満月

第1話

今宵は満月。

お月様がまんまる。

「君は太陽、僕は月。君がいないとぼくは輝けない」

なんていう、今となっては古臭いセリフもあるが、初めて言った方はすごい。

ウォー

遠くから遠吠えがする。

この辺りは、山が近くにある自然豊かな場所。

「オオカミの遠吠えか。ニホンオオカミだな」

ニホンオオカミは獰猛だが、遠くで聞いている分にはなかなか風情がある。

オオカミは群れる生き物だ。

当然、ニホンオオカミも群れているとおもうが、仲間への連絡か？

バウリンガルがあったら、聞いてみたいな。

確か、まだ残してたな。

使ってみよう。

バウリンガルを知らない？

調べてくれ・・・

シートン動物記で、「オオカミ王ロボ」というのがあったな。

あのオオカミは、種類は違うがロボと名付けよう。

ロボ、お休み。

ニホンオオカミは絶滅している？

まっいいじゃない。

『人間の少年よ、男なら自力で輝ける太陽を目指せ。月にはなるな。

月を見て吠えるのは、オオカミだけでいい』

バウリンガルにはそう表示された。