霊能力者への道 血の儀式を決意する武術家

第33話 新しい目標

　何もないと見えます。

　私はかなり丁寧に自分の体をチェックしました。この小さな一戸建ての浴室に入って、全身の服を脱ぎ、鏡の前で内外を確認しましたが、変化は見つかりませんでした。しかし、それは本当に変化がないと言っているのではありません。変化がどこに現れたかはわかっています。体をチェックする理由は、余計な変化がないかどうか知りたいからです。

　そして、私は服に戻って、ソファーで倒れている2体の死体を床に転がし、ソファーに座って、黙って感じ始めました。

　間違いありません。私の体内には確かにエネルギーが増えています。

　目に見えることはできませんが、エネルギーというものは色や質感を持つべきではありませんが、私はこのエネルギーが赤色で、血液のような質感を持っていると感じます。それは私の血液と一緒に血管を巡っています。このような不思議な印象は根拠がありませんが、私は自分の体を解体して実際に調べることもありませんが、そう感じます。血液のようなエネルギーが私の体内に宿っています。

　これは霊能力かもしれませんか？

　私は思わず疑問に思いました。しかし、私の知る限り、霊能力は誰にもこのような感覚を与えません。結局のところ、霊能力は体の中ではなく、魂の中に存在します。

　もしかして、ハスターは私の武術の練習が何年も続いているのを見て、私に所谓的「内力」を覚醒させたのかもしれませんが、それはそうでもないようです。

　私は意図でこのエネルギーを動かそうとしましたが、役に立ちませんでした。このエネルギーはこの点で本当の血液と同じで、私の意図に従うことはありません。自由奔放に流れていました。また、立ち上がり、パンチをして、足を蹴って、自分のスピードや力が増加しているのを見ても、わざと激しい運動で心拍数を上げ、血液を加速させても、このエネルギーの「流速」に変化はありませんでした。それは私の血液と一緒に流れていないようです。

　では、このエネルギーはどのように使うべきですか？また、何に使えますか？

　それがあろうがなかろうが、違いがないように見えます。それは私の幻覚であり、「完形崩壊」と同じで、血祭の儀式による副作用の1つかもしれませんか？

　もしそうであれば、血祭の儀式が私に与える贈り物はどこですか？

　また、先ほど幻聴した声、そして暗い視界に現れた人間の形の会話は... 何を意味するのでしょうか？

　ここで考えても仕方がないため、まずこのエネルギーに名前をつけることから始めます。それが私に血液のような印象を与えて、血祭の儀式とともに現れたので、手短に「血の力」と呼ぶことにしましょう。今はまだ血の力の真実を判断できませんが、時間が経つことで、真実か幻覚か、どのように使えばいいか、必ず探り出すことができます。

　周りの混乱した状況を見て、私はまずリビングの儀式の跡を掃除しました。次に、血祭の儀式に使った黒い布を描いて、畳んで、事前に用意した箱に入れて、箱の表面には霊性波動を遮断する儀式の陣を描きました。

　それを終えた後、私は家の玄関に向かいました。

　ドアを開けると、外に一人の人が立っていました。

　井上直人です。

　私が彼の顔を見ると、彼は怖そうに叫び、突然私にパンチをしました。

　驚かされた第一反応は呆然とすることではなく、まず攻撃するというところがあります。もしかしたら、彼は戦術的な才能があるかもしれません。

「やめてください、私です」と私は避けながら言いました。

　彼は少し止まって、すぐに私の顔を見ました。都合がいいので、私の変装した顔はほとんど同じで、彼も認識できます。しかし、次の瞬間に、彼の瞳孔が急に縮み、表情がさらに驚きました。また反射的に足を蹴りました。

　私は素早く彼の側面に回り込み、彼が蹴った足を下ろす前に、支えているもう一方の足をつまずかせました。

　彼は床に倒れ、溺れる人のように床で掙う始めました。私は2歩後退して、彼の掙う動作に当たらないようにし、言いました。「落ち着いてください、何をしていますか？」

　彼は私の言葉に耳を貸さず、しかし3秒後、ようやく自分で目が覚め、恐怖状態を抜け、動きも止まりました。彼は床に横たわって私を見て、少し沈黙してから、恥ずかしそうな顔をして、ゆっくりと立ち上がりました。

「申し訳ありません、失礼しました…」彼はためらいながら言いました。「突然あなたを見たので、少し驚きました。本当に申し訳ありません、意図的ではありませんでした。」

「さっきは『少し』驚いたようではなかったようですが。」

「ええと、それは…あなたの顔が、ええと、私に少し…少し…」彼はためらいながら言いました、「心理的な準備ができていなかったら、突然見たら、それは…」

　私は予感を持っていました。「外伤後ストレス障害？」

「はい…」彼は憂鬱そうに頷きました。

　これで私は完全に理解しました。彼が以前に私に会ったときに示した「対応自如」は、ただの偽装でした。彼は以前に血祭の儀式の残余影響によって心に衝撃を受けた経験から完全に抜け出せず、今では私の顔を見ると、理性を失うほど怖がります。これは本当に複雑な気持ちです。人を怖がらせるのも私の楽しみですが、現在の状況は私が本当に望む効果とは少し偏差があります。

　私が尋ねました。「あなたはポールを探しに来たのですか？」

「ポール・マルティネス」と彼はポールのフルネームを読み上げました。そして頷きました。「はい、彼を探しに来ました。」

「彼はもう死んでいます。」

「何？」

　彼は困惑して眉を寄せました。どうやら部屋に入りたいようですが、私が彼の肩をつかんでいます。「他の人ならまだしも、あなたは入ってはいけません。」

　彼は言葉を聞いた瞬間に顔色が変わり、全身の骨が柔らかくなったようでした。「もしかして…」

「私が先ほど『その方法』を用意する際に、霊性波動を遮断する儀式を加えたので、あなたは今こんなに近い距離でも影響を受けません。」と私は言いました。「でも、もっと近づいたら、何が起こるか保証できません。」

「わかりました…」彼はこの別荘を見つめ、まるで本物の幽霊屋敷を見ているかのように表情を変えました。

「そうだ、昼間は警察署で自首に行くと言っていましたが、どうしてここに来ましたか？」と私が尋ねました。

「自首しましたが、警察署は私を逮捕しないと言いました。」と彼は言いました。彼は言っている間に、別荘との距離を広げました。彼の慎重な動作を見ると、もしも彼が後退する動きが激しすぎると、別荘が突然スーパーロボットに変身して彼を攻撃してくるようで、「彼らは私が襲撃したポール・マルティネスも、私の父も、悪名高い人たちだからです。そのため、彼らは私を罰するのではなく、私を警察署に参加するよう招待しました…」

「承諾しましたか？」と私は彼と一緒に歩きました。

「はい、今は警察署の霊媒です。」と彼は複雑そうに頷きました。

　これは当然のことです。カワセミ市のこの地域の警察署は、非常に柔軟な部門です（時には過剰に柔軟です）。彼のような民間に害がなく、希少な才能を持った人物が見られると、自然と手を伸ばします。

　私はおおよそ彼が今何を考えているか知っています。

　皮肉にも、井上仁太は以前にも警察官になりたかったが、刑務所で服刑していた父のために警察学校の審査を通れませんでした。そして、彼の息子である井上直人は、人体実験を多数行った父親を持っているにもかかわらず、親父殺しの経歴も無視され、現地の警察が彼の扉を広く開けています。

　もし井上仁太が天に召されたら、どんな表情をするでしょうか？

　井上直人と別れた後、私は雑木林で、黒い布を入れた箱を地面に埋めました。

　先ほど黒い布に血祭の儀式の陣を描いた理由は、残余影響を持ち運びやすいアイテムに移すことを望んでいました。次に、黒い布をどこかに隠して、残余影響を処理したとみなしました。別荘内の残余影響については、主体を失うことで、今夜にかけて消滅するでしょう。これは私が残余影響の本質が霊性波動であると判断したためです。

　ただし、路地の残余影響はそう簡単に解決できません。それはすでに大地の下に侵入しました。地面を掘り起こしても解決策になりません。

　少しは「霊能力者専用」の放射性汚染兵器として使用したいと思いますが、ほとんどの場合、それは公害です。携帯することも無責任です。ここで一時的に保管しましょう。

　今回の「血祭の儀式の实验」は十分な経験をもたらしてくれました。準備が整っている場合、普通の人を血祭するリスクを負うことができることを証明しました。

　雑木林を出た後、ドローンから電話がかかってきました。

「忙しいですか？ポール・マルティネスをすでに殺しましたか？」と彼は尋ねました。

「彼を殺すと言った覚えはありません。」と私は言いました。「ただし、実際には殺しました。」

「そうだと思いました。」と彼は笑いました。「そうだ、先週、あなたに頼んで調査していた『撤退薬』についても調べました。」

　彼が言っている撤退薬とは、霊転薬とは異なり、霊感を下げる薬です。

　霊能力者にとって、これは毒ですが、私にとっては非常に重要な役割があります。

　血祭の儀式を行っているときに撤退薬を服用し、自分の霊感を大幅に下げると、血祭の儀式的な副作用に対してより強力な免疫力を持つことができます。

　つまり、その時点で霊能力者を血祭することができます。

「結果は？」と私は尋ねました。

「ゼロです。」と彼は見えないだろう姿勢で、肩を組んだようでしたが、「結局、役に立たない薬ですから、誰も研究しません。自分のネットワークを通じて地元の霊能力者学者に尋ねましたが、誰も知らないそうです。どのように調合するか、誰が調合できるか。」

「なるほど。」と私はため息をつきました。「それでは...仕方ありません。申し訳ありませんが、撤退薬を調合する可能性のある人物が一人いることが知られています。彼を調べてください。」

「待ってください」と彼は言いました。「あなたは知っていますか？早く言わないですか？」

「できるだけ彼に会いたくないです。」

「なぜですか？あなたと彼の間には私的な問題がありますか、または彼の評判が悪くないですか？」

「いいえ、違います。」と私は言いました。「実際には、私は彼の滞在地、彼のニックネーム、そして彼が撤退薬を調合できるという3点を知っています。」

「じゃあ、なぜ彼に会いたくないですか？」

「それは長い話です。」

「ふんふん... わかりました。調査してみます。」と彼は言いました。「それでは、彼のニックネームは何ですか？」

　私は思い出しながら、その人のニックネームを言いました：

「ドリンク医者。」