夏風に舞う恋心

猫怪丸

第1話 夕陽に映る初恋

あれは2年前の夏、夕焼けに染まる川岸を歩いていた。小さな町の端に位置するこの川は、彼が幼い頃からの思い出で満ち溢れていた。水面に揺れる花火のような夕日が、遠くに連なる山々をオレンジ色に染めていく様子は、まるで時間が止まったように美しく、心に深く刻まれるものだった。


悠真は静かな水音を聞きながら、古びた橋を見つめた。この橋は彼が初めて恋に落ちた場所だ。彼女の笑顔が、まるでこの町に幸せの花火を打ち上げるように彩っていた。


「悠真くん、、だよね?」


突然の声に振り返ると、そこには一人の少女、小春が立っていた。悠真の幼なじみであり、特別な友達として大切に思っていた。


「小春…久しぶりだね。帰ってたんだ。」と悠真は微笑みながら言った。


小春は悠真に向かって歩み寄り、そっと彼の手を取った。彼女の手のぬくもりが、悠真の胸に優しく響いた。


「この川、めっちゃ懐かしいでしょ?帰ってくるまで、ずっとここに来たかったの。ほら、覚えてる…?」と小春は照れくさそうに言った。


「う、うん、覚えてるよ…!」と悠真は恥ずかしそうに答えた。


すると、小春は微笑みながら続けた。


「あの時の悠真くんの顔、すっごく照れてたよね。でも、すごく楽しかったんだ。」


悠真は赤らんだ顔を隠しながら、小春の言葉にじんわりと胸が熱くなるのを感じた。


そして、勇気を出して言葉を続けた。


「小春、実は…」


「あ、悠真くん、そろそろ暗くなっちゃうから帰るね。」


小春が悠真の言葉を遮った。


悠真の表情が一瞬固まる。彼は深呼吸をして、やり直す決意をした。「小春、聞いてほしいことがあるんだ。」


小春は少し驚いた表情を浮かべ、悠真を見つめた。


「え、何かあったの?」小春が少し心配そうに尋ねた。


悠真は緊張しながらも、心からの想いを告げた。


「小春、実は…俺、小春のことが好きなんだ。ずっとずっと好きだった。あの時から、ずっと…」


小春の瞳が一瞬見開かれた後、彼女は微笑んで言った。


「悠真くん…ありがとう。でも、私は…」


言葉を続ける前に、小春は優しく悠真の手を握った。


「悠真くんことも大切な友達としてすごく大事に思ってるよ。」


悠真は少し寂しさを覚えながらも、小春の言葉に胸がほんのり温かくなった。


「そうだね、僕もずっと大事に思ってる。ありがとう、小春。」


その後、二人は静かな川岸を歩きながら、初々しい告白のやりとりを胸に秘め、夕焼けの中で互いの思い出に浸った。


つづく

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