第4話 薬のもう一つの作用
そんなある日、ハンム博士が訪ねてきた。
「そろそろ、薬を使い切る頃かと思いまして、また持ってきたんですよ」
「おぉ、久しぶりであるな!」
二人は久々の再会を果たした。
ハンム博士はオーズ氏を見るなり、
「ず、随分外見が変わられとようだ!」
と、驚いた。
「いやぁね、あなたの薬を飲んだら、この通りさ!」
オーズ氏は両手を広げた。
「まさか、人にまで効果を及ぼすとは! 興味深い!」
ハンム博士は興奮気味に顎をさする。
「なにもかもあなたのおかげだ。このおかげで私は諦めていた家族を持つことができた!」
オーズ氏は妻を紹介した。
「これはこれは、美しい方だ」
ハンム博士は驚く。
「あとは子供が授かれば一番いいのだが…」
「子供…」
ハンム博士はジッと考え込む。
「博士…?」
「オーズ様、あの薬はとても素晴らしい効果を発揮した。しかし、副作用もあるのかもしれない」
「というと?」
「この若さの薬は植物をその命が消える瞬間まで花を咲かせ続けるのです」
「うむ」
「植物が花を咲かせる理由は、次の世代に遺伝子を残すことです。だから…その…」
博士は困った顔を浮かべた。
「何なのだ?」
「つまり、この薬は植物のその機能を失わせる代わりに、花を咲かせ続けるのです」
「まさか…」
オーズ氏の顔が青ざめる。
「はい、生殖能力を失うのです。おそらく、この薬を使った、オーズ様、あなたにも同じ事が起きたのでしょう…」
若さの薬〜枯れない薬の効果とは〜 赤坂英二 @akasakaeiji_dada
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます