き上げられる。ミーンは私に抱き付くと、きっちりひっつめてある私の茶色い髪をハウハウと噛んだ。
ミーンはまだ五歳くらい。現在我が家で飼育されている唯一のホワイトドラゴンだ。ドラゴンの世話は私かお父様が自らすることになっているので、ミーンと私はもう仲良しである。私がアンナから餌である木の実を受け取ると、ミーンは赤い目を輝かせてキュルキュル鳴いた。
私はミーンに餌あげて、ひとしきり構ってから、満を持してサージェル様を見上げた。
うんうん。それはそうなるよね。
サージェル様はエメラルド色の瞳が零れてしまいそうになるくらい、目をまん丸に見開いていた。ミーンに視線は釘付けだ。無意識に手がワキワキ動いている。口が意味も無く何回も開閉していたわね。その茫然自失状態というレアな状態のサージェル様を十分堪能した後、私は抱き上げたミーンをぐいっと彼に向けた。
「触ってもよろしいんですのよ? サージェル様」
彼は、それはもう国宝級の宝石にでも触れるかのような緊張した様子で、震える手をミーンに伸ばした。ミーンは不思議そうな顔でサージェル様を見上げていたけど嫌ではなさそうだ。
遂にサージェル様の手がミーンのモフモフに触れる。その瞬間、サージェル様が辛うじて貼り付けていた貴族の仮面が剥がれた。彼は感動のあまり「おおおお……!」と声を上げ、満面の笑みを浮かべたのだった。
最初はおっかなびっくり。しかしミーンが嫌がらないと分かると、サージェル様は段々大胆になられた。ミーンを抱き締め、撫で、毛並みを堪能し、最終的には我慢出来なくなってその麗しいお顔を恍惚の表情を浮かべながらミーンのお腹に埋めていたわね。
ホワイトドラゴンは基本的に人なつっこいので、サージェル様のスキンシップを嫌がることもなく、その後私がお勧めしてボール遊びなどを一緒にやった結果、ミーンはサージェル様にすっかり懐いたのだった。懐いた動物はより可愛いわよね。サージェル様は飽きもせずミーンと遊び、抱き締めて、嫉妬を感じるくらい仲良しになった。
もちろんだけど、私も一緒にサージェル様とミーンと遊び、こっそりサージェル様との距離を大胆に詰めたわ。顔を寄せ合ってミーンの寝姿を見守る姿は、赤ん坊を愛でる夫婦みたいだったんじゃないかしら? 彼もミーンに夢中だったのもあるんだろうけど私との接触には全然警戒しなかったから、私は失敗するふりをして彼に何度も抱き付いたわね。
こうして、私の作戦は大成功に終わった。名残惜しそうにミーンと分かれるサージェル様に、私は無邪気を装って言ったのだった。
「どうぞ、いつでも来て頂いて良いのですよ? サージェル様」
◇◇◇
サージェル様はそれから何度も我が家に来て下さったわよ。それは忘れられないわよね。
サージェル様のお家にも犬や馬はいて、モフモフ成分が少しは補給出来るのだそうだけど、サージェル様自身は本当はかわいい系の生き物がお好きなのだそうだ。子供の頃は猫を飼っていて、非常に気に入っていたのだけど、老衰で亡くなってしまった。それからずっと理想のモフモフを探し求めていたようなのである。
そこにホワイトドラゴンのミーンと出会ったのだもの。彼は一気にその虜になってしまった。 噂になる危険性を十分に認識していながら誘惑に負けて、私に「今度また会いに行っても良いかい?」と自分から仰ってくるようになったのである。
家のお屋敷にくればお父様への挨拶もそこそこに私と二人でミーンの所に向かい、遊んで抱き締めて撫でて餌を与えて、それはもう至高のモフモフを存分に堪能なさるのだ。毎回なかなか帰ろうとせず、彼の従者がぐずる彼を引っ張って帰る有様だ。
ミーンと遊ぶ時は私も必ず一緒だ。なので必然的に私との距離も接近する。だらしなくミーンのお腹に顔を埋める所を見られているのだ。今更何を隠す所があるか、という感じで、サージェル様はすっかり私と気易くなり、私の前ではまったく取り繕う事がなくなったのである。そうなれば私とサージェル様は一緒にいる時間が必然的に増えて、その結果私とサージェル様の仲は社交界で大きな噂になったのである。
元々、婿取り希望の令嬢である私と、婿入り希望のサージェル様である。二人が親密になるイコール、サージェル様がバムルス伯爵家に婿入りするかも、という話になるのは避けられない。一応隠してはいるけどサージェル様が我が家を頻繁に訪れている事は既に噂になっている。
これはもう確定ではないか、という話まで出ているようで、私の周囲から求婚者が一気に減り、サージェル様の周りからもご令嬢がかなり減った。この頃にはお父様もサージェル様の事が気に入って、彼が来ると大歓迎で、サージェル様の方もお父様と気易くなり、お屋敷の使用人とも親しくなっていた。我が家としてはもうサージェル様をお婿にする方針で確定したと言っても良いだろう。
……あと一歩である。正直、私とサージェル様が噂になっているのはサージェル様だってご存じだろう。男女の仲が噂になるのは貴族社会では危険な事だ。本来は噂になるような事は避けるべきであり、避ける気ならサージェル様はとっくに私との接触を避けていると思われる。
それをしないのだから、サージェル様のお気持ちも、私と結婚してバムルス伯爵家に婿入りしても良いか、くらいにはなっているのだと思われる。その理由がミーンの事をいつでも愛でられるようになるからだとしても。それでも私と親しくなったのは間違い無く、彼が私を嫌っていないことは明白だ。
あと一歩。最後の一歩。最後の計画。それは彼に私を「惚れさせる」事だった。
私を、この小柄童顔の私を。あの長身イケメンの彼に惚れさせる。それが最終ミッションなのだ。私に惚れてもらい、私と相思相愛になって、私のお家に婿に来てもらう。そうなれば私の計画は完遂だ。ミッションコンプリートだ。あんな素敵な彼がお婿に来てくれればそれだけでもう最高だけど、彼が私を愛するようになってから婿入りしてくれれば完璧だ。私が幸せになれるのはもう約束された未来だと言って良いだろう。
……勝算は、ある。ここ数ヶ月、私は彼と親しくお付き合いをしてきた。そして間近から彼の事をずっと観察してきたのだ。その結果見出した勝機だった。
私は、最後の勝負に出ることを決意した。
◇◇◇
王家主催で行われた大きな夜会。私とお父様はこれに出席した。これ自体はいつもと変わった所などない。
いつもと違うのは私の格好だった。
今日の私はピンク色のフワフワしたドレスを着ていた。フリルやリボンも多い。かわいい系のドレスだ。子供っぽいと言い換えても間違いではない。
私は子供っぽい外見を気にしていたから、いつもはあえてシックな、大人っぽいドレスを選ぶようにしていたのだ。その制限を取っ払ったのはもちろんサージェル様にアピールするためだ。
結論から言うと、彼は多分人間もかわいい系が好きなのだと思ったからだ。
お屋敷で会う時に試したのよ。部屋着のタイプを変えて、彼の反応を。その結果、彼は私がフワッとした格好の時の方が楽しそうだった。子供っぽい格好の方が明らかに反応が良かった。つまり彼は、大人っぽい女性よりも子供っぽい女性の方がお好みだと思われるのよね。
つまり、私は彼の好みにそもそも合うのだ、と私は確信していた。それならば自信をもって私の素の子供っぽさを前面に押し出せば良い。そのためのお姫様ドレスだ。こんな格好をしていると私は五歳は年下に見られてしまうだろうから、ちょっと恥ずかしかったけどね。
そしてもう一つ。今日の私は髪を結っていなかったのだ。軽くウェーブした私の茶色い髪は、私の頭の上でぶわっと、もさっと、大きく広がってしまっていた。貴族的にはかなりみっともない。
私の髪量は非常に多くて、しかも細くてフワフワしているからセットが非常に難しい髪質だったのだ。梳かして軽くまとめた位ではどうにもならない。なので私はいつも整髪料をたっぷり付けて伸ばし、編み込んできっちり後頭部でひっつめる髪型にしていた。なのでサージェル様を含めて私のこの髪のことは知らないはずだ。
しかし、サージェル様はモフモフ好きだ。その彼なら、この私の髪もきっと好きになって下さるはず。私はここ数ヶ月のお付き合いでこれも確信していたのだ。
つまり、子供っぽい外観で手触り抜群なモフモフした髪を持っている私は、サージェル様のお好みど真ん中なのだ!
そうであれば私は自信を持って良い。自分の持っているモノを前面に出して、好きになってくれとアピールすれば良い。これに加えて家にはミーンがいて、サージェル様とは既に仲良しなお父様や使用人達がいて、私とももう気の置けない関係になっているのだ。これでどうよ? サージェル様? 家にお婿に来たくなったでしょう?
なので私は、サージェル様とダンスをして彼に私のフワフワ髪を存分に押し付けた後、彼に手を伸ばしてこう言い放ったのだ。
「私のお家にお婿に来ませんか? サージェル様」
と。
……確信はあった。彼が私の事を好きになるという確信だ。この数ヶ月。いや、その二年も前から彼を慎重に詳細に観察してきて出してきた結論だ。間違ってはいないと思う。いえ、間違っていない筈よね。間違っていないで下さい。
手を伸ばす私をサージェル様は最初はあっけに取られたような顔で見ていらしたわね。でも、段々顔が緩み、笑顔になり、遂には彼は声を上げて笑い出してしまった。意外な反応に私は目を瞬く。
やがてサージェル様は言った。
「その格好も計画の一部なのかい? フローレン?」
私はギクッとした。硬直する私にサージェル様は柔らかな笑顔を向けながら言った。
「な、何の事でしょう?」
「とっくに気が付いていたよ。君が私を手に入れるために色々と企んだことは。まんまとやられた。君ほど私の事をよく見ていた人はいないよ。まさか私の隠していた好みを洗いざらい見抜かれるとは思わなかった」
サージェル様はゆっくりと私に近付くと私の髪を手に取って撫でた。
「でも、こんな隠し武器まで持っていたなんてね。これには気が付かなかったよ」
彼は私の髪にチュッとキスをすると、華やかに笑った。それは社交的な笑顔ではなく、ミーンと遊ぶ時に見せる本当の笑顔だった。それが私に向けられている。この瞬間、私は自分の勝利を悟ったのだった。
「君と結婚したら、この髪を存分に愛でても良いのだろう? フローレン?」
「え、ええ。存分に、気の済むまで、ではなく一生愛でて頂いて結構ですわよ!」
「一生か。そうだね」
サージェル様は髪から手を放つと、私の足下に跪いた。私の手を取る。そして私の手のひらにキスをすると、私の顔を見上げて歌うように言った。
「私、サージェルをフローレン、貴女の婿にして下さいますか?」
「よ、喜んで!」
本来は溜めを作って、もったいぶってから答えるべきプロポーズに私は即答してしまった。そんな余裕はなかったわよ。宿願が叶って私は興奮し、感動し、震えていた。そんな私を立ち上がったサージェル様は優しく抱き寄せて下さったわね。そして私の髪を愛おしそうに撫でながら仰った。
「そうそう。一つ勘違いしているようだから言っておくけどね。フローレン」
「はい?」
「私は別に幼女趣味ではない。可愛いモノは好きだから子供は好きだけど。だから君が殊更に子供っぽい格好をする必要は無い」
ギクッ! ば、バレてる。私が密かにサージェル様が幼女趣味なのではないかと思った事までバレている。そう思ったから私はドレスを思い切り子供っぽくしたのだ。しかし彼にはそこのみ、お気に召さなかったらしい。後は完璧だったと仰った。
「そんな格好をしなくても。君は十分に可愛いし私好みだ。容姿も性格も。そしてこの髪は素晴らしいな」
サージェル様は私のフワフワ髪を撫でながら仰った。私は少し意地悪するつもりで問う。
「ミーンの毛並みとどちらが良いですか? サージェル様」
しかしサージェル様は流石である。即答した。
「愛しの婚約者の髪の方が素敵に決まっているだろう? 愛しいフローレン」
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もふもふ伯爵令嬢はイケメン侯爵令息をお婿にもらいたい! 宮前葵 @AOIKEN
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