時たま、昔の現実を夢に見る。
蒸し暑い中の満員電車は辛かった。よく分からない高尚な理想論だとか、危機を煽る宣伝が沢山見えて。
変わり映えのない毎日。退屈で緩慢とした日々。
現実がまだ現実感を保っていた頃の話だ。
目を覚ました俺は、あの日から遠く離れた現実で、なけなしの理想に浸る……
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SFというジャンルは、ワクワクする世界観を提示したり、自身の哲学を説明する場として用いられることもありますが、
現代社会に対する皮肉や風刺、警告を行うといった側面もあります。
この作品から伝わるメッセージは強烈。
我々が当たり前に享受し、むしろ少し鬱陶しいとすら思っている【現実】は、赤ちゃんのようにデリケートなものである
と訴えているように感じました。
赤ちゃんから目を離さないように心がけるように、現実についてもやれる範囲で関心を持つべきなのかもしれません。