前世ルーレットの罠

Rotten flower

第1話

大きなスロットのあるカジノは今日も不気味な色と人々の歓声で満たされていた。中は人が多いところと少ないところで二分化されており、人が多いところはとにかく大きなルーレットの前に人が三、四人。そしてそれを上から見る人間が溢れていた。

大きなルーレットには犬や猫など人気の動物から龍や妖精など架空の動物、更には扇風機、ピンマイクなど動物ではないものなど多くのルーレットホイールがあった。

「これは何ですか。」

私は見物客へ問いかけた。

彼曰く、これは前世ルーレットと呼ばれているらしい。ルールは名のまま。自分の前世を当てる。ルーレットはそれぞれの人間の前世で落ちるように設定されている。但し、ここにいる見物客は一人としてそのシステムを知らなるものは居ないそう。

賭けるものについてはカジノのチップは勿論、自分の体、親戚、記憶、寿命、更には魂をも賭けられるらしい。それに対しても誰一人見物客で知っているものは居ない。

中を覗くと誰かが賭けてルーレットが回っていた。ルーレットは全く止まる気配がしない。犬に魂と書かれている札が置かれていて途中から見る人でもどこに何を賭けているか一目でわかる。

「これは酷く過激的でね、もう時間すら忘れちゃうんだ。」

彼は最後の一言にそう言っていた。確かにそういう人がいるのも分かる。が、私の好みには合わない。取り敢えず、少しだけ見て帰るか。


ボロボロになったメモ帳を拾った。

内容は丁寧な文字で書かれていて、前世ルーレットについて書かれていた。

拾った場所はまるで地獄だった。カジノの一箇所。白骨遺体に囲われて落ちていた。非常に不気味な場所だった。

文章を読んでいくと私は嘲笑した。

前世なんてあるはずがないのだ。

足の踏み場もないほど骨が落ちている。筒の下を覗くと犬に置かれた魂と書かれている札、止まる気配のないルーレット、二人分の骨。此処に書かれているままだ。

少しだけこの惨状を写真で撮っていくか。

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