無為に繰り返すだけの日常から少しだけ外れてみたくなり、わざと遅刻する時間のバスに乗った時生くんと、同じバスに乗り込んできた不思議な物言いをする他校の制服を着た少女、小春ちゃん。
小さな非日常と非日常が交わり、周囲に関心を持てなかったはずの時生くんが少しずつ変わっていくようすがほほえましく、応援したくなります。
なにより小春ちゃん! 独特な言い回しやごーまいウェイな行動・仕草がかわいらしくて、読めばきっと彼女の魅力に夢中になることでしょう!
そんな彼女と時生くんのやりとりがもう漫才そのもの、そのまま某グランプリに出たら準決勝くらいまで行けちゃんじゃないかなんて思ってしまいます笑
タイトル通り糖度は低めですが、だからこそ読み終わった後にレモネードのような清涼感を得られるとても素敵な作品です。
ぜひご一読荒れ!
悪いことをしたいけど根が良い子ちゃんな他人に無関心な少年
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徹底的にゴーイングマイウェイな不思議ちゃん少女・小春
による、糖度低めのラブコメなんですが、とっても不思議な読み応え。
ストーリー自体はわりとスタンダードなボーイミーツガール的ラブコメではあるんですが。
主人公がひたすら他人に無関心なので、小春がラブコメヒロインにありがちな不思議ちゃんムーブをかましても、なんなくスルーして普通にその行動に付き合っちゃったりするんです。
なので普通のラブコメなら甘い展開になるところが、甘くならなずに、
二人の掛け合いはコメディ調に振れてるわけでもなく、漫才テイストでもなく
ただひたすらに天然ボケ VS 他人に無関心
ツッコみがあるようでないような、不思議時空がそこにはある。
不思議ちゃんの天然ボケムーブに淡々と付き合う主人公っていう、読んだことのない不思議な雰囲気が醸し出されてる。
そしてこの作者さんの強みであるんですが、シーンの雰囲気を描くのがとてつもなく上手い。
けして詩的で飾りすぎな言葉が羅列されてるわけでもないんですが。
必要最小限の平易な単語の組み立てで、その場の二人の微妙な関係性や、台詞の一つ一つのニュアンスを作り上げてる。
これ、文章自体はシンプルそうに見えて、実はめちゃくちゃ匠の技です。
真似しようと思っても一朝一夕じゃできない。
そんな作者さんの強みが存分に活かされてます。
作品の方向性と、作者さんの強みがガッツリ噛み合ってるんですね。
才能の暴力ってやつです。
これまでラブコメをいっぱい読んできた人にこそ読んでもらいたい、ひと味違ったラブコメです。
こんな方におすすめ
:ラブコメいっぱい読んできたけど、ひと味違う雰囲気の物を味わってみたい方
:お色気展開などに頼らず、主人公とヒロインの関係性だけで勝負してるラブコメを読みたい方