寄って出ませ提灯ひとつ。其処は陌の暗闇の市。

薄ぼんやりとした提灯一つ。薄暗闇の中を
鬼火の如くに彷徨い交わす。

一つ、手に持つ提灯は薄暗く。

 一つ、曰くの品々照らさぬように。

商う曰くの品々は、此岸と彼岸の間いに
浮かぶ美しくも畏ろしく、はた又哀しい
『怪異譚』
幻想的な宵闇の中を、茫と光り、揺れては
又、交差する。

その美しき光景を、今一度と希う。



 いつ立つとは知れぬ。其処は、陌間の

           『暗闇の市』



      佳き品々への御代は此れにて