荒廃した世界を歩いてみたい

響先生(見る専)

第1話 全ての始まり

 30XX年 5月30日

 〜某研究所〜

 とある施設の一室


「よし...出来たぞ...!」と目を輝かせながら彼はこちらに手に持ったサンプルを見せつけてくる。

「何が出来たんです?」と彼が返すと

「狂犬病に強い感染性とさらに凶暴になりそうな物を入れまくったらなんか出来たんだよね!!」と彼が少し興奮気味に話す

「今からこの実験用マウスにこいつを与えてみる。 そのまま別のネズミを入れて観察してみよう。」

 彼はそう言って近くの入れ物から注射器を出し、なんか見た目がヤバそうなサンプルを抽出し、ネズミに投与してみた。

 最初はそのネズミは細かく震えケージの中を動き回っていたが

 暫くすると動きが止まり死んだ様に倒れて一切動かなくなってしまった。

「おいおい、こんなのがお前の作ったウイルスか?なっさけねぇなぁ」と呆れながら彼に向かって話す

 彼は「まだこんなもんじゃ...ほら!動いたぞ!」 と興奮気味に返してきたのでもう一度実験用マウスに目を移していると、

 なんということだろうか

 ネズミがネズミを共食いしているじゃありませんか!

 しかも結構美味そうに食べてます

 おや?興味が少し沸いた研究員がネズミに触りたそうにしてますね...

「成功だ...3日前テレビで見たゾンビ映画と同じ結果だ!」

「お前またそんなものを...」と呆れつつ実験用マウスを観察する別の研究員

「せっかくだし手に乗せて記念写真を...」と手をネズミに伸ばしたその瞬間

「おい、それが本当ならお前...」


 イテテッ!!何すんだ離せッ!


 ネズミに噛まれてしまったようだ

「なんだよこのクソネズミが...ったく...止血してくれ..」手からドバドバと血が流れているのを横目に別の研究員が医療キットを用意している

「だから触るなって....というかそれ人にも感染すんのか?」

「どうだろうな。あぁでも一つ気づいた事があってな、この血を見ていると涎が出て来るんだ」

「またまたそんな冗談を..」と軽く話しつつ包帯で止血を施した。

「一応大人しくしとけよ?傷口が酷くなったら大変だ、念の為医務室から血清を取ってくるからそこで待っとけ」

「あぁ...了解...出来るだけ早く戻ってくるんだぞ...あいつが来たら厄介だ...」

 少し息を切らしながら冗談を言う彼

「はいはい、怒られるのはお前だからな?俺は何もしてないからな!」

 そう言って急いで部屋を出る。


「...ゲホッ...う、腹...減った...」


 ドサッ


 〜医務室〜

 医務室にはいくつかのベッド そこそこ揃っている設備 シワだからけの布団等がその辺に置いてある。


「気分が悪くなっている子?そうか、ならこの精神安定剤を...」と棚からクスをり取り出そうとして

「血清が欲しいです」 とそれを拒否

「何かやらかしたのかい?」 と疑問を口にして

「ちょっとだけ...」ぼそっと言う

「...何をやらかしたかは聞かないがちゃんと報告するんだよ。」とやれやれと言わんばかりの顔で彼を見る

「分かりました!」

「ほら、血清だよ。量は守ってね」

 彼に渡す

「有難う御座います!」

 と元気に声を上げ彼は医務室を出た


 〜研究室〜

「戻ってきたぞ〜...?あれ?寝てるのか?.......仕方ない、血清を刺してあげよう...」と言い準備を始めた

「...オ”ォ”」

 なにか呻き声が聞こえる

「ん?なんだお前か?俺はそんな事じゃビビらねぇよっw」

 そして血清を彼に刺そうとした瞬間


 ガブッッッ!!!


 腕から大量に漏れる血 噛んでいる彼は噛むのを止めず咀嚼を試みようと何度も噛もうとしている


「え・・・あ・・・ぁ....」 ドサッ

 研究員はあまりの痛さに気絶してしまったが

 構わず凶暴化した彼は彼の体を貪り続ける


 ・・・


 そしてその血が排水溝に流れ...血を口にし...鼠から鴉...猫や犬へと感染が少しづつ広がっていく....その事を彼女らは知る由もなかった。

 もう...すぐそばにヤツが居ると.......


 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

荒廃した世界を歩いてみたい 響先生(見る専) @hibiki_sakura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ