生きていれば
勝利だギューちゃん
第1話
桜が去って行った。
「また、来年会おうね」
「ピンクに染まらないだけで、年中そこにいるだろう」
「それは、言わない約束」
近所に桜並木がある。
春になるとピンクに染まる。
とても、美しい。
そして、風がふくとその花びらは、地面に舞い落ち、地面もピンクに染まる。
それも、風情だ。
ただ、お花見には適していない。
通り抜けるのが一番の楽しみだ。
「でも、人間は勝手だね」
「どうして?」
「ピンクに染まったときには、ちやほやするのに、葉桜の時は見向きもしない」
「手入れしている人がいるだろう?」
「あれは、仕事じゃない」
「とかいいつつ、人間観察楽しんでるんだろう」
「ピンポーン」
ここにある桜の木たちは、どの年月ここにいるのだろう?
若い僕にはわからない。
ただ、いろいろな話が聞ける。
ただ、お話できるのはピンクに染まったときだけだ。
来年また、お話できるだろうか?
「私たちが切り倒されない倒されない限りは大丈夫だよ」
「しねーよ」
「私たちも、まだまだ生きたいからね」
「どのくらい、立っているんだ?」
「まだ、人間が馬に乗って駆け抜けていたころかな。騒がしかったけど」
1000年くらい前か・・・
さすがに行き過ぎか。
「私たちにとっての1000年は、人間の100年よりも短いからね」
生きていれば 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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