ラーメンにメンマは不可欠か

@ayukommy

ラーメンにメンマは不可欠か

昼下がり。太陽の光が差し込む部屋に、2人の男女がいる。男の名はケンジ、女の名はジュン。ケンジはソファに腰をかけてスマホを見ており、ジュンは彼の膝を枕にしてソファに寝っ転がって文庫本を読んでいる。


ケンジ「あぁ、お腹すいたな。今何時?」

ジュン「んー、今は…2時半」

ケンジ「微妙に昼時すぎてるなぁ」

ジュン「まぁ朝が遅かったからね」

ケンジ「ああ、そうか」


ケンジ、とあるニュースの記事を見つける。


ケンジ「うおお、ねえ、凄いよ」

ジュン「んー?」

ケンジ「これ見て、駅のホームから転落した人を小学5年生が非常ボタン押して助けたんだって!いや〜これはなかなか出来んよ、僕小5のときこれ出来る自信ないわ」

ジュン「…へえ」

ケンジ「あれ…なんか反応薄くない?」

ジュン「いや、なんていうか…あたしも似たような経験あるし」

ケンジ「…え、何、どういうこと?」

ジュン「そのまんまの意味よ」

ケンジ「駅のホームから落ちた人を助けたの?」

ジュン「駅じゃないけど、横断歩道」

ケンジ「横断歩道?」

ジュン「うん。小3の時だったんだけど、夏に大阪の叔父さんの家に遊びに行ったのね。」

ケンジ「ほう」

ジュン「で、大阪の都会を親と歩いてて、信号待ちをしたのよ。そしたら前に止まってた幼稚園くらいの男の子の帽子が飛んでっちゃって、赤信号に向かって走りだしたの」

ケンジ「あー、危ない危ない」

ジュン「そう。で、あたしもその子めがけて走って捕まえて、Uターンして戻ったのね」

ケンジ「ええ???」

ジュン「それでその子のお母さんとこまで連れてって、めちゃくちゃ感謝されたっていう。お父さんにはガッチリ怒られたけど」

ケンジ「そーれは…ちょっと盛ってない?w」

ジュン「盛ってないよwなんで盛るのよw」

ケンジ「いや、だって小学生がそんな歩道めがけて走れないよ。せいぜい「危ない!」って叫んだくらいじゃないの?」

ジュン「あたしミニバスやってて運動神経よかったし」

ケンジ「そりゃまあそうかもしんないけど。小学生ん時の記憶だよ?十数年前だよ?絶対なんかと混ぜて覚えてるって」


ジュン、黙って真っ直ぐケンジの目を見つめる。


ケンジ「…え、なんかごめん」

ジュン「いや別に怒ってないよwただ、信用ないんだなぁって失望しただけ」

ケンジ「うん…それある意味怒られるより辛いよ」

ジュン「怒った方がいい?」

ケンジ「怒られたくもないよ!」


ケンジ「あぁ、そういえばさ」

ジュン「ん?」

ケンジ「駅で思い出したけど、駅前にできた新しいラーメン屋、行った?」

ジュン「あー…あの鶏白湯の?」

ケンジ「鶏…白湯だったかどうかは忘れたけど」

ジュン「ん、あ、ごめん味噌だわ。別んとことごっちゃになってた」

ケンジ「あぁ、そうだそうだ味噌だったね」

ジュン「こないだお昼に行ったよ?」

ケンジ「おお、そうなんだ。美味しかった?」

ジュン「んー…まぁ美味しかったけど…リピはないね」

ケンジ「あぁ、ほんと」

ジュン「うん。何、行きたいの?」

ケンジ「いや、美味しいなら行きたかったけ ど、そんなでもないならいいや」

ジュン「何それw」


ジュン「…あ」

ケンジ「どしたの?」

ジュン「思い出した。あそこのラーメン、メンマ入ってなかったんだよ!!」

ケンジ「おお、びっくりした。そんな大声で言うことかね?」

ジュン「何よ、ラーメンにメンマは不可欠でしょ?」

ケンジ「え〜、考えたこともなかった…」

ジュン「えー?ウソー」

ケンジ「いやマジでマジで。だってあの、 僕の職場近くのラーメン屋のラーメンもメンマ入ってないもん」

ジュン「うわ、ほんとに?ありえないわー」

ケンジ「そんなにこだわりあったんだw」

ジュン「あるよ〜。え、ないの?」

ケンジ「ないね…あ、でもアレだ。おでんは柚子胡椒ないとダメ」

ジュン「え、からしでしょ?」

ケンジ「いや、柚子胡椒。マジでおでんの時あれ家になかったら即コンビニ行って買ってくる」

ジュン「ほんと?w知らない世界だな。まぁでもウチでおでんしたことなかったもんね」

ケンジ「うん、これに関しては僕も自分が異常だってわかってるw」


ケンジ「ああ、ラーメンやらおでんやらの話してたらもっとお腹すいてきた。今何時?」

ジュン「今は…あ、丁度3時だ」

ケンジ「うわ、もうおやつじゃん」

ジュン「…あ、ちょっと前に買ったシュークリームあるよ、多分消費期限も大丈夫」

ケンジ「ほんとに!?さっすがジュンさん。天才。優勝」

ジュン「むはは、くるしゅうないくるしゅうない」

ケンジ「コーヒー飲む?」

ジュン「飲みまーす」



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