第8話
次の日。
ルインはあれからしっかり寝た後、体調はマシになり謝罪とお礼をされて見送った。だが結局のところ問題を解決しなければまた体調不良になるだろう。精霊は特に魔力が良い意味でも悪い意味でも繊細なので何回も繰り返していれば最悪なことにもなりかねない。
とはいえ何の事情も知らない今の現状では何の力にもなれないので俺はとりあえず情報収集から始める。これは昔からそうで俺にとって情報収集は基本の基である。
「…という訳で知り合いを助けたいんだが妖精の国についてなんか知らん?」
「何がという訳だ、急に来をって。他の者に見られたら示しがつかなくなるだろう」
この立派な髭を生やした厳格なおっさんはメガリオ王国の王都本部ギルドマスター
『モリス・カーブ』と言って、俺がまだ学園に入る前は別のところで冒険者をやっていたのだがその時のギルドに当時は支部のギルドマスターとして居たのがモリスだ。
顔がムスっとしていてよく怖がられていたが割と優しく、良く助けてもらったし助けたこともあるしでお互い信頼してる仲といったところだろう。
「妖精の国か。マティアのことだろうが大雑把すぎるな、何が知りたいとかないのか?」
「些細なことでもいいんだが何か違和感だったりおっさんの勘だったり…」
「ふむ…そうだなぁ、マティア周辺のモンスターが年々強くなっていってるとか、あとはあそこの国を治めている精霊王が代わったとかだな」
「モンスターも気になるが王が代わった?最近の事か」
「そうだな最近の事だ。それこそ一か月前くらいか、まぁ我々は代わったところで何か変わる訳でもなく王族が祝いの品でも送ったりしたとかその程度だろう」
王が代わった、か。あの時ルインは魘されながら父と姉の事に対して呟いていた。
お姫様であるルインなら何かしら関係があることは間違いなさそうだが…。
「そうだ、さっき言ったマティア周辺のモンスターが年々強くなってる影響でこっちにも流れてきているモンスターが居てな。それで討伐してほしいヤツがいるんだが今暇か?」
「…俺に直に頼むってことは結構強いモンスターか?」
「いやそうでもないんだがな、今人手がそれこそマティア周辺だったりに行ってて安心して任せられる冒険者パーティーがほぼいなくてな。まぁいる奴に任せてもいいんだが少々面倒くさいヤツだからお前に任せた方が安心というだけだ」
「成程な。まぁ暇だし勿論いいぜ、情報貰ったしな」
「ふっ、その程度の情報はその辺で聞いても手に入れられるレベルだろう。俺の方でも調べておくからそのモンスターについては頼む」
「あぁ、頼んだ」
そう言って俺はそのモンスターのところに向かうことにした。
当時からよくそこのギルド冒険者では手に負えない様なモンスター等は俺一人やモリスと一緒に討伐しに行ったりしていた。モリスは観察眼が鋭くその冒険者にあった斡旋だったりが上手い。だからこそ無理のない範囲で依頼を冒険者に選んだりしていたのだが、偶にヤバいモンスターは出現する。そういう時は基本ギルド総出で立ち向かうのものなのだが、モリスが普通に強いのと数少ない俺の実力を察している人物なのでよく秘密裏に処理したりしていた訳だ。
今回は強いわけじゃないが面倒くさいやつと言っていたが成程。コイツは確かに面倒くさいな…、臭いというべきか?所謂ゾンビのようだ。
古の魔神は平和を享受する 秋朝災禍 @abemario
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