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後日談1


 

 私の名はシャンタル・アウラ。

 大国アウラの王位継承権第一位の王太女をさせて頂いている、どこにでもいるようなごく普通の次期女王でございます。

  

 そんなどこにでもいるような王太女の私は少し前までマリアベル・ハインツと呼ばれ、ネムス国の第一王子レオンハルト殿下の元で侍女をしておりました。

 

 どうしてそんなことをしていたかなんて言わずもがな……なので説明は省きます。

 ですがこれだけは、皆様にきちんとお話をせねばならないでしょう。

 

 マリアベルと呼ばれ侍女をしていた結果。

 明日の結婚式で、私の生涯の伴侶となってくれる素敵な男性に出会う事になったということを。


 そう!

 つまり私が何を言いたかったのかと申しますと、明日私はクロヴィス様と結婚するのです。

 

 ですがこの結婚に辿り着くまでに、それはもう様々な事が起こりました。

 

 まず初めにアウラでは貴族達が反対しました。

 私とクロヴィス様の結婚を。

 

 小国の貴族でしかない男が王太女と結婚するだなんてと、あーだこーだと好き勝手に。


 ただそれにつきましてはクロヴィス様が反対するアウラの貴族達にご自分の実力を軽くお見せになられまして、黙らせていらっしゃいました。


 すごいですね、クロヴィス様がちょっと外交の場に出ただけで長年燻っていた問題が解決するのですから。 

 私には到底真似が出来そうにありません、やはり高い教養と頭の回転速度なのでしょうか?


 そして次に起きた問題が厄介で。

 なにが起きたのかと申しますと、私からクロヴィス様を奪おうとする女性が現れたのです。

 その方はネムスと同盟を結ぶ公国の公女様で、以前からクロヴィス様に懸想されていたらしく。

 私達の結婚を知り、わざわざネムスまでやって来られクロヴィス様に迫られました。


 けれど当のクロヴィス様は公女様の猛アプローチを余す所なく全て右から左へ受け流し、全く相手にはされませんでした。 

 ですがそんなクロヴィス様の態度に公女様は、ネムス国に対して脅しを掛けられました。

 クロヴィス様を自分の婿に寄越してくれないなら、同盟関係を解消し戦争を起こすと。


 これを聞いて私は眩暈を覚えました、私達のせいでこの国の方々にご迷惑を掛けてしまうと。

 

 ですがここで、アウラからちょうどお父様がネムス遊びにやって来られまして。

 どうやったのかまでは存じ上げませんが、瞬く間に無事解決してくれまして。 

  

 ……今に至るというわけで。


「本当に無事解決してよかったです。一時はどうなるかと私、心配で心配で……」


「ごめんなルル、俺のせいで不安にさせて……」


「あ、別に責めているわけでは! それに今回公女様からのお誘いをクロヴィス様は『ルルしか要らない』と言ってずっとお断りしてくれていて……私、嬉しかったんですよ?」


「でも俺は本当にルルさえいれば、他はなにも必要がないんだ。愛してるのはルルだけ」


「わ、私だってクロヴィス様さえいれば、他はなにも! それに私もお慕いしているのはクロヴィス様だけ……ですから」


「そう? それは良かった」


 そういえば最近クロヴィス様は私の事を、『ルル』と愛称でお呼びされるようになりました。

 

 これまでずっと『マリアベル』と呼ばれて生きてきた私が『シャンタル』という名で呼ばれるのに慣れてない事から、考えて下さったみたいで。

 どちらの名前の愛称でもおかしくない『ルル』と、クロヴィス様は呼んで下さるようになりました。


 ……そして。

 明日は待ちに待った私達の結婚式です。

 

 

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妹に婚約者を結婚間近に奪われ(寝取られ)ました。でも奪ってくれたおかげで私はいま幸せです。 千紫万紅 @latefall

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