第20話
あれから二週間。
今のところ賭場は開帳されてないようだった。そっちはまあ一安心というところだ。
相変わらず猫語は理解出来るままである。猫文字も読める。
父さんの方はひとまずこれで良かったのだが、本題のほうはちっとも解決していなかった。
「また各務さんのところ言ってみるかなあ……」
相談するにしても今度はどう言い繕って経過を報告すればいいのか。
学校から帰って稲荷に行ってみる。お参りしてみたが、またもや返事はない。もう自然消滅を待つしかないのだろうか……。
「ほら見ろ、やっぱ猫族のほうだったにゃ。ハルの
境内の隅っこのほうで若い猫同士が会話している。猫の歳もだいたいわかるようになってしまった。
「さっさと出すにゃ」
「ふにゃ~」
一匹が、口に咥えたお酒のつまみらしい干し魚を、ぽいっともう一匹の方へ放った。
「猫のくせに狐に賭けるからにゃ」
なんだかいやに偉そうな態度だ。……賭ける?
「あ、夏雄さん!」
「あの人猫族の言葉分かるらしいにゃ……」
二匹の猫はそそくさと姿を消した。
……疑えばきりがないのだが、やはりどうもハルに上手く乗せられたような気がする。
あの時は否定したが〝猫は陰険〟という各務さんの言葉も検討の余地があるのかもしれない。
了
根古谷猫屋 八花月 @hatikagetu
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