広志という男がいた。
簡潔に言えば情熱的な人だった。
荒っぽいけど、人をその気にさせるのが抜群に上手で、どんな落ちこぼれでも救ってくれた。
そう、私みたいな役立たずでも。
だから今になっても、はっきりと踏ん切りがつけられずにいる。
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深い溜め息をつきながら、この作品を読んでいた。
広志のような人と、同じ職場で仕事をしていたことがあったのだ。
作中の彼ほど極端ではなかったが、その人もまた、昔気質で二面性を持ちながらも、称賛されるだけの能力があった。
大きな施しと、それと同じくらいの傷を受けた。
今同じ職業を続けているのも、その人のおかげだ。
残された者は去った人の痕跡をただ見つめるしかない。
呆然と、太陽の通った名残を……