血の痕

闇島

血の痕

これは、友人の先輩が実際に体験したという話。


彼の実家は、商店街の近くにあり、

暇な時は、よく商店街の中にあるゲームセンターで時間を潰すことが多かったそうだ。


その日も、ゲームセンターに向かって商店街の中を

ぼーっと地面を見ながら歩いていると、点々と、

赤黒い液体が地面に滴り落ちているのを見つけた。


(なんだこれ、血の痕か?)


血の痕と思われるものは、商店街のずっと先まで続いている。


彼は暇だったこともあり、どこまでこの血痕が続いているのかを

確かめようと追ってみることにした。


点々と続く血痕は、商店街の細い路地に入り込み、

右へ左へとくねくねと彷徨うように続いていく。


ふと、違和感に気付いた。


血痕の大きさが、先程よりも大きくなっているのだ。


(もしかして、怪我をしてて出血量が増えてるのか?)


彼は言いしれぬ不安を覚え、足早に血の痕を追っていく。

血痕は、さらに大きくなっていって

最初は1cmほどだったのが、今は10cmほどの大きさになっている。


これが本当に流れ出た血だとすれば、かなりの出血量であり、ただ事ではない。


とにかく彼は、血の痕を追っていった。

最早自分が今、商店街のどこを歩いているのかもわからない。

ただただ、滴り落ちた血の痕跡を目で追うことに没頭してしまった。


そして、その痕跡は突然途切れた。

目の前には、袋小路で行き止まりになった壁と、その下には枯れた花束があった。


ここに来て、背筋に寒いものを感じた彼は、

一刻もはやくここから離れなければと思ったその瞬間、


「なんだ、西の人間か、見逃してあげなよ」


と、後ろから子供の声が聞こえた。


慌てて振り返るも、そこには誰もいなかった。


呆然としていると、突然、鼻からボタボタと血が吹き出し

眼から涙も溢れてきた。


彼は急いでその場をあとにし、元来た道を戻ることにした。


手では抑えきれないほどの、鼻血がボタボタと地面に落ちる中、

なんとか商店街の大通りに出たが、鼻血が止まる気配がない。


鼻を強く抑えても血が口の中に溢れかえり、

血を吐き出しつつ、これはとても病院まで歩いていくのは無理だと考え

携帯で救急車を呼んだ。


救急車が到着した後も血は止まらず、搬送された先の病院で

鼻血用の長いガーゼを鼻の奥まで突っ込まれ、すぐに検査もされた。

幸い大事には至らなかったが、両目とも結膜下出血で真っ赤になっていたそうだ。


友人の先輩は、好奇心が原因で危うく死にかけたと笑っていたそうだが、

正直、怖すぎてその商店街はあまり行く気がしなくなったと友人は語っていた。

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血の痕 闇島 @yamijima

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