超怖い女の略奪愛

 間男に絆されたクズ女は今更反省してももう遅い! 可哀想な主人公くんはクズ女の上位互換のような義妹ちゃんと添い遂げました! 因果応報スッキリ!

 でもこの作品の面白さはその「ざまぁ」の部分だけじゃないんです。凄いのは、主人公くんにあてがわれる新しい女の、影の色濃さ。彼女の気持ちになって考えると、とんでもなく恐ろしい話なんですね。

 生まれた時代が少しだけ遅かったばかりに姉の後塵を拝し続け、それでも叶わぬ恋に身を焦がし続けてきた彼女。それが姉の不貞を境に傷心の主人公へ擦り寄り、巧みに心を掴んでしまいます。似たような容姿に、潔白の内面。勝てないはずがありません。男なんてそんなものです。
 そして彼女は、己の想いを成就させるためなら血を分けた姉妹の情なんて無いも同然、ピカレスクロマンもかくやという結末に主人公を導くわけです。

 これは主人公からクズ女への「ざまぁ」であると同時に、陰の女から陽の女への惨くも美しい意趣返しだったのです。いや……スッキリというか……怖……