第2話

男「俺はここのギルドのマスターをしている“シード”という者だ」

シード「突然ですまないがあんた勇者か?」

俺「なぜそう思った?」

シード「いや、名前が勇者たちが使う文字だったのでな」

俺「異世界から来たが、勇者ではない(日本語で書いたのがまずかったな)」

シード「そうか、なら良かった。」

俺「冒険者登録できそうか?」

シード「ああもちろん。試験に受かればだけどな」

俺「そうですか。」

冒険者は実力や依頼達成率などで分類分けされている。

したから順に、Z(黄色)、E(青)、C (赤)、D(緑)、D +(茶色)、A(銀)、A+(金)、S(黒)、となっている。

そして試験の結果次第で最初にどのランクに入るかがわかると言うわけだ。

試験の内容は『ギルドマスターと模擬戦すること』で、勝てばC以上も目指せるが、俺には冒険者になれればそれでいいのでわざと負けるようにすることにした。

模擬戦が始まる前に相手に1礼した。

シード「ん?どうした?」

俺「俺の世界の文化だ。気にしないでくれ」

シード「そうか、んじゃ始めるぞ。」

受付嬢の「始め」の合図と同時にシードが突っ込んできた。

俺は相手の木剣に合わせて横から素手で流して、相手の勢いを利用して木刀を当てる。

すると「ゴッ」と音がしてシードは地面に倒れた。

俺「え?」

受付嬢「そ、そこまで!」

受付嬢「シードさん大丈夫ですか?」と言いながら急いで駆け寄り、状態を確認する。

少ししてシードが起き上がり、「ああ、なんとか大丈夫だ。ところで見えたか?」

受付嬢「いえ、何も…」

シード「こいつ俺の初撃を素手で捌きやがった…」

俺「いや〜あまりにも単調だったもんで」

受付嬢、シード (いやおかしいでしょ…)

俺「と、とりあえず冒険者にはなれるんですね?」

シード「ああ、問題なくなれる。」

俺「よかった」

俺はシードをその場に残して戻った。

しばらくすると、受付嬢が「ではこれが登録カードです。無くさないように気おつけて下さいね。」と緑色のカードを渡してきた。

出されたカードを受け取ると、早速掲示板にある依頼を見に行った。

俺「う〜んDのランクだと討伐系は少ないな。…これでいいか。」

俺は依頼書を受付に持って行き、依頼内容を確認した。

受付嬢「盗賊の討伐 報酬は銀貨15枚 でよろしいですか?」

俺「はい。お願いします。」

受付嬢「では気おつけて行ってきてくださいね。」

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シード「あいつ俺の攻撃を流したあとに2回も木剣を寸止めしやがった」

受付嬢「全く見えなかったですけど…すごいです」

シード「あいつはヤバイ…、あの2撃食らっていたらおそらく今ここに居ないと思う」

受付嬢「そんな…」

シード「かろうじて見えたが体が動き始めたのは当たってからだった。」

シード「あいつはバケモンだ…」

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俺は(盗賊がいるとかやっぱり異世界だな〜)などたわいもないことを考えながら向かっていると、獣道から何かが近づいてくる音がする。

音的には人の足音だが、人と気配が違う。

近づいてくる人物の警戒して構えをとる。

構えてから数秒して、ボロ布を身に纏った女性?らしき人が道に出てくるとこちらに気づいて青ざめた顔で「逃げてください!」と言った後、すぐに獣道からかなり大きい黒っぽい蛇のような姿をした生物が出てきた。

俺は大声で出てきた人?に「こっちにこい!」言うと、少し躊躇した様子だったがすぐに走って来た。

近くまで来た時に俺は「後ろにいな」とだけ言って少し前に出た。

構えてから少しすると黒く大きな蛇が突進してきた。

俺は間合エリアに大蛇が入った瞬間に抜き放つ。

蛇は反応はして体をくねらせて躱そうとする。

俺は刃先で躱されたのを感じ取り、即座に振り向き二撃目を放つ。

思ったより鱗が固くはじかれてしまった。

俺は(これは…鱗の間から切り込まないと致命的なダメージは与えられないな)と思っていた矢先、方向転換してきた蛇が今度は大口を開けて突進してきた。

これは好機!ここはあえて口の中につっこんで内側から切り飛ばした方が早いと思い牙に当たらないように中に飛び込んで行った。

後ろで女性の悲鳴が一瞬聞こえたがすぐに口が閉じて聞こえなくなった。

俺は蛇ののど近くまで素早く行き全力で肉に切りつけた。

すると断面から血が吹き出して、外の光と同時に悲鳴が聞こえた。

俺はとりあえず女性を落ち着かせて話を聞く。

女性「ありがとうございます助かりました。」

俺「いえいえ。それよりなぜあの蛇に追われていたのですか?」

女性「実は…」

話しているうちに色々と分かった

この女性は人種ひとしゅではないこと、あの蛇の供物にされてしまったこと、この世界にはかず多くの種族がいること…ちなみに名前はイーシャ・ダナインといい、種族はハーフエルフ(人間とエルフの間に生まれたらしい)だそうだ。

そしてあの黒い蛇は大黒蛇ブラックスネイクと言うらしい。

俺は思わず(なんて安直な…)と声に出しそうだった。

イーシャ「あ、あの…大黒蛇の食べられても平気なのですか?」

俺「ああ、牙さえ避ければあとは切るだけだし…」

イーシャは口をあんぐり開けてポカーンとしていた。

俺は(あーこれは理解されてないわー)と思って説明をやめた。

俺「と、とりあえずこの蛇どうしようか?」

イーシャ「どうするって…」

俺「とりあえず食べてみるか。」

イーシャ「嘘でしょ…」

俺はドン引きしているイーシャを横目に解体を始めた。

肉を切り離してはアイテムボックスに入れていく。

途中イーシャに「アイテムボックス持ちなんですね。」と言われた。

この世界ではアイテムボックスはそこそこ珍しいらしい。

俺は肉を切り離してアイテムボックスに入れていくと途中に何か宝石みたいなのがあった。

俺「なんだこれ?」

イーシャ「これは魔石と言って討伐証明になるの。冒険者ギルドで高く買い取って貰えるはずよ」

俺「なるほどね〜」

解体が終わり、そろそろ料理しようと思ったが調味料もないしガスコンロもない(あるわけないけど)

とりあえず蛇肉は保留にした。そして本来の依頼である盗賊の討伐を続ける。

俺「ギルドの依頼で盗賊の討伐があるんだが…イーシャはどうする?」

イーシャ「ついていってもいい?」

俺「いいぞ。この世界のことに関して知りたいし…」

イーシャ「これからよろしくねミサイさん」

俺「よろしく頼む。」

そう言って盗賊のよく出るエリアまで2人で行った。

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ミリーア「ただいま帰りましたお父様」

国王「よく無事に戻った。報告を聞いた時は本当に心配したのだぞ。それで何があった?」

ミリーア「はい。隣国から戻る際、護衛の騎士たちが裏切り盗賊に私たちを売ったのです。」

国王「なんと言う事だ!」

ミリーア「私も襲われましたが、ミサイと名乗る男に助けられまして王都まで護衛までしてくださいました。」

国王「それは私もお礼をしないといけないな。」

ミリーア「いえ、ミサイ様は私たちが金貨10枚程渡したらあのお方は私たちの面目を潰さぬように去る寸前に私の懐に5枚ほど戻して来ました」

国王「なんと!そんなんことが」

2人が話していると突然扉が開き、騎士が入ってきて

騎士「緊急です!突如王都の近くの森に大黒蛇が出現しまた。」

国王「すぐに騎士団に討伐に向かわせろ」

騎士「はっ!」

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俺「ここらへんのハズなんだが…あ、いた」

イーシャ「え?どにいるの?」

イーシャはまだわからないようだが何人かの気配がある。

俺「ここからちょっと気配消すぞ。」

イーシャ「私ここで待っていた方がいい?」

俺「ああ、そうだな危なくなったら全力で逃げろよ」

イーシャ「うん」

俺は気配を消しつつ木の上に登り、全体を見渡す。

俺「えーっと敵の数は6か…2秒あれば殺さずに捕らえられるな。」

敵の数と配置を確認すると素早く近くに行き、刀に手をかけて構えをとる。

今回は一気に距離を最速で詰めたいので出来るだけ低く構えて、足の筋肉を出来るだけ弛緩させて一気に力を入れる。

そうすることによってとてつもないスタート速度になる。

本来は二発目以降に本領を発揮する。周りの木や壁を利用したら1.5倍ほど早くなり、威力も上がる。ただし一度使うとかなりの体力が消耗されるためその後の勝負が長引けばこちらがかなり不利になる。

だが今回は出来るだけ一撃でケリを着けたいので一発目に全力を注ぐ。

俺は(より早くより強くより正確に)と心の中で復唱して一気に力を入れて素早く刀を抜き放ち、むねで1、2、3、4、5、6と一息で仕留められた………ハズだった。

盗賊の間を抜けきってからすぐに振り返ると1人を残して全員倒れていた。

盗賊の1人「あっぶねーな。テーメー何しやがる」

盗賊は感情に任せて攻撃してくるように見えるが、素早い動きと剣筋で意外に手強い。

俺は(しまった!仕留め損ねた。)と思い距離をとりつつ体力を回復させたいがピッタリくっついてきて、離れたくても離れられないので相手の攻撃を流し、躱し、返していく。

そうしているうちに相手に疲れが見え始め、攻撃がだんだんと雑になり、大振りになっていく。

そこを狙って素手攻撃を流しつつ、柄頭で水月すいげつに一撃入れて気絶させた。

俺は「しかしなんで避けられたんだろう?」と独り言を呟きながら盗賊を縛りまとめる。

しかしこのまま引っ張っていくのはかなり面倒なので悩んでいた。

結局盗賊の使っていた荷車を使って運ぶことにした。

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剣術・体術の天才が異世界へ転生したので、素手と刀と現代知識で無双します。 タクッキー @paasannsann

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