第11話
「坪井君はこの後何か見たいものとかある?」
うーん何かあったかな「特にはないけど白川は何かある?」
「そうだねーじゃあ折角だし、ちょっと付き合ってもらおうかな」
と、言うわけで学生だしというわけで、お会計を各々済ませ白川に付き合うことにした。
「坪井君は帰る時間とかは大丈夫?」
「まぁ特には門限とかは無いけど、てかそれ普通こっちが聞くセリフだね。気が回らなくてごめんよ。」
「あーそういうことじゃなくて、久々に色々見て回ろうかなって思ったから、シンプルに言葉通り。」
「なるほどね、俺は大丈夫だし行こうか。」
女子はウインドウショッピングといえば、服や雑貨で時間を喰う事が多いと父からいつだったか聞いたことがあったような…
「ところで白川はどんな服が好みなの?」
「服?まぁ確かにウインドウショッピングと言えば服だね。んー、黒とか茶色とか多いかも。白とかはあんまりかな」
「明るめの色のイメージあったから意外だね、確かに家に来たときの服装は黒多めだったったかも。」
「なんか白はね、あんまり似合わないと思って。」
まぁ多分明るめの色は自分の性格的に合わないと思ってる節もなんとなくあるような、無いような。
「そんな事無いと思うけどなぁ。あ、コレとかどう?ちょっと明るめだけど似合いそうじゃない?」
「えぇ私なんかが、そんなマネキンが着てる上着とか似合うかなぁ。」
実際マネキンが着てる服はほとんどの人に合いやすくて、よく分からない人はマネキンの一式買っとけ、とどこかで聞いたことがあるくらいだし、悪くは無いはずなんだけど…
「んー良いと思うけどね。嫌だったら無理しなくていいけど、一式着てみれば?」
えぇー嫌じゃないけど…と若干渋々ではあったが店員さんに許可を貰い、それと似た一式を持って白川は更衣室に行った。なんだか女性の多い中、ポツンと1人いて、若干気まずそうな雰囲気を感じたのか
「彼氏さんも是非どうぞ?」と人当たりの良さそうな女性の店員さんが、ニコニコしながら奥に通そうとしてくれる。
「なんかすみません、気を遣って頂いて。まぁ彼氏じゃないですけど。」
「あら、そうなんですか!?私も昔こういうことあったなぁって思い出したら、何だか可愛く見えてきて、つい。」
「こういうのって記憶に残るものなんですか?」
「そうですねぇ、まぁ人に依りますけど、やっぱり記憶に残りますよ?特にこの年齢だと、まだデートとか初めてかもしれませんし、それなら尚更ですよ。」
と入店時の最初の営業スマイルとは違い、そこにはたった今会った店員にも学生時代があった。という至極当たり前だが情緒的で何だか良いなと思えた。
「そういうタイプかは分かりませんが、俺も記憶に残ってもられると嬉しいです。」
「そうなれるよう頑張って下さいね!ちなみに、私の初恋の人は幼なじみで旦那なんですよ?ふふ。家に帰って覚えてるか聞いてみようかしら。」
「マジすか…そんない長い期間凄いっすね。」
おいおい結局は惚気話になるんかい!
でもそれだけ長い期間一緒にいるという事だ素晴らしい事なんだろう。
と、そんなこんなで店員さんコーディネートの白川が出てきたのだが
ベージュの薄目の上着に中は白のブラウス、下は黒のスカートで大人びて見えて凄く合っている。
「…どう?おかしくはないと思うけど。」
「大人びた感じに見えるけど、可愛い雰囲気もあるし似合ってるよ。」
「わー!良かったですね!」
と何故か本人より店員さんの方がテンション高いのは少し恥ずかしい。本人も満更ではなさそうなのが良かったと思えるし、何だかちょっと面白かった。
「すみません、今手持ち無いので、今週末買いに来たいんですけど…」
「うんうん、良いですよ!コレ可愛いですよね!マネキン用でもう一着残してるので、いやマネキンの売れてもコレは来週までは絶対残しときますから!是非来て下さいね!」
「え、あ、はい、ありがとうございます。今週来ますね。」
なんかもう圧が凄いな、店員さんテンション上がっちゃってますね。
「ありがとうございました、長居してしまってすみません。」
「いえいえ、またいらしてくださいね。」
続
井の中の蛙は大河を知るかもしれない 海上 諦亥 @7ss
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