呪縛改生 5話 ② 祝福と呪いとSR衣装

呪解糞陰伽

file.3 『シックスティグマの魔術改変』

(師匠と連絡が途絶える前の当時の私の視点を思い出して書いてます。

師匠と私はお互いをゲームのハンネで呼びあっていますが、置き換えて表現しています。

内容に関して後から補完している部分もありますが、大筋は変えてません。

反芻思考がつよく、嫌に記憶力がいいので、過去のことをやたらと覚えてたりするのがしんどいです)


その男が本当に魔術師だったのかという疑問も

あったのですが、師匠は

「十中八九、本物だろう」と確信していました。

「堕落欲に落ちた元魔術師とコンタクトが取れたのは

引きが良かった。シックスティグマについて、

あれほど語ってくれたのは元魔術師は初めてだ。

彼は実際ある程度、有能で頭も切れる魔術師だったんだろうぜ。シックスティグマが何か

理解出来ていない現役魔術師やその家系も

居たからな。あれは彼が生きてきた中で、

熟考してたどり着いた、

シックスティグマの構成要素だろう。

全てが正解かは確認する術がないが、

他の魔術師や元魔術師や関係者の話と

照合して考えても、かなりいい線いってるね、

報酬も安いもんだ、僕は運がいい」

師匠の洞察力はよく知っているので、

私はなるほどと、納得しました。


「支配欲と搾取欲と貪欲が似ている気がするなあ。

あと、これって私達呪術師のよく知る呪いとまるで同じに見えますね。

スティグマとは呪いを『呪続』させたことなのではないでしょうか?」と私は言いました。


師匠はもっと先回りしていて、

その事実は今回より以前から把握していたようだ。

「そうだな。魔術管理者に与えられる祝福を称した、

7つめのスティグマはなんだと思う?」

と聞いてきました。


「なるほど。シックスティグマにもうひとつスティグマを加えることで、魔術管理者は通常の魔術師より強力な魔法術とシックスティグマの付与と剥奪を使える訳ですね。

憤怒とか傲慢あたりが怪しいかと。

そして、スティグマは呪いと同質なものと予想出来るので、人の三大欲求に直接干渉するの不可能なはずです。

色欲がスティグマになってるのが私は引っかかっています。

貪食などがスティグマになることも考えられないですよね?」


師匠は違う視点が考えていて、

「いや、これは七つの大罪より新しく作られた、

現代的感覚に近いもんだ。貪食なんてのは堕落と紐づけられている。憤怒、悲哀、嗜虐心、自己承認欲、自己実現欲、自己肯定感、虚栄心、自己顕示欲、所属欲、攻撃欲、権力欲

いや違うな。しかし、色欲に関しては答えは出た。

おそらく自己承認欲と虚栄心、自己顕示欲などを合わせた、性的対象の性別へ向けた感情を無為に振りまく欲を色欲としているようだな。

性欲自体には影響の無いものだと予想される」


「なるほど。憤怒欲や攻撃欲、嗜虐心なんかが

答えじゃないんですか?実際それ持ってる魔術師が魔術管理者側にいたら危険じゃないですか?

だからスティグマで。あー、ごめんなさい。

何も無いです」


師匠はもう答えにたどり着いたと言う顔をしていた。

「わかるだろ。スティグマを宿すことは、その心を増幅させるリスクにもなる。そんなものをこれから力を持たせる者に宿すとは考えにくい。

それでいて、それらの攻撃的な性質の根底にあるものを制限すれば、魔術管理者達は並の魔術師より弱くなることだって有り得る。そもそも、貪欲、支配欲、搾取欲などを制限されて育ってきた魔術師である以上、

黒魔術師に転じていない限り、

無駄な攻撃性はないだろう。

それを制限した所でリターンとして得れる力は少ない。だから答えはNO.

自由欲、自己実現欲、挑戦欲求、

この辺りか、あるいは・・・」

ここまで言って、師匠は言い淀んだ。


「生存欲か我欲かって言いたいんですよね?

そこにフォーカスするのって

呪いとしては強力すぎませんか?

師匠でも、そんな呪術使えませんよね?」


師匠は不服げに答えた。

「全然余裕だがね。今まで食べてきた美味いラーメンの味をほとんど忘れる程度の代償で、それらを薄弱にも旺盛にもしてやれるくらいは出来るけどね」

師匠のインスタはほとんどラーメンなのに。


「ところで、なぜ魔術師が呪術師みたいなことを出来るんでしょうか?

彼らもこっそり呪術を身につけているのか、

いや、聖女の生杖自体が、呪術や呪術師と関連するもの、呪具なんでしょうか?」


「間違いなくな」

師匠は続けて、語気を強め言った。

「魔術管理者のフィクサーってのはシックスティグマの始祖とされ『シックスティグマの魔術改変』の際に、

聖女誕生に関わった少年とされている。

そいつはとんだ食わせ者だぜ。

本来ならシックスティグマの大欲に支配される

ような人間だ。これは確信だ。

そして、そいつは今も変成術で自身の肉体を作り替えるか復元を繰り返し、この世に存在している。

そして、聖女の生杖を自身で保有し続けている。

なのに世界を良くも導かない。

自分さえ良ければいいって考えの糞野郎だ」


師匠の仮説は実際に当たることが多い。

私は師匠の頭が、色んな漫画やアニメの影響を

受けてとてつもない暴論を導き出したとも感じたが

私には共有していない情報などもあって、

それらを踏まえた上での結論なのだろう。

私は平静を装いふざけて答えた。

師匠の気が紛れるように。


「確かにとある話では、魔術師のエルフは1000年以上生きてましたし、自ら進んで世直しなんかする性格では無かったですけど」


師匠はしたり顔で続けた。

「わかるだろ。実際の極悪人っては、

創作の物語の悪役みたいなことを平気でするんだよ。

皆で使える力は当たり前に独占するし、

世の中のためになんて使わない、

むしろその力を得ようとする奴は敵として排除する。

しかも、祝福と称した呪いを与えることによって

魔術管理者とかいう組合まで作ってな。

始祖はまさに絵に描いたような悪人だ」


私はあきれた。

師匠の話はもっともだったので、そこでは無い。

師匠がその悪者に対して、これからどう出るかの予想が

つくからだ。シックスティグマの祝福の正体に

推察がついた頃には、師匠はもうシックスティグマの

始祖の人物像を想像し確信出来ていたのだろう。

そして、それは恐らく師匠の言う通り・・・


「師匠最近忙しそうですね?

葬送のフリーレンって漫画、今年アニメ化するみたいです。その感じは知らないんでしょ。

エルフのフリーレンは悪役どころか主人公ですよ。

それを悪役と断定して、倒しにいったら、

相手から見れば僕らが魔王軍で呪術師で人間で、

もうアイデンティティが大混雑になります」


もちろん、師匠が相手取ろうとしてるのは、

創作の中のエルフでは無く、

永遠の生命を手に入れた人間の魔術師だ。

続けて、これを言うかは躊躇った。

しかし、私の意見など師匠にとっては

取るに足らないものだとしても、

これは言わなければならない。


「仮に、魔術管理者の始祖が師匠からして

憎むべき倒さねばならぬ巨悪だとしても、

並の魔術師1人とて不意打ちか周到な準備の上でしか、倒せない師匠が、数十人の規模の組織で、

並の魔術師より強くて、

しかもそのボスで、特殊装備持ちで、

師匠が長年追っても実体も掴めない程、

狡猾に生きてきた相手にどうやって挑むんですか?

泣きながら土下座でもして、頼みに行くんですか?」

流石に言葉が過ぎた。しかし、諦めてほしい。


「土下座して懇願か。

変成術が心も若かくしてくれるなら、

それも通用したかもな。

しかし、カリスマ悪人ジジイには通用しないだろうな。

その心はシステムみたいになってるだろうよ。

そもそも謁見がかなうかだな」


じゃあ、何しにいくんだよ。

「私を巻き込まないでくださいね」


私は引き止めるのに真剣なのに、師匠はやけに笑顔だ。

これだからナチュラル人たらしは困る。


「巻き込むよ。というか、僕と出会った時にはもう巻き込まれてる。人の縁はそういうもんだ。

既に君は僕の最後の切り札になってるよ」


本当に私の心をくすぐる言葉を言う。

絶対に協力する気はないが、一応聞いておく。

「何すればいいんですか?」


そして間をおかずに、

師匠はまた突拍子もないことを言う。


「僕これからくだんの元魔術師にもう一度会い、

そこから魔術管理者に接触するつもりだ。

僕からの連絡が途絶えたら、僕を追わずに呪術師はやめて、気楽に生きろよ」


魔術管理者ってのは、やはり自分たちを嗅ぎ回ってるような人間は消すのだろうか。

ましてやそれが、呪術師ともなれば。


「言われなくても、追いませんよ」


師匠はやけに嬉しそうに言った。


「予想通り。君は私を本当に追いかけない。

だが、君は僕を見捨てない。

君は君のやり方で、君なりに自分のするべきと思ったことをしてくれる。

君は本当に社会不適合者で、人としてダメダメで。

呪術師としても中途半端で、

オタクでゲーム好きな所しか私と共通点は無い。

しかし、君はいつも僕と違った視点で創作を楽しみ、

ゲームでは人と違うプレイスタイルを形にしてくる。

君は決断が遅いが、判断が遅い訳では無い。

そして正直ではないが、素直だ。

君は誰もが出来ることすら出来ないが、

誰にも出来ないことをする。可能性はある」


いや最後、誰だってそうだろ。やっつけ感。

しかし、まるで最後の別れの言葉のように

言ってくれる。さらに師匠は


「到底、勝算の無い相手ならば、その勝算の無さも含めて勝機を見出すのは戦いのセオリーだ」


師匠が昔、出会ったネットゲームでお互いに顔も知らぬ頃に語った言葉だ。本当に懐かしい。


「つまりだ、僕にとってもイレギュラーな程、

強力な相手となれば、君の存在など取るに足らない、

小バエ以下の顔ダニ程度の微異物だ。

そんな相手がよもや自分の喉元に届くような武器を持ってるなどと想像もつかぬはずだ。

僕の存在がなければそもそも魔術の存在すら知ることすら無かった程度の君が、

自分の実体に迫るなどシックスティグマの始祖からすれば、それもまたイレギュラーだ」


私はそんな武器を持ってるつもりはないし、

師匠が絶対に始祖にたどり着くヒントを持ってくるという確信もある訳では無いが、

師匠の私への酷評は続く、飴と鞭がすごい。


「自分はそんな大層な武器は無い、そう諦めているだろう。君の呪術なんて、

相手にスクール水着か割烹着を着ることを強制したりとかそのぐらいのもので、

役に立たないものだろうけど、

僕の呪術だって、相手を認識出来なければ使えないし、対面して戦えば、魔術師側に圧倒的分がある。

つまり、僕らの戦いは呪術VS魔術ではなく、

ただの人間VS魔術師に等しい」


私の呪術は役に立つけどな。

何度、私の呪術でスクール水着の女性の撮影会を開いたと思ってるんだ。

あの伝説の夜の

スクール水着お散歩えちえちダブルデート

を忘れたのかこの人は。


「そして、人間として戦うなら冬尊尻という個体は僕を超える潜在能力がある。僕よりは頭も良くないし、身体能力も断然低いし、心の器が大きい訳でなく、メンタルも弱く、社交性がある訳じゃない、

ただ生物として、僕よりも圧倒的に多く呪われている。君はあらゆる障害を持っている。

発達障害、精神疾患、体の障害を持っている。

その中で君は自分の劣等感を解消したくて、自己愛性パーソナリティ障害も獲得した。獲得したという言い方に違和感も感じないだろう。僕がそう言ったら、そう感じるだろ。

君はあまり人に心を開かないが、

自己犠牲が出来る人間は信用する。

あまりにも利他的だと判断した人でないと、

君は信用出来ない。その言動の裏は全て利害があってのものだと判断してしまうように、自分のこれまでの行いによって、認識するようになったからだ。

まるで呪いのように。なぜなら君はとても利己的で、

人から搾取して当然と思って生きてきたからだ。

自分が優れているから当然という、手前勝手な論理で。

そんな生き方は自分を弱くすることはもう知っていると思うが、君は楽をして生きた結果、堕落して、

人として弱くなった。そして、君はさらに呪われた。

幸いスクール水着を被呪者に着せる呪術を持つ君が、

ロリコンでは無かったことが、神様の良心とでも言えるな。

いや、あえてそうなってるとしたら、

君は自分を呪うのが上手い。ラインは超えてない。

そして、運がいい。それだけ自分を苦しめても、

何故か死なずに生きている。だから君は滑稽だ。

今後も、その呪い全てと向き合って生きろよ。

ぴえん系か地雷系か知らんが、彼ら若者の言葉で

言ってやると、生きてるだけで偉い。だ。

君は呪いをかけるより、解くより、

呪い受ける方が向いてる。そして慣れている。

そんな呪術師の冬尊尻くんは、

これからの時代に向いている。君はこれまでの時代において闇だったが、近いうちに光になる。

君は全ての呪いをいずれ、なにか大きな力に変えられる。

呪いの受け皿であり、呪いの大地。

そこから、君の作り出したい結末を萌芽させろ。

僕は発芽の可能性に賭けて、肥料を撒いてきた。

その肥料は僕が居なくなった時に、

僕の消失が養分になるだろう。そしたらしっかり水を注ぐといい。そしてその芽が辺り一面に咲くように、その土壌をしっかりと耕しておくんだ」


僕ら?やはり私は戦いにも巻き込まれているらしい。

この強引さが嫌いではなく、クセになる自分が憎い。

そして、色々とたくさん言われたのに、

生きてるだけで偉い、

しかすぐに頭に入ってこなかった。

あと、私の呪術を本当に馬鹿にしているな。

楽しむ時は楽しんだくせに。


「だから、戦いませんって。分かってますよね?

わざわざ、外国に自殺しに行きませんよ。

ドラマみたいでちょっといいと思うけど」


師匠はずっと楽しそうだ。本当にどういう展望があるのかを早く語ってくれたらいいのに。

師匠は答えを伝えるのではなく、

答えにゆるりとたどり着くように促すために、

ひどく回りくどい方法をとることがあるが、

それが師匠を『師』たらしめる要素でもある。


「戦いっての殴り合いや殺し合いだけじゃないのはわかるよな。両者が対立し競い合う構図全てが戦いだ。

どちら片方がその事を認識していなくても、片方が片方を敵と定めた時、戦いは始まっている。わかるな?」


それはそうだ。わかっている。


「だからまずその点で僕達は有利だ。その有利に意味は無いと思うだろうが、意味は作ればいい。君にはそれが出来る」


今回の師匠はなにか答えを持っているのだろうか。

不安になってくる。


「で、勝算はあるのですか?」


師匠がこちらの目をじっと見つめて言う。


「無いよ。しかし、始祖にたどり着く筋道は命にかえても用意する。そしてその後のことは、

その時にならないとわからないな」


本当に無いのだろう。

しかし、師匠の思いは頑なだろうから、

生成術のこと諦めませんか?なんてことは言えない。

シックスティグマの始祖が魔術管理者を祝福の名目で呪っているであろうことも見えてきた。

師匠はそれを確信している。

これからさらなる手掛りを掴んだ上で、今後の行動も変わるだろうけれど、師匠はすでに命を賭ける構えだ。

師匠の中で、

目的を遂行するに値する、

動機も整ってきている段階だ。

師匠はもう引けない。そしてすぐに動く。

それが師匠の強みだ。

その思い切りの良さ推進力と、実績に裏打ちされた

見通しの深さ、人柄、それに惹かれて私を含めた人々は

彼を慕い、信用する。

自分の犠牲が目的達成の足がかりになるように、

今後各協力者に成功のための種をまくのだろう。

しかし、彼は孤高の存在でもあることが懸念点だ。


だが、魔術管理者の力は強大だ。

こちらが徒党を組んで押しかけたところで、

察知されれば魔術でまとめて葬られることは確実だ。

師匠の言う今回の戦いは、ほぼ戦闘を介さない

謀略的な要素を多く含んだものなのだろう。


時間をかけて、準備し対策をすることよりも、

師匠は今手繰り寄せた、糸口を即座に辿ることが

最善と判断したのだろう。

自分の生命がかかった判断になるにもかかわらず、

それにしり込みしない胆力がある人だ、

長年の理想の為に生存率より、成功率をとる人だ。

シックスティグマを剥奪された元魔術師との、

コンタクトが取れるうちに行動する。

それが急務であり、師匠にとって最良の選択

なのだ、もう引き止めてはならない。


決断は変わらずとも、

私が師匠の予想を上回って拒絶することは、

師匠の今後の行動に些細な影響を与える。


「師匠、僕は本当に呪術師も辞めますからね」


師匠づてで自分に追っ手が迫る可能性すらある。

本当に辞めていいくらいだ。

師匠は待ってましたと、言わんばかりの

満足気な顔で言う。


「ああ、君みたいなイレギュラーが居て本当に助かるよ。

呪術なんて魔術師との戦闘じゃ、

アサルトライフルや狙撃銃、無人ドローンがいる戦場に鎖鎌を持っていく程度の価値しかない。

それに拘らない君は間違ってないと思う」


師匠の言葉には投げやりなようで、決して諦めていない強い意志を感じる気迫がある。


「なら丸腰で戦場にいた方が、民間人と間違われて生存率も上がるってもんですか?」


師匠は自らの運命を呪うでも、

私に何かを伝えようとするでもなく、

全てが上手くいくと諭すような

安心しきった表情をしていた。

さっきの勝算がないという言葉は間違いでは無いが、

真意ではないのだろう。


「人によるな。君にとってはそうかもしれない。

僕にとっては鎖鎌でも、投げつけることで何かの可能性を手繰り寄せる武器になるかもしれない。

君にはそれほどの練度も才能も経験も無い。

しかし、僕は呪術師としての力がありすぎるから、

君のように無害を装う擬態も出来ないだろう。

だから、この戦いにおいても、

僕は呪術師という生き方をするしかないんだ。

わかるだろう」


師匠は自分が呪術のプロフェッショナルでありながら

他者にそれを押し付けたりしない。

彼は全てにおいてそのスタンスだ。

彼は人を支配するのでは無く、あるがままへと導く。

それ故に師匠の内に秘めた心中を皆が慮ろうとする。

私は師匠から呪術だけでは無い、

呪いの本懐を度々、感じることがある。


師匠はなんとか健闘して、

シックスティグマの始祖にたどり着くヒントを

私やほかの協力者に伝達するだろう。


私は別に師匠に貢献したいとまでは

考えていないが、彼がただバトンを渡しただけになり、

そのバトンが無意味なものに変わるのが、

見てられないだけだ。

無意味には意味を持たせてやらねばならない。


その役目が、私でなくてもいい。

シックスティグマの始祖を打ち倒すなど

無謀な野望は持たなくてもいい。

魔術管理者が始祖によって、洗脳のような行為を

受けていても、世界にはそれに類似するような悪行

は数え切れないほどあるだろう。


ただ、もっと個人的な理由として、

師匠との昔話が私は忘れられないだけだ。


きっとそれが今も師匠の原動力でもあるだろう。

シックスティグマの始祖やら魔術管理者の解放よりも

それさえ成就すれば、

師匠は危険と分かってる追跡や戦いはしないだろう。

『創世法呪』が必要だ。

一人で独占したいなど思わないから。


しばらく、今後の話を師匠としたあと、

その夜は久しぶりに、師匠と夜の街に出向いて遊んだ。


私はスクール水着を着せる呪術を誰にも使わなかった。師匠のほうから頼んで来て欲しかったからだ。


3.4時間ほど飲んでも、師匠はスクール水着を

求めて来なかったので、私は我慢出来なくなり、

近くにいた女性に声をかけて、

30分ほどN衣装も楽しんだ後、

ドン・キホーテに買い物に行こうよと連れ出した後

SR衣装スクール水着を購入し、

即座にトイレで着替えさせた。


その後バーに戻って、スク水飲み会を開いた。

しかし、私はスクール水着にはこだわりがあるので、

急ごしらえせず、予め用意しておけばよかったと後悔した。そうすればUR衣装だったのに。


私がその日、いつもより多く飲んで、

空前絶後の酔い方をしたのは、

スク水のせいではなく、

師匠ともう二度と会えないかもしれない不安からだ。


それが2022年10月の頃の話


(次の話で、現在視点での話に戻ります)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

呪縛改生 呪術師冬尊尻は自分しか呪わない 呪術師冬尊尻 @ketsu_toto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画