~これからも、よろしくね~
相手は、高校三年の
鈴音の卒業時に想いを告げたものの、「まずは友達から」との返事。
それでも、その後も幸成は鈴音を想い続けた。
幸成には幼い頃から、お気に入りの星座があった。3つの星からなる、ダイアモンド座だ。だが、この星の寿命はあと僅か。
ことあるごとに幸成は、ダイアモンド座の、中でも1番下にある星に語りかけていた。
「俺、好きな人ができたんだ」
その星は、返事をするように瞬いた。
やがて年月が経ち、幸成は社会人となっていた。もう間もなく、ダイアモンド座の星のひとつが流れ落ちるという情報を得た幸成は、まだ友達のままの鈴音と共に夜空を眺めながら言った。
「あの3つの星は、ダイアモンド座なんだ。うちひとつが、もうすぐ流れるらしい。もし、今夜あの星が流れたら、俺と正式に付き合ってくれないだろうか、鈴音さん」
その夜、星は流れた。
幸成は鈴音と正式に付き合い始めた。
それから1年後。
ダイアモンド座の星がもうひとつ流れ落ちるという情報を得た幸成は、再び鈴音と共に夜空を眺めながら言った。
「覚えてるかな? 去年、あのダイアモンド座の星がひとつ、流れたのを。もうすぐもうひとつ流れるらしい。もし、今夜あの星が流れたら、俺と結婚しよう、鈴音」
鈴音は驚いて顔を赤らめたが、その夜星は流れ、鈴音は幸成のプロポーズを受け入れた。
それから1年後。
ダイアモンド座の最後のひとつの星、一番のお気に入りの星が流れ落ちるという情報を得た幸成は、三度鈴音と共に夜空を眺めた。
「鈴音、覚えてる? あのダイアモンド座。去年、2つ目の星も流れてしまったけど、最後のひとつの星も、もうすぐ流れてしまうんだ。俺はダイアモンド座が好きだった。特にあの、最後に残った星が」
どうしてか、心を惹かれてしまった星。
幸成は万感の思いを込めて、星を見つめる。
「鈴音。そろそろ子供を作らないか。俺たちの子供はきっと、あの星のように美しく輝くと思うんだ」
鈴音は薄っすらと頬を染めながら、静かに頷いた。
その夜、ダイアモンド座の最後の星が、流れ落ちた。
ダイアモンド座の最初の星が流れてから、2年後の事だった。
「幸成、嬉しい報告よ」
鈴音がそう幸成に伝えたのは、それから間もなくのこと。
「私たちの赤ちゃんができたの!」
ふと、幸成の脳裏に、最後に流れた星が思い浮かんだ。
【終】
ダイアモンド 平 遊 @taira_yuu
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