第6話 シュークリームうみゃいうみゃい

「はい。タマち」


「ん。ありがとう」


「どういたましてー」


「そこは、どういたしましてじゃろ?」


「いいの。いいの」


「良くないんじゃが」


「細かいことは気にしなーい」


「まったく……」




 呆れてはいるが、タマの目はシュークリームを掴んで離そうとしない。最近、甘味として、ちょっとずつ駄菓子は食べているが、ちゃんとしたスイーツを食べるのは本当に久しぶりだ。

 あまりの嬉しさに、にやにやが止まらない。




「かわいい……。ほんと、ずるいよね」


「ん?」


「こっちの話」


「そ、そうか?」


(まったく、タマちはずるいよー。何で、にやにや顔もこんなにかわいいの!! 写真撮るやつあれば撮ってたのに)


「も、もう、食べていいのか!!」


「かわ…んん! いいよ!」


(タマちはそのまま純粋に育ってくれ! でも、私より年上だよね? ま、いっか)


「「いただきます」」


「んふー!!!!」




 シュークリームを口に入れた瞬間、タマは喜びの声が漏れた。そして、その声に命を刈り取られたのか、安らかに眠りにつく者が隣に1人。




「お、美味しいのう!! 美味しいぞ!! のう! ミノちゃ、ミノちゃん!? おーーい!! ミノちゃん!!」


「わしゃあ、良き日々を過ごした……。じゃから、もう悔い「戻ってくるんじゃ!! てい!」」




 頭がオーバーヒートしたのか、謎な事を言い始めたミノに、タマは裁きのチョップをくらわした。

 しっかりと戻って来れるようにかなり強めに叩いた。普通の人間ならきっちり半分こ間違いない()

 まぁ、そこら辺は神様クオリティーなので問題ない。




「わ、私はいったい!?」


「だ、大丈夫か?」


「失敬。取り乱しちった(しまリン風)」


「ま、まぁ、仕方ないじゃろう。何せ、こんなに美味しいんじゃから」


「え?」


「え?」


「あ! いや、うん! 美味しいよね! うん! 美味しい美味しい! 美味しすぎて、頭おかしくなっちゃう!」


「あはははは……」




 なんとも、微妙な空気が広がる。本当に居た堪れない。あのタマがやっと引き出した、苦笑いでさえ、今のミノには改心ダメージを与えてくる。いや、クリティカルも入っているので、必殺の一撃とでも言おうか。




「私、一回死んでくる」


「あ、あぁ」


「止めないでくれ」


「……いってらっしゃい」


「いや、止めてよ!?」


「わしら、別に死なんし、一回くらい良いかと」


「良くないよ!? 私を大事にして!?」




 今度こそ、いつもの空気が戻ってきた。だが、いつもと違うことと言えば、珍しくミノがツッコミ側へとまわっていることだ。

 タマは、ボケもツッコミも出来る二刀流なのである。




「さて、シュークリームを食べるか」


「いや、無視!?」


「ほら、食べるぞ」


「相手してよーー!!」


「ほれ」


「いいの!?」


「ん」




 雑に扱いつつも、シュークリームを一欠片ミノに渡すタマ。さっきからのやり取りを振り返ってみて、手を出しておいて後で優しくするのはDVとも取れなくもない。間違いなく、タマはパートナーになった者をダメにするタイプだ。閑話休題。

 ちなみに、シュークリームの味は、タマは王道のカスタードで、ミノがサツマイモ。

 なので、分け合えば二倍美味しい。




「じゃあ、私のもはい」


「遠慮なく。……っ!! 美味しいのう!!」


「でしょでしょ」


「しつこくないんじゃが、口の中に広がるサツマイモが何度も言えぬ!」


「ねー。美味しい。タマちのも、美味しかったよ」


「期間限定のやつもいいかもしれんが、やはり王道は期待を裏切らぬからな」




 食レポに花を咲かせる二人。話だけでなく顔も満開の笑顔を咲かせていた。



《あとがき》

どうも、作者です。

他の作家さんのように、仕切って書くやり方がわからなかったので、無理矢理スペースを召喚しました。

「更新遅いなぁ」って思った方、大正解です。おめでとうございます。冗談はさておき、これまで、読んでいただきありがとうございます。あ、終わるわけではないですよ!

作者自身、基本読み専なのと、このお話はその時の思いつきで執筆していますので、これからどうなっていくかってのも決めていません。なので、更新遅いのはご容赦ください。

2週間に1回、日曜日に更新出来たらいいなぁとは思ってます。

貪欲ではありますが、☆を★にでもしていただけると感激の極みです。


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廃れた神社でありふれた日常を たいおあげ @tai3939

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