春の5題小説マラソン

お題５ 桜と言えば

　もう桜も散って、すっかり葉桜になってしまいました。

　三月下旬から四月上旬の、お花見シーズン。今年も満開の桜を見に行った方が多いのではないでしょうか。好天のお昼に、散歩をしながら桜の咲く公園へ、おにぎりやサンドイッチを持って、家族と一緒にピクニック気分で。少し肌寒くなる夜に、ライトアップされたお花見スポットへ、暖かいドリンクを片手に持って、恋人同士デート気分で。

　自分も昔は、友人と一緒に電車と徒歩で一時間半ほどの場所へ赴き、花見がてら近場を散策したり、ボール遊びやフリスビーなどで楽しんだものです。最後に大人数で花見をしたのは、多分、二十歳過ぎだったと思います。高校を卒業して数年、久しぶりに同級生と集まって、所沢にある航空公園へ。通りには様々な屋台が並んでいて、買い食いしたような気がします。もしかしたらどこかでお弁当を買って行ったかも知れません。仮設トイレや、ごみ箱が大変なことになっていた記憶があります。この時の花見が、ちゃんとした（？）花見の最後だったと思います。

　お題１「春一番と言えば」でも記載したように、自分は二十代の頃に花粉症になりました。思えば、この最後の花見、学生時代の仲間と行った時か、その少し後辺りが、花粉症になった瞬間だったのかなと。運転免許を取ったのも二十歳過ぎなのですが、免許取りたての頃はまだ花粉症ではなく、桜の季節には車で一人、埼玉県内の花見スポットを巡ったものです。大宮公園や智光山公園、山の方へ向かい鎌北湖や長瀞の桜などを見に行った覚えもあります。

　この頃は春と言えば桜、桜と言えば花見。そんな風に思っていました。暖かくなって、外に出たくなる季節です。先述のように、友人と電車に乗って出掛けたり。一人で車を運転して、ドライブがてら桜並木を走りました。この頃は窓を全開にして走っていても、何も問題はありませんでした。

　しかし二十代の半ばから後半、花粉症になって以降、まるで反対になってしまいました。春と言えば花粉症、桜と言えば花粉症。外に出れば花粉症、車に乗っても花粉症です。暖かくなって、花粉が飛び始めたら、もう一歩たりとも外出したくありません。桜の季節と花粉症の季節は、どん被りしていますので、今はもうお花見なんて誘われても、即お断りです。

「俺を花見に連れて行きたくば、日本国内にあるスギとヒノキを全て伐り倒してからにしろ！」

　皆さんの花見の思い出は、どんなものですか？