グルメな王女様は、夢いっぱいに飛ぶ満腹ドラゴンが好き

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 純粋な王女様は、グルメ。「悪い心のない人間など、いない」ドラゴンだって言っているそれを信じていたのは、良いけれど~?

   (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

      ☆

「あのドラゴンは、夢いっぱいな感じ。いつも、何を食べているのかな?」

 グルメな王女が、空を見上げつぶやく。

 心清き、純粋な女性だ。

 「うらやましい。夢いっぱいに、羽ばたいている。何を食べたら、あんなに元気でいられるのかな…」

 国の悩みを一杯に受けて生活するストレス王族なら、優雅に空を舞う命をうらやましがるのもフツーか。

 ドラゴンが地上に降りたときに、たずねてみた。

 「そこな、ドラゴンよ?」

 「おや、王女」

 「そなたは、何を食べて元気でいられるの?」

 「人間の悪い夢です」

 「?」

 「人間は、たくさんの悪い夢を持っておりますからな。我は、すぐに元気いっぱいになれる」

 「…」

 「さすがに、王女の夢までは食べられませんがね」

 ドラゴンは、食べるべき悪い夢を見ない彼女をはげましたつもり。

 が、彼女はかえって悩むことに。

 「良いなあ…。私、満腹になってダイエットもしたいのに」

 「王女?それは、ぜいたくな悩みですね」

 「私、どうしたら良いのかな?」

 「ならば、まずは、だれかの悪い心をお食べになればいかがです?」

 「え~?」

 ちょっぴりいじわるな、ドラゴン。

 なのに彼女は、素直に聞き入れる。

 基本、良い子だから。

 「王女よ!悪い心のない人間など、いません」

 「…ですよね」

 「お腹いっぱいに、なってください」

 「ありがとう、ドラゴン!じゃあ、私の悪い心から食べることに決めた!」

 ストレスある日常が、かえって楽しみになってきたようだ。

 「食べるわよ~!私の悪い心から、むしゃむしゃと!」

 そうしたら、ほっこりピ~ンチ!

 「私、死にそう。だれか助けて~!」 

 王女様の身体、ガリガリになる。


   (この話の意味)

「悪い心のない人間など、いない」

 ドラゴンの言う通りかもね。

 悪い心の「ない」人など、いないはず。

 けれど、悪い心の「少ない」人はいるかもしれないねぇ。

 この王女の、ように。

 …って、困ったぞ。

 王女のような純粋な人は、食べるものが少なくなり、死にはしなくてもガリガリになるじゃないか。

 これじゃあ、ダイエットができたとはいえ喜べません!

「純粋な心ばかりが良いとは、必ずしもいえない」

 エモいなあ。

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