夜空の星、桜の花びらに似て

 現代人の疲れた心と身体。舞い散る桜の花びらが泣いているという比喩に共感を覚えます。
作中のバラ配りの彼女との出会いは、偶然のようで必然であったように思える設定なのですが、彼女の言葉から得られた気づきに未来が変わる瞬間が美しい。
 ふたりの間に呼応する心情。前を見据えて思い改めた新たな思いを胸に、熱を帯びていく機微が桜のように、星空のように綺麗です。
 最後は夜空の星に希望の光を見出す読後感が爽やかな小説です。