ウロコ族

三八

ウロコ族

とある村の浜辺に奇妙な格好の女の子が打ち上げられていた。上半身は普通の下着だが下半身は鱗がついたものだった。通りかかった男が声をかけた

「おい、大丈夫か」

反応はないが息はあるらしい。男は村のものを呼びに行った。

「ちょっと来てくれ、女の子が浜辺で気失ってる」

「どこの子だ」

「さあな、不思議なかっこしてるからよその子だろ」

「そうか、じゃあ俺はお医者様のこと呼びに行くから先行っててくれ」

そう言われ男は先ほど浜辺に向かった。しばらくすると医者たちが向かってきた。

「この子か、気を失ってるっていうのは」

「ええ、起きそうですかね」

「んー、」

「おーい、聞こえるか」

医者が大声で尋ねると女の子は目を開けた。

「よかった、気付いたみたいだ」

「君どっからきたの」

「あっちの島」

その女の子は海に向かって指を指した。男たちは相談し始めた。

「どうする」

「俺らじゃどうにもできないし長老のとこに連れて行くか」

男たちは長老の家に連れて行き、その夜村中で話し合った。

「あの子どうしようかね」

「島の場所はわかってるようだし明日にでも連れてってやるか」

漁師の男が言った。

「じゃあ俺らもついていこう」

見つけた男たちがもっともらしく言った。

 翌日朝早くから海へ出た。女の子の言う通り数時間ほど舟を進めると島が見えてきた。島に着くと女の子と同じ格好をした住人たちが何人もいた。住人たちが男たちと女の子を見つけ、

「もしや、あなたたちその子を送り届けてくれたのですか。ありがとうございます」

「いやいや、感謝されるほどのことでは、興味ついでに来ただけですよ」

「そう言わず、よってってください。その子は長老の孫ですから村中であなた達のことを歓迎しますよ」

「そうですか、じゃあ少しだけよって行きます」

男たちは満更でもなさそうに言った。

 歓迎の宴が始まった。珍しい料理が多く並び男たちは興味津々だった。

「この肉はなんの肉ですか」

「ここらに住んでいるあざらしという生き物の肉ですよ。くせはありますが食べればうんと長生きできますよ」

「なるほど、そういうものがいるのか」

「よければいくつか持ち帰ってそちらの村にも伝えてください」

「それはありがたい。村のみんなに伝えますよ。」

しばらくして、男たちはその島を後にし村に帰った。村に着くと帰りを待っていたものたちがよってきた。

「何か珍しいものはあったか」

「ああ、この肉なんだがな少しくせはあるがだべるとうんと長生きできるらしい」

「そりゃいいな、ひとつ食わせてくれ」


 しばらく時が経ちとある都での話。

「その方、何か面白い話はないか」

「それならば一つ。ここより西の方の海に上半身が人間で下半身が鱗に覆われている生き物がいてそいつの肉をだべるとなんでも永遠の命が手に入るのだとか」

「ほう、それは興味深い、しからばその生き物を獲ってまいれ」

「承知しました。しかしそれをなんと呼べばよいでしょう」

「上半身が人、下半身が鱗で覆われているのだから人と魚で人魚とでも呼べばよいだろう」

「ではその人魚を捕まえて参りまする」

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ウロコ族 三八 @mbshekkeb

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