選択ルート②「また行こう」
昔、家族含めて花火大会に行った時、碧が大きな音にびっくりして、泣き出してしまったことを話した。
「初めてだったしな。俺もちょっとビビったし。」
翠がその時を思い返して言った。幼かった碧は、そのまま母親に泣きついたのだった。
「そう言って、あんただって一緒に泣いてたじゃん。」
その通りだったので、何も言い返せなかった。その当時彼女はなぜか、両親ではなく翠のところに走っていったのだ。そのまま、翠が耳を抑えてくれて、「これなら怖くないよ」と優しくしてくれたのだ。
「そんな思い出も、もうだいぶ前なんだな。」
翠がそう言いながら、3人分のアイスを持ってセルフレジに向かった。そんな前からずっと3人で一緒に遊んでいたのだと思うと、時間の流れは早いのかもしれない。
ただいつからか、こうやって3人で集まる回数は減っていた。中学生になると、それぞれ別の友達ができて、顔を合わせる機会も減ったからだった。唯一この勉強会が、彼女たちを繋いでいた。
このまま疎遠になってしまったら寂しい気がした。何か新しい思い出が必要かもしれない。彼女はそう思った。
***
翌日の夜。後は寝るだけの彼女は、毎日書いている日記をつけていた。するとスマホがなった。電話に出ると、相手は翠だった。
「今少しいいか?」
こんな時間になんだろうと思いつつ、彼の指示通り庭に出た。すると、目の前の彼の家の庭に翠が立っていた。
彼は電話越しに要件を伝えた。
「今年は花火大会の会場に行きたいんだけど、よければ一緒に行かないか?」
そのまま彼は色々話を続けた。ここ最近は、タイミングが合わなくて一緒に行けてなかったから、たまにはいいかなと思っていたことを、いつもより早口で伝えた。
彼は緊張すると早口になる癖があるため、今回も結構緊張しながら誘ってくれたのだとわかった。それに庭のフェンス越しに見えた翠の顔が、少し赤い。「それってデート?」と聞くと、「そう見える…よな」と恥ずかしそうに翠は答えた。
実のところ、この前道端のチラシを見て、また行きたいな思っていたのだ。そのことを伝えると、翠は嬉しそうに笑ったが、照れ隠しのため真顔に戻った。
花火大会の約束をしながら、彼女は…
【選択肢】
A「できるだけ近くに行きたい!」
→選択ルート⑤(https://kakuyomu.jp/works/16818093075927510526/episodes/16818093075928925455)に進む
B「屋台も色々回りたい!」
→選択ルート⑥(https://kakuyomu.jp/works/16818093075927510526/episodes/16818093075929138086)に進む
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