いやらしいぞ!男だけのシェアハウスで、夢の共同布団!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 うっひゃ~!ドキドキ!貧乏シェアハウスで共同生活をする、男たちの夢!今ほしいものが見られる、布団セットを手に入れて…?

ここは、男たちだけが住む貧乏シェアハウス。

 「恋人、ほしいよなあ…」

 寒い声が飛び交う、おんぼろハウスだ。

 ただ今日は、寒さなど感じられない、暑すぎるできごとが起きた。

 それはもう、ハッピーラッキー。

 「マジか~!」

 「こんなことが、あるなんて!」

 だれかの応募した懸賞が、見事に当たったか。

 この貧乏男シェアハウスに、懸賞のドでかい箱が送られてきたのだ。

 「うわ~お!」

 「すげえ!」

 「男の夢!」

 「こんなファンタジーが、あるか!」

 「だれが、当てたんだ?」

 「だれでも、良くね?」

 「まあ、そうだが…」

 貧乏シェアハウスのリーダーが、皆を代表して、大きな大きな箱を開ける。

 「あ…!」

 「男の夢!」

 だれかが、言ったとおり。

 まさしく、夢につながるアイテム!

 特大の布団セットが、届けられた。

 箱の中には、枕や説明書もあり。

 書かれていた内容が、男たちに感動の涙をもたらす。

 「この布団セットで、寝てみてください。専用の枕を使うことを、忘れずに!あなたに今最も必要な物についての夢が、見られることでしょう」

 この一文で、貧乏シェアハウスの男たちはお祭り騒ぎ。

 「夢」

 「夢」

 「夢~」

 「俺たちの夢」

 「恋人募集中!」

 「最も必要な物!」

 「恋人募集中!」

 興奮が、止まらない。

 専用の布団セットに男たちが皆でくるまって寝るのが、楽しみでならなくなっていた。

 女子なら、こう怒るアイテムかもな。

 「男子って、いやらしい」

 男たちは、ぐっすりと深く長く寝られるよう、昼寝なしで夜を待ち…。

 「良し、寝る時間だ!」

 貧乏シェアハウスのリーダーが、号令。

 「寝るぞー!」

 数人の男たちが、 1つのドでかい布団の中に入り込む。

 「どんな夢が、見られるかな?」

 男同士、仲良く寝てさ。

 結局夢に出てきたのは、「男たちの期待映像」ではなく「貧乏生活に勝つための大金映像」。

 「そんな…」

 「俺たちが今最も必要としている物は、金だったのか…」

 「深層心理?」

 「うっふんな夢を、期待…あ」

 ここで、次々に声が上がる。

 「あ、俺、家賃を払っていなかった」

 「俺もだ」

 「たしかに金!」

 「なるほど金!」

 「金!」

 「金!」

 「夢は正しかった!」

 「お前が悪い」

 「いや、お前だ!」

 「何だと!」

 貧乏シェアハウスは、心も貧乏だった。

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