最終話 作品14:『嫉妬とデカダンス』 いずの・著
抽選日時:10月27日19時
応募総数:48
有効応募数:24
嫉妬とデカダンス
いずの
https://kakuyomu.jp/works/16818093078511934467
全20話 完結作品
15268文字
ジャンル:恋愛
この作品を一言で表すなら、視点を上手く利用した恋愛ものです。
物語は、ゴスロリ衣装を着た主人公・あさひがゲーム大会に向かうシーンから始まります。プロゲーマーの彼女は予選レベルでは敵なし。会場を静まり返らせてしまうほど一方的に、力量差を見せ付けて勝利します。同居する最愛の弟や夕食の事を考えつつ帰宅。小説家の弟とは、生活時間が完全に異なり、同じ家にいても顔を合わせる機会がありません。顔を見たのはいつだったか思い出せないほどに。それでも『この毎日が愛おしい。誰も邪魔などしない幸せ。』を感じます。
第8話で物語は突然弟視点に変わります。お風呂に入り『足元に目をやると、自然と、露わとなった若干の胸の膨らみがちらついてしまう。』……おや? そしてここから『自然と左目の泣きボクロが目につく。』ようになります。第9話から主人公視点に戻り、「なんで優と私のホクロの位置が一緒なんだろう。」という疑問に気付いて……物語は後半へと続きます。
女性作家に多く見られる傾向で、多数の登場人物全て一人称視点で描く方がいます。これは非常に読みづらく、突然話が変わって何が何だか分からなくなり、読まなくなってしまう事が多々あります。一人称視点のメリットは、そのキャラの内心面表現が容易な点です。主人公のみの一人称視点であれば、話がスムーズで感情移入し易くなる一方、主人公が見た・感じたもの以外は分からないため、物語全体を俯瞰して眺める事が出来ません。そこで無理やり別の登場人物視点に切り替えようとするわけです。であれば最初から三人称視点にすべきでしょう。これが一般論ですが、本作では二人の一人称視点が上手く活用されていると思います。
起承転結の観点では、複数の問題点があります。冒頭ゴスロリを前面に押し出していますが、全く活かされず無駄になっています。それより最も大事な泣きボクロの描写を、起に一文入れるべきでしょう。そして一番の問題は結です。最終話直前までならどのような結末にも出来るのに、最終話でそれまでの18話全てを台無しにしてしまっています。率直に言って、この結末で納得する読者はほぼ皆無ではないでしょうか。
読書感想文INカクヨム 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro
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